カテゴリー「グループ」の77件の記事

2020年4月25日 (土)

The Smooth Jazz Alley 「Let's Ride」(2020)

ザ・スムーズ・ジャズ・アレイは、サンフランシスコを拠点に活動する2人組のユニットです。

キーボード奏者マルコ・モントーヤ(Marco Montoya)とギター奏者スタン・エヴァンス(Stan Evans)が、2016年に第1作『Been A Long Time Comin』をリリース。その後エヴァンスと入れ替わりに、ドラム奏者ケヴィン・ルイス(Kevin Lewis)が参加しました。第2作となる本作は、モントーヤとルイスによる新生ユニットの新作です。

ゲストは、キエリ・ミヌッチ(ギター)、ジョエル・デル・ロザリオ(ギター)、アンディ・スニッツアー(サックス)、レブロン(サックス)、エリック・マリエンサル(サックス)、トニー・ゲレロ(トランペット)、ロバート・バレー(ベース)、マット・ゴーディナ(プロデュース/ギター)など、スムーズジャズ・ファンには馴染みの深い代表的なアーティストが多数参加しています。
第1作のメンバーであったスタン・エヴァンス(ギター)も半数の曲で、共作と演奏に参加しています。

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2020年4月12日 (日)

Roman Street 「Balcony of the World」(2020)

ローマン・ストリートは、トンプソン兄弟(ジョシュとノア)によるギター・デュオです。フラメンコをベースに、ラテン系の音楽、ジャズやポップスを取り込んで、ギター2本で表現する気鋭の二人組。

現代的なフラメンコ、いわゆる「ニュー・フラメンコ」の世界には、ギター2本による達人デュオが何組もいます。例えば、ララ&レイズ(Lara & Reyes)、ヤング&ロリンズ(Young & Rollins)は、両組とも2000年初頭に活躍したユニット。ストランズ&ファラ(Strunz & Farah)は、現役で活動中の二人組。いずれもアメリカ出身ユニットで、2本ギター、フラメンコのクロスオーバーという音楽スタイルは共通で、ローマン・ストリートの二人にとっての”ロール・モデル”でしょう。

先人の3組は、ギターの至芸をアピールする、まさにヴァチュオーゾの演奏が魅力ですが、ローマン・ストリートの二人はポップス寄りのソフィスティケートな音楽性が魅力です。わたしも、彼らの音楽には強く惹かれています。ポップなセンスもあり、ソフトな音像でもグルーヴを感じます。

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2020年4月 4日 (土)

Four80East 「Straight Round」(2020)

カナダのトロントを拠点に活動する二人組(ロブ・デボール、トニー・グレイス)、「Four80East(フォー・エイティ・イースト)」の新作です。1997年の『The Album』を皮切りに、エレクトロ系のコンテンポラリー・ジャズ・ユニットとしてユニークな作品を発表しています。

エレクトロ系と形容してもその音楽性は、一筋縄ではいかないところが、このユニットのユニークなところです。とりわけ前作『Four on the Floor』(5曲入りEP)では、全編ダンス・グルーヴが扇動する圧巻の“フロア・ミュージック”でした。

この新作は、前作のダンス・グルーヴは引きずらないで、本来のアバンギャルドな音楽性が発揮された作品です。一見(聴)、エレクトロ系のミニマリズムに覆われていますが、ソリッドなグルーヴが充実した秀作です。

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2020年1月28日 (火)

Brian Simpson & Steve Oliver 「Unified」(2020)

ブライアン・シンプソンとスティーヴ・オリヴァーのコラボレーション作品。二人の名義を冠した作品としては初めてですが、シンプソンの作品では共演を重ねてきた間柄。

Persuasion』(2016)では4曲。続く『Something About You』(2018)は、10曲中6曲で共作・共演。そして本作に至るという経緯です。シンプソンは、過去作品で多くのアーティストとコラボしていますが、その中でもオリバーとの「化学反応」がフル・アルバムを作るほどに相性が合ったということでしょう。

全11の楽曲は全て二人の共作とクレジットされています。ゲストは、リック・ブラウンが1曲(「Fired Up」)に参加していますが、ほとんどのトラックは2人を、アレックス・アル(ベース)、エリック・バレンタイン(ドラムス)、ラモーン・イスラス(パーカッション)のリズムセクションが支えています。

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2020年1月18日 (土)

Ramsey Lewis & Urban Knights 「VII」(2019)

60年を超えるキャリアを有するジャズ界のレジェンド、ピアノ奏者のラムゼイ・ルイスは御歳84才で、すでに引退表明をしています。この新作はキャリアの終点を飾る作品になるかもしれません。このアルバムのライナー・ノーツにも、自ら「このアルバムがリリースされる頃には、私はリタイアしているだろう」と述べています。

ルイスにとって記念碑的な作品ということに加えて、「アーバン・ナイツ」の名義を冠した作品としては、14年ぶりの7作目というのが大注目です。

アーバン・ナイツは、95年に『Urban Nights』(GRPレーベルから)をリリースしたスター・ユニット。ルイスを筆頭に、グローバー・ワシントン・ジュニア(サックス)、オマー・ハキム(ドラムス)、ヴィクター・ベイリー(ベース)という当時のジャズ/フュージョン界のトップ・スターが集結して、プロデュースはモーリス・ホワイト(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)というドリーム・チームでした。

