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2020年7月 5日 (日)

Oli Silk 「6」(2020)

オリ・シルクの新作です。『Where I Left Off』(2016)に続くソロ”6”作目。

ゲストは、ヴィンセント・インガラ(サックス)、ジェラルド・アルブライト(ベース)、キエリ・ミヌッチ(ギター)、ジェフ・カシワ(フルート)、ダーレン・ラーン(サックス)、エル・カトー(女性ボーカリスト。ロレイン・カトーの名前で、ジャミロクワイやリサ・スタンスフィールドインコグニートなどのバック・ボーカルを務めていた人)を迎えています。常連の、マーク・ハイメス(ギター。かつてシンプリー・レッドにも参加していた人)、ゲイリー・オナー(サックス)らも脇を固めています。

曲ごとに多彩なゲストを迎えての音作りは、シルクの近年作品の手法です。『Razor Sharp Brit』(2013)からは、多くのメジャー級アーティストをフィーチャーしてきました。ゲストを固めて厚いサウンドを作るというより、ゲストとのレスポンスを重視したインタープレイが特徴といえます。

「New Bounce」は、ヴィンセント・インガラが客演した曲。硬質なアコースティック・ピアノと、中低音を効かせたインガラのサックスが絡んで軽快なグルーヴが充満するハイライト曲。「Call Patrice」は、コーラスに仕立てたスキャット・ボイスがフックの、ポップな曲。ベースはジェラルド・アルブライト。ピアノの活き活きしたスイング感に引き込まれます。「Southern Hospitality」はタイトなブラスとリズム・セクションをバックに、疾走するピアノのフレージングが素晴らしい曲。「Hurry Up And Wait」では、ブルージーで流麗なピアノとギター(ハイメス)のインタープレイがクールな好演です。

「Steppin' Out」は、ジョージ・ハワードの作品(1984)のカヴァー演奏。ハワードは、80年代を中心に活躍した(ソプラノ)サックス奏者です。当時、ソプラノ・サックスといえばケニーGの人気がブレイクしましたが、ハワードはR&B系フュージョン/コンテンポラリージャズを代表する実力者でした。シルクによるカヴァー演奏は、ダーレン・ラーンがソプラノ・サックスを演奏しています。ハワードを意識したダイナミックでヒップな、ラーンのフレージングが聴きどころ。41歳(1998)で早世したハワードのオリジナル作品は、今はほとんど廃盤なのが残念です。

シルクが取り上げるカヴァーは、興味深い選曲です。『All We Need』での「Tokyo」はブラザース・ジョンソン、『Where I Left Off』では「Burning up the Carnival」がジョー・サンプルという具体に、いずれも80年代前半のフュージョン曲です。今作のジョージ・ハワードを含めて、シルクの音楽的影響が垣間見えます。

ラストの「Sanctuary St.」は、ドリーミーな空気感を漂わせるピアノのフレージングが美しい曲。マーク・ハイメス(ギター)を従えただけの演奏トラックです。エレキ・ピアノを弾く「Out To Lunch」も、同様にハイメスだけがサポートした演奏。この2曲は、漂うムードが感傷的で引き込まれます。このアルバム・レコーディング中に、実母が亡くなったそうです。母への想いを込めた演奏かなと想像します。

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コメント

「ウワッ、ヤバッ!」これいいよな!ということでOli Silk初購入。年間20枚くらいのCD購入なのでいつも次点で申し訳無し。彼のPianoは、プリップリの葡萄を連想させる粒達の良さが特徴で、本作は申し分無し。Oli Silk, Brian Simpson, Nate Harasimが小生のお気に入り。直近ではSkinny Hightowerの「Blue Moon」で、ひょっとしてこれOli Silk?というのがあって、やっぱりそうでした。ところで何でそれ判るの?という話は置いておいて、Oli SilkはP or Keyの音の出方が違います。本作、必聴です。

投稿: yama_chan | 2020年7月13日 (月) 23時20分

コメントありがとうございます。
「プリップリの葡萄を連想させる粒だちの良さ」とは、まさに言い得て妙ですね!!

投稿: UGASAI | 2020年7月14日 (火) 09時05分

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