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2020年7月26日 (日)

Boney James 「Solid」(2020)

サックス奏者ボニー・ジェイムスのアルバム・タイトルは、ワン・ワードが多いのです。

デビュー作「Trust」(1992)から始まり、「Backbone」(1994)「Seduction」(1995)と続いて。8作目の「Ride」(2001)「Pure」(2004)「Shine」(2006)。13作目が「Contact」(2011)、定冠詞が付きますが「The Beat」(2013)に、「Futuresoul」(2015)「Honestly」(2017)。

そして、ソロ17作目の今回の新作は、「Solid」です。17作中11作がワン・ワードのタイトルは、ジェイムスなりのこだわりでしょうか。

今回の新作は、共作を含めたオリジナル11曲。「Futuresoul」から、ジェイムスのサウンドは、バラードを中心に、サックスのソウルフルな感情表現を突き詰めているようです。クールな味わいは、「Honestly」と今作も連続性を感じます。

「Futuresoul」から参加している、ジャイラス・モジー(Jairus Mozee)の影響が大きいのでしょう。モジーは、ネオ・ソウル系の気鋭のギタリスト/プロデューサー。ネオ・ソウル・シーンの注目アーティスト、BJザ・シカゴ・キッド、ジル・スコット、アンダーソン・パック、エリック・ベネイらと共演/プロデュースに深く関わっている気鋭のアーティストです。

そのモジーとの共作が4曲。その中の「Be Here」は、ボーカルのケニー・ラティモアが作詞をしたソウル・バラード曲。ラティモアの繊細なボーカルと、ジェイムスのハートフルなフレージングが絶品です。「Sundance」はゆったりとしたビートに乗って、ジェイムスの音色は軽快な表情と、ファンクの骨太いところも垣間見せるような好演です。

今作のフレッシュな展開は、ツアー・メンバー、ケンドル・ギルダー(ギター)との共作曲です。「Full Effect」「Solid」「Tonic」の3曲で、いずれもキャッチーでポップなメロディーに、ホーン・セクションを配したゴージャス感もある仕上がりです。中でも「Tonic」は、ジェームスのテナーの最大の魅力、低音ですべり込むフレーズにゾクッと震えます。

常連のサポーター、ダレル・スミス(キーボード)との共作も3曲。「Luna」は、多くのアーティストのバック・コーラスを務めているシンガー、ジェイソン・モラレスが参加した曲。ジェイムスのメローな音色に寄り添う、モラリスのコーラスが視界を広げるドリーミーな佳曲です。「On The Path」はバラード曲。スローの始まりから、熱を帯びるジェイムスのフレージングが聴き逃せません。

リズム陣は常連のメンバー、カーネル・ハレル(キーボード)、アレックス・アル(ベース)、オマーリ・ウィリアムス(ドラムス)、レニー・カストロ(パーカッション)、ポール・ジャクソン・ジュニア(ギター)らが固めています。特にウィリアムスとアルが繰り出すタイトなビートは、ジェイムスのサウンドには欠かせない存在です。

「The Bottom Line」(ジェイムスの単独オリジナル)は、そのリズム隊をバックにした超スロー・バラード。ブルージーで精細なフレージングは極上の味わいで、ジェイムスのテナー・サックスのハートフルな音色の連続を一音も漏らさずに追いかけずにはいられません。

聴き込む回数を重ねるごとに、ジェイムスの上質な音世界に酔わされる秀作です。

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