その後、アーバン・ナイツ名義のアルバムは、2005年の『VI』まで6作品が作られましたが、ラムゼイ・ルイス以外の1作目のメンバーが再び集結することは無く、作品ごとに参加メンバーが変わりました。97年の2作目『II』こそ、ジェラルド・アルブライトナジージョナサン・バトラーら、1作目に劣らない実力派の布陣でしたが、それも一度切り。

『III』以降はレーベルがナラダ・ジャズに移り、ケヴィン・ランドルフ(キーボード)やケニー・ギャレット(サックス)、カルヴァン・ロジャース(ドラムス)、シャレー・リード(ベース)など、作品ごとにメンバーが変わります。6作目『VI』(05年)では、ラムゼイ・ルイスも演奏に加わったのは2曲(全11曲中)のみ。ちなみに、ルイスの実息であるフレイン・ルイスが、2作目からプロデューサーとして制作を手掛けています。

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2020年1月 5日 (日)

The Rippingtons 「Open Road」(2019)

皆さま、明けましておめでとうございます。今年も、グッと来たスムーズ・ジャズ作品を紹介していきますので、引き続き読んで頂けると嬉しいです。

さて、昨年の初めにリリースされていたが、聴きそびれていたザ・リッピングトンズ(以下リップス)の新作アルバムです。リップスは、デビュー以来30年を超えるキャリアのベテラン・ユニットで、良くも悪くも、聴く前からそのサウンドが想像できてしまう、という思い込みがあって時間が経ってしまいました。

近年は、ラス・フリーマンのワンマン・バンドの傾向がさらに増して、ワン・パターンと酷評も目にします。一方で、根強いファンもいるからこそ、コンスタントに新作をリリースして、必ずチャートに入りますから、さすがです。この新作は通算23作品目、前作『True Stories』(16年)から3年ぶりのオリジナル・アルバムです。

例によって、ほとんどの演奏はフリーマンによるワンマン・トラック。ドラムスはデイヴ・カラソニー、数曲でサックスはブランドン・フィールズが参加しています。ツアー演奏のリップスは、カラソニーとフィールズに、ベースのリコ・ベルドが加わったメンバーのようですが、レコーディングは徹底してフリーマンが一人でこなしています。前作では、同じ4人のメンバーによるアンサンブルも聴けたのですが、今作品では見当たらないのはちょっと残念。

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2019年11月 3日 (日)

Spyro Gyra 「Vinyl Tap」(2019)

スパイロ・ジャイラの6年ぶりの新作はカバー演奏集。今作のメンバーは、不動の4人、ジェイ・ベッケンスタイン(sax)、トム・シューマン(key)、フリオ・フェルナンデス(g)、スコット・アンブッシュ(b)と、新加入のドラム奏者ライオネル・コーデュー。前任のドラム奏者リー・ピアソンは前作1作のみで交代となった。コーデューは、ラウル・ミドン、スペシャルEFX、キエリ・ミヌッチ、チャック・ローブなどのレコーディングに参加しているセッション・ドラマー。

前作『The Rhinebeck Sessions』(13年)はメンバー5人だけによるインタープレイがスリリングな作品だった。今作のライブ的な演奏も前作を凌ぐ続編を思わせる。著名なポピュラー曲を分解して再構築するアプローチは、オリジナル曲と遜色のない創意を発揮した秀作。ジャズ寄りに重点を置いたインタープレイも外連味など見せない情熱的な演奏だ。

アルバム・タイトルの<ビニール>が意味するように、かつてのアナログ・レコード時代をテーマに取り上げた選曲が並ぶ。「Sunshine Of Your Love」(クリーム)、「Can’t Find My Way Home」(ブラインド・フェイス)、「What A Fool Believe」(ドゥービーブラザース)、「The Cisco Kid」(ウォー)などの70年前後の骨太なロックを題材にしたのは、意外に見えてもソリッドな演奏には最適な選曲。

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2019年10月20日 (日)

Tom Grant and Phil Baker 「Blue Sapphire」(2019)

トム・グラントは、70年代後半のデビューからフュージョン/クロスオーバーの音楽シーンで活躍してきたキーボード奏者。ソロ・アルバムは20作を超える。ライトでコンテンポラリーな音楽性はスムーズジャズの先駆者の1人といえる。近年は、自己のレーベル、nu-Wrinkle レコードから定期的に作品を発表している。アンビエントな作品を出したり、コマーシャルな路線とは一線を画す姿勢で音楽を追求しているようだ。この新作は、ベース奏者フィル・ベイカーとのコラボ・アルバム。

フィル・ベイカーは、サイド・マンとしてジノ・バレリなどとの共演を経て、2003年からはジャズ・オーケストラのピンク・マルティーニのメンバーである。グラントの作品にも長年、演奏や制作に参加していた。中でもグラントのアルバム『Tune It In』(2000)は、2人が楽曲の共作と共同プロデュースをコラボとして手がけた作品だった。今回の新作は、両名の名義を冠した初めてのアルバムで、<リユニオン>がコンセプトになっていると想像する。

2人の共通点は、オレゴン州ポートランド。ポートランドはグラントの出身地で、ベイカーが所属するピンク・マルティーニの活動拠点でもある。今作のゲストの多くがポートランドのミュージシャンで、ポートランドの音楽シーンから、グラントとベイカーの旧知の音楽家が一堂に会したよう。

 

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2019年8月25日 (日)

ピーセス・オブ・ア・ドリームