カテゴリー「トランペット」の記事

2017年5月 5日 (金)

Cindy Bradley 「Natural」(2017)

Naturalcoversmall

シンディ・ブラッドレイの新作は、サックス奏者デヴィッド・マンを共作者に迎えた作品。「Bloom」(2009)、「Unscripted」(2011)、「Bliss」(2014)の過去3作品では、マイケル・ブルーニングがプロデュースと楽曲の共作を手がけたサウンドのキーマンだったので、この新作での変化が注目。M1「Girl Talk」は、サックス奏者ポーラ・アサートンとの共演で、両者のファンキーな掛け合いが必聴。アサートンの「Ear Candy」(2015)で、ブラッドレイがゲスト共演したトラック「Between You & Me」があったので、今回はお返しということ。いつか、この2人でフル・アルバムを作って欲しいなあ。きっと傑作になるはず。M2「Category A」は、ギター奏者クリス・スタンドリングの共作とゲスト参加した曲で、これはハイライト・トラック。聴いたらすぐに分かる特徴的なスタンドリングのギター・サウンドとメロディ。ブラッドレイのフレージングも、ヒップでアシッドなところが新鮮な演奏。タイトル・トラックのM7「Natural」でも、スタンドリングが参加していて、ブラッドレイとのインタープレイがクールな味が印象的。M6「Clean Break」では、ファンキーなビートに乗るエコーの効いたトランペットが、彼女の傑作アルバム「Unscripted」のムードを思い出す。M9「She Bop」は、スウイング・ジャズを思わせるミュート・スタイルで終始演奏する意欲的な演奏。M3「Everyone But You」はメランコリーなメロディの曲、M10「Crush」は爽やかなメロディの曲、いずれもポップス・チューンと言っていい聴きやすいサウンド。このあたりは、今までに見られない新しい路線だろう。過去作品では、シャープでエッジの効いたサウンドが、この人の持ち味だった。それに比べると、今回は少しソフトなムードの印象が残る作品かな。次作では少しハードなビートの演奏が聴きたい。

2017年3月26日 (日)

Rick Braun 「Around The Horn」(2017)

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リック・ブラウンの新作は、アーバンなムードのサウンドに満ちた秀作。ドイツのトランペット奏者ティル・ブレナーが参加したタイトル・トラック、M8「Around The Horn」では、両者のトランペット掛け合いや、交流はおなじみのギター奏者ピーター・ホワイトが参加した2曲(M4「We Don’t Talk Anymore」とM9「Vila Vita」)など、必聴の曲が並ぶ。カバー曲も3曲、M4「We Don’t Talk Anymore」はチャーリー・プース、M6「In Common」はアリシア・キーズ、M10「Yellow」はコールドプレイと、いずれも近年の新しいアーティストの曲を取り上げているところなど、聴きどころが満載。そんな中で、ジョン・ストッダートとコラボした5曲は、ブラウンの新境地。ジョン・ストッダートは、フィラデルフィア 出身の、シンガー、キーボード奏者。このアルバムで、2人は5曲を共作共演していて、いずれもキャッチーなメロディーが印象的な楽曲。M1「So Strong」はラテン・メロディーの曲で、エコー処理のブラウンのトランペットが、ちょっとハープ・アルパートを思わせる。M3「Love Take Me」は、話題の女性ボーカリスト、リンジー・ウェブスターが参加した、ミディアム・バラードで、ヒット性のアーバンな楽曲。M5「Everything Is Alright」は、ブラウンらしいファンキー・チューン。ストッダートのボーカルと、ブラウンのトランペットもグルービーで、まるでBWBの演奏を思わせるところが興味深い。M7「I Love You More」も、ストッダートのボーカルとブラウンのトランペットが絡む、メロウなソウル・バラード。M11「One South Beach Night」は、メロウでキャッチーなポップ・チューンで、ストッダートのスキャットと、ブラウンのミュート・プレイのインタープレイが魅力的で、何度もリピートしたくなる。今年のベスト級作品として、イチオシの作品。

2017年2月26日 (日)

Johnny Britt 「Marvin Meets Miles」(2016)

Britt

マイルス・デイビスとマーヴィン・ゲイが、実際に共演したことはなかったはずだが。もしも共演したら、歴史的なパフォーマンスになっていたに違いない。ジョニー・ブリットの新作は、マイルスとマーヴィンのそんな「邂逅」をテーマにした作品。ジョニー・ブリットは、シンガーでトランペット奏者、プロデュースもするマルチ・アーティスト。「Impromp2」というスムーズ&メロウ路線のR&Bデュオを経て、ソロ作品「Feel So Good」(2012)をリリース。スムーズジャズ系でも、ジェシーJのプロデュースを手がけるなど注目のアーティスト。アカデミー賞で注目の「La La Land」でも、サウンドトラックのトランペット演奏もこの人だとか。この作品は、テーマトラックのM1「Marvin Meets Miles」はブリットのオリジナルで、それ以外の8曲は、マーヴィン・ゲイのカバー演奏。いずれもマーヴィンを彷彿とするボーカルと、マイルスばりのミュート・トランペットが交錯する、メロウでクールな秀作。M4「You Soure Love to Ball」や、M5「Let’s Get It On」、M6「What’s Goin’On」、M9「Got to Give It Up」などの名曲の再演も、トラッペットの絡むサウンドが新鮮。ボーカル無しのインストバージョンを「Miles Mix」と称して収録していて、その「Marvin Meets Miles」と「You Sure Love to Ball」の2曲が、スムーズジャズ・ファンとしては注目してしまう。「You Sure Love to Ball」のインストは、ボニー・ジェイムスのサックスがフューチャーされているトラックで、マーカス・ミラーとワー・ワー・ワトソンも客演。アルバムには未収録の、シングル・カットだけで聴ける「What’s Goin’On」のMiles Mixは、トランペット奏者ブリットを堪能できるカバー・バージョン。

2015年1月29日 (木)

Gabriel Mark Hasselbach 「Open Invitation」(2014)

Gabriel

カナダのトランペット奏者、ガブリエル・マーク・ハッセルバッハの、前作「Kissed By the Sun」(2012)に続く、新作。今作は、硬派なコンテンポラリー・ジャズの秀作。題名に銘打ったように、多くのゲスト・アーティストを「招待」しての演奏。参加したアーティストのクレジットを見るだけで、ワクワクしてしまう。こうやって多彩なゲストを迎えての企画は良くあるけれど、オールスター的な顔ぶれのセッションだけというのもありがち。でも、この作品の素晴らしさは太鼓判。曲毎のゲストは、以下の通り。

1.Count Me In (アダム・ローリック)
4. Init 2 Winit ( ダミアン・ウオルシュ)
6. Lovelight (Dee & Brittani Cole)
7. Let’s Do This Thang ( Olaf deShield)
8. Let It Slide ( ボブ・ミンツアー)
9. Aurora Borealis (ロック・ヘンドリックス)
10. Carte Blanche ( Cory Weeds )
M1のギターはアダム・ローリックという人、カナダで活躍するギタリスト兼サックス奏者。ガブリエルのトランペットとユニゾンや、さりげないオクターブなど、派手ではないけれど枯れた感じのフレーズがなかなかいい。グレッグ・マニング参加のM2は、キャッチーなテーマのハイライト曲。マニングのアコースティック・ピアノとガブリエルの交互のからみがクールだし、ガブリエルのフルート演奏も聴ける。タイトル曲M3では、カル・ハリス・ジュニアのアコースティック・ピアノがドラマチックな曲想にぴったり。M5は、聴いたらいかにものボールドウィンの鍵盤から始まる、これもクールなジャズ曲。そういえば、ボールドウィンの「Twenty」の快演「Cameleon 3000」では、ガブリエルのペットがフューチャーされていたのが記憶に新しい。M9は、ポール・ハードキャッスルの作品でおなじみのサックス奏者、ロック・ヘンドリックスが参加した演奏。チル・アウトなムードの曲で、かすれ気味の抑えたブローのヘンドリックスのサックスと、ガブリエルのペットやフルートの絡みがとにかくクールな曲。クールを連発してしまったけれど、ガブリエルのサックス、曲によってはフルート、はどこかメランコリーな味わいのある音色とフレーズ。前作のファンキーなビート感は無いけれど、ガブリエルのトランペットとサウンドが、ひたすらジャジーでクールな作品。

2014年11月 9日 (日)

Till Brönner 「The Movie Album」(2014)

