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2019年10月の3件の記事

2019年10月20日 (日)

Tom Grant and Phil Baker 「Blue Sapphire」(2019)

トム・グラントは、70年代後半のデビューからフュージョン/クロスオーバーの音楽シーンで活躍してきたキーボード奏者。ソロ・アルバムは20作を超える。ライトでコンテンポラリーな音楽性はスムーズジャズの先駆者の1人といえる。近年は、自己のレーベル、nu-Wrinkle レコードから定期的に作品を発表している。アンビエントな作品を出したり、コマーシャルな路線とは一線を画す姿勢で音楽を追求しているようだ。この新作は、ベース奏者フィル・ベイカーとのコラボ・アルバム。

フィル・ベイカーは、サイド・マンとしてジノ・バレリなどとの共演を経て、2003年からはジャズ・オーケストラのピンク・マルティーニのメンバーである。グラントの作品にも長年、演奏や制作に参加していた。中でもグラントのアルバム『Tune It In』(2000)は、2人が楽曲の共作と共同プロデュースをコラボとして手がけた作品だった。今回の新作は、両名の名義を冠した初めてのアルバムで、<リユニオン>がコンセプトになっていると想像する。

2人の共通点は、オレゴン州ポートランド。ポートランドはグラントの出身地で、ベイカーが所属するピンク・マルティーニの活動拠点でもある。今作のゲストの多くがポートランドのミュージシャンで、ポートランドの音楽シーンから、グラントとベイカーの旧知の音楽家が一堂に会したよう。

 

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2019年10月13日 (日)

Mark Etheredge 「Connected」(2016)

マーク・エサレッジのデビュー・アルバム「Change Coming」(2012)は、オリジナルの全曲を自ら歌うシンガー・ソング・ライターとしてのボーカル作品だった。スティーリー・ダンを思わせるソリッドなサウンドと曲調が印象的で、80年頃のボズ・スキャッグスのようなアダルト・コンテンポラリー路線を志向したような作品だった。

その次作品がこの『Connected』(2016)で、エサレッジのピアノとキーボードが主役の全10曲インストゥルメンタルの演奏作品。ボーカリストからキーボード奏者へ方向転換というわけだが、目の覚めるようなピアノ演奏とバンド・アンサンブルで上質なスムーズ・ジャズ作品になった。共作を含めた全10曲はエサレッジのオリジナル曲で、歌詞を載せて歌えるようなメロディーは、シンガー・ソング・ライターとしての才能がリンクしている。

プロデュースはポール・ブラウン。都会的で洗練されたサウンドに統一されていて、エサレッジのピアノ奏者としての才能を引出したのはブラウンの手腕。全曲が同じメンバーのリズム・セクションで固められている。ギターはポール・ブラウン、ベースはロバート・バレー、ドラムスはゴーデン・キャンベル、パーカッションはリッチー・ガルシアという面子。エサレッジのロマンティックなフレージングと、ソリッドなリズム・セクションがブレンドするアンサンブルが素晴らしい。

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2019年10月 6日 (日)

David Benoit 「David Benoit And Friends」(2019)

デイヴィッド・ベノワは、デビューが1977年だから40年を超えるキャリアのピアニストである。リーダー・アルバムは35作品を数える。大ベテランだけれどその音楽は枯れた味が増すというより瑞々しい味わいがさらに際立つ稀有なアーティストだ。

プロデュースや映画音楽、交響曲と広範囲な活動も注目に値するけれど、やはり彼のピアノ演奏は最大の魅力。ビル・エヴァンスやデイヴ・ブルーベックといった伝統を受け継いで、80年代以降のボブ・ジェイムスやデイヴ・グルーシンなどコンテンポラリーなジャズ・スタイルの系譜を引き継いでいる貴重な正統派だと思う。

そのデイヴィッド・ベノワの新作は、交流の深いベテラン・アーティストや、フレッシュな若い世代のゲストも迎えた多彩な作品。

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