Movie

ドイツのトランペット奏者、ティル・ブレナーは、90年代から活躍するジャズ界のスター・プレイヤー。活躍は、ストレート・ジャズに留まらず、フュージョン、ポップス、映画音楽、などジャンルをこなすマルチ・アーティスト。ソフトな歌声で歌も歌うし、チェット・ベイカーに捧げたアルバム「Chattin With Chet」(2000)もあるので、「チェット・ベイカーの再来」とも言われる。それに、なんたって、イケメンなところは、クリス・ボッティか、ティル・ブレナー。そんなブレナーの新作は、映画音楽集。ストリングスをバックにした映画音楽のテーマ曲集とは、ありがちな、スター・プレイヤーの優等生的企画かなと。聴いてみたら、そんな先入観を裏切る素晴らしい作品。ブレナーと共同プロデュースは、チャック・ローブ。ストリングスのアレンジメントは、クリス・ウォルデン。この2人のキー・パーソンが作ったサウンドは、ちょっと聴いたらイージー・リスリング風だけど、聴き込んだら細部が輝く音は感動もの。ブレナーのちょっとかすれたトランペットも、まるで歌声のようにハートに響いてヒューマンだし、垣間見せる短いジャズ・パッセージさえ、トランペッターとしての懐の深さを見せて、そこらのプレイヤーとは格の違いを感じる。ハイライトは、ドイツ・シンフォニー・オーケストラを配した5曲、M1「When You Wish Upon a Star」、M4「Love Theme From Cinema Paradiso」、M6「Il Postino」、M9「Forebidden Colours」(戦場のメリークリスマス)、M13「My Heart Will Go On」。ゴージャスなストリングスと、沁みるようなブレナーのトランペットのブレンドが上質な音世界。ボーカルものもあって、M3「Stand By Me」は、今や大注目のジャズ・シンガー、グレゴリー・ポーターが歌ったトラックで必聴のバージョン。歌もトランペットも、巧者の作る贅沢なミュージック。M8「Moon River」は、チャック・ローブの実娘のリジー・クエスタの歌。M5「Raindorops Keep Falling On My Head」は、ブレナー本人の歌。歌モノでも、「歌伴」に廻って歌を引き立たせるブレナーのトランペット演奏もさすが。時々、聞き返したいエバーグリーンな秀作。

2014年10月 4日 (土)

Dennis Angel 「On Track」(2014)

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トランペット/フリューゲルフォーン奏者、デニース・エンジェルの新作アルバム。この作品の前に、「Timeless Grooves」(2012)という作品を出している。デニースのキャリアの詳細は分からないけれど、どちらもプロデューサーがジェイソン・マイルスという人。ジェイソン・マイルスは、ジャズ・キーボード奏者で、マイルス・デイビスの「Tutu」や、デイビッド・サンボーン、ルーサー・バンドロスのレコーディングに参加した経歴の持ち主。自身のアルバムも多数あり、最近は、グローバル・ノイズというグループの中心人物。というわけで、このデニースの作品は、ジェイソン・マイルスの料理によるレトロなジャズのムードを感じさせる作品。ハイライトは、先行シングルで出ていて、冒頭を飾る「Soul Strut」。大御所ジャズ・ピアニストのケニー・バロンがピアノを弾いている。ケニー・バロンは、70才を超えて現役のピアニスト。この曲は、デニースのオリジナル曲だけれど、ジャズ・ファンなら誰もがピンと来るに違いない、ソニー・クラークの名曲「Cool Struttin’」(1958)の現代版のような曲。あのハード・バップのムードそのままで、ケニー・バロンがソニー・クラークで、デニース・エンジェルがさしずめアート・ファーマー。サックスはGottfried Stogerという人で、デニースとの2管がフロントを固めるファンキー・サウンドに、思わず身を乗り出してしまう。ケニー・バロンの、枯れたピアノもしぶい。でも、わずか4分弱のトラックなので消化不良になってしまう。ケニー・バロンが、もう一曲参加している曲が、M8「Sunset Cafe」。ファンク・ジャズといっていいムード満点の演奏で、デニースのトランペットはチェット・ベイカーのよう。ケニー・バロンのピアノも、サックスも、リズムを刻む、ベースとドラムのビートも、ファンキーのかたまり。ところで、このジャケットは、今年の「ジャケット賞」上げたいくらい、そんなのないけれど。シングルの「Soul Strut」も秀逸。「Cool Strutin’」のあの有名すぎるジャケット、ハイヒールを履いた女性のショットを彷彿とする写真。音といい、この写真といい、グッとくるセンス、脱帽ものです。「Cool Struttin'」が久々に聴きたくなってきた。

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2014年9月 7日 (日)

Leslie Drayton 「Free and Easy」(2014)

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レスリー・ドレイトンは、初期のアース、ウィンド&ファイアーにも参加していたこともあるトランペット奏者。EW&Fの作品では、デビュー作「Earth, Wind and Fire」(1971)、セカンド・アルバム「The Need of Love」(1972)に参加している。また、レスリーは、マーヴィン・ゲイの音楽監督をしたり、自身のオーケストラを率いたりと、長いキャリアを持つベテランで、リーダーとして10作品以上のアルバムをリリースしている。この新作は、レスリーのトランペットもしくはフリューゲルがメローに響いて、「クロスオーバー・イレブンン」から聴こえて来そうなサウンドと形容したい。M3「Alone in the Dark」のトランペットなんて、「もうすぐ時計の針は12時を回ろうとしています・・・」なんてナレーションがぴったりなメロー・チューン。フリューゲルホルンの音色は、そもそも、トランペットより柔らかな音質だけれど、M1「Remember When」や、M10「Hip Hop Fantasy」で奏でるレスリーのフリューゲルは包容力に満ちていて、ヒーリング効果間違いなし。全12曲、BGMのジャンルに入れられてしまうかもしれないほど、ソフト&メローだけれど、BGMなんて呼んで欲しくない。スムーズ・ジャズ・リスナーなら、こういう路線こそ「クワイエット・ストーム・ミュージック」と呼びたい。

2014年7月13日 (日)

Rick Braun 「Can You Feel It」(2014)

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リック・ブラウンの新作は、待望の、ビート全開、今年ベスト級の「傑作」。リック・ブラウンは、20年超のキャリアを持つ、スムーズ・ジャズ界ではビック・ネームのトランペッター。ソロ以外にも、他アーティストとのプロジェクトやゲスト演奏も多いが、去年はカーク・ウェイラムとノーマン・ブラウンと組んだグループBWBの10年振りの新作アルバム「Human Nature」が話題だった。でも、ソロとしては、近年の作品「Sings With Strings」(2011)は、ジャズ・スタンダードを歌い上げたボーカリストとしての作品で、「Swingin’ In The Snow」(2012)も、クリスマス・ソングを唄い上げる作品だった。トランぺッターで、シンガーと言えば、ルイ・アームストロングに、チェット・ベイカー。リックも、まさかスタンダード・ジャズ・シンガーの方向に行っちゃうのかなと、心配してました。でもこの新作、やっぱり、これでしょう。突き抜けたり、泣かせてもくれるペット・サウンドがたまらない。白眉は、M1「Can You Feel It」と、M5「Get Up And Dance」。「Can You Feel It」は、ディスコ・リズムにホーン・セクションが乗って、リックのペットが飛び跳ねるビート・チューン。「Get Up And Dance」は、アーバンなポップ・メロディーを、ゲストのデイブ・コーズのサックスと、リックのユニゾンがしびれる。アル・グリーンの曲をカバーしたM3「Take Me to The River」もググッと来ます。エリオット・ヤミンのソウルフルなボーカルもクールだし、ゲストはユージ・グルーブで、リックのペットとユージのサックスのチェイスがブルージーでたまらない、けれど、フェイド・アウトするのは酷でしょう。メローなリックのペット・サウンドも、この人の魅力。そんなメローでジェントルな音色に酔えるのは、M4「Mallorca」と、M8「Silk」。この2曲は、リックの自作曲で、メロディー・メーカーとしての才能も素晴らしい。ジェフ・ローバーをゲストに迎えての、M7「Delta」と、M9「Radar」は、聴いたとたんに納得のローバー流フュージョンで、リックのペットは風を切るごとく疾走する。ファンキーなビート・ミュージックに、アーバンなポップ・メロディーが詰まった作品は、全11曲例外なくワクワクさせてくれる。リックいわく、昔のCTIサウンドが好みだそう。ボブ・ジェイムスや、デオダート、あの頃のフュージョン・サウンドにはワクワクしたっけ。リックのこの作品、あの頃のエネルギーに通じて、ガツン。YouTubeにアップされているスタジオ・ライブ版「Get Up And Dance」は必見(必聴)。アルバムのデイブ・コーズに替わって、ユージ・グルーブが共演している。終盤のリックとユージのチェイス・プレイは、アルバムのデイブ版よりパワフルな演奏。エリオット・ヤミンがボーカルで参加する「Take Me to The River」も、フェイド・アウトしない、熱いパフォーマンスが必見です。

2014年5月31日 (土)

Cindy Bradley 「Bliss」(2014)

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シンディ・ブラッドリーの待望の新作。前作アルバム「Unscpripted」(2011)は、ビルボードのジャズ・チャートでトップを記録。シングル「Massive Transit」も、スムーズ・ジャズ・ソングスのカテゴリーで6週間トップになり、まさに大ヒットだった。その作品のプロデューサーは、マイケル・ブローニングで、彼の手腕もヒットの要因だったろう。もちろん、ブラッドリーのプレイも、レイドバックして、クールなフレーズを奏でるところが、伝統的なジャズ・トランぺッターを思い起こさせて、魅力的だ。この新作も、ブローニングをプロデューサーに迎えて、トリッピン・アンド・リズム・レコードから出した「Bloom」(2009)から続けての3作目になる。3作品のオリジナル曲は、ほとんどが2人の共作。なので、この新作も前作からの路線を外れることのない、クールなブラッドリーが堪能できる。M3「Riverside Jive」や、M5「49th & 9th」は、「Massive Transit 」を思わせるキャッチーでタイトなリズムに、ブラッドリーらしさを感じて、前作の続きのようで、驚きはないけれど、この安心感もまたいい感じ。ブラッドリーのバラード・プレイも、暖かいフレージングがいい感じで、M2「Bliss」のフリューゲル・ホーンや、M10「Lost and Found」のオープン・プレイで聴ける音色は、じわっと視界が広がるような絵画的でもあり、美しいトラック。前作同様、プログラムされた打ち込み系のサウンドが中心なのだが、その中でも、M4「Squeeze Me」(デューク・エリントンの曲)はちょっと異色。ブラッドリーのミュート・トランペットが主役の、アコースティックなピアノやギターが絡むムード・ジャズを演っていて、これがけっこう新鮮だ。次回は、アコースティックな演奏でアルバムを作って欲しいなあ。ところで、今度の作品、ほとんどの曲で、サックスがフューチャーされている。M7「Comin’ Home to My Baby」でも、ブラッドリーのトランペットと、サックスが、会話を交わすごとくに絡むのだ。サックス奏者は、ダン・シプリアーノという人で、去年、シンディと結婚したそう。アルバムタイトル「Bliss」の意味は、「至福」だからね、なるほど。ごちそうさま。

2014年2月 9日 (日)

Willie Bradley 「Another Day & Time」(2014)

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トランペット奏者、ウィリー・ブラッドリーのソロ作品。50才ぐらいの人で、10年以上も前から、ジャズやゴスペルを、自己のトリオなどで、出身地であるノースカロライナはフェイエットビルで演奏活動をしている。このデビュー作品のプロデュースは、18才の気鋭キーボード奏者、ニコラス・コール。コールによるサウンドデザインは、レイドバックなムードが満点で、彼のデビュー作品「Endless Possibilities」に通じる、コールならではのサウンド・カラー。コールのアコースティックピアノはリリカルで美しいし、ブラッドリーのホーンサウンドは、どの曲でもソフト&メローに響いて、包容力にあふれている。ゲストも、マーカス・アンダーソン、ジェフ・カシワリン・ラウントリーなど、注目だ。M2「I’m Ready」は、ブラッドリーとアンダーソンの絡むホーンセクションが、クラッシックなスウィート・ソウルの雰囲気な佳曲。M8「All Said and Done」はバラードで、カシワのサックスと、ブラッドリーのトランペットがメローに絡んで、いい感じなのだが、フェイドアウトしてしまうのが残念。M9「What You Won’t Do For Love」は、ボビー・コールドウェルの名曲のカバー。リン・ラウントリーとのツイン・トランペットが聴きもので、コールのピアノが絡んで、オリジナルとは違う、洗練されたファンキーさがかっこいい。この曲は、いろいろなアーティストに良くカバーされるけれど、これは秀逸なバージョンのひとつにあげたい。M3「Manhattan Bridge」、M4「Only Time Will Tell」、M7「Another Day & Time」、はいずれも、コールのアコースティック・ピアノと、ブラッドリーのトランペットが、ユニゾンするテーマや、会話するアドリブのやりとりから、心地よいヴァイブレーションが伝わってくる、このアルバムのハイライト・トラック。全編、リズム・トラックが「打ち込み」系の音で、個人的にはちょっと残念。これはコールの「作り方」かもしれないが、巧者のドラマーやベーシストのリズム陣を使って、リアルなヴァイブレーションで作り上げたら、「大正解」になるのだけれど。でも、寒い冬の夜に聴くのにピッタリなスムーズ・ジャズ作品。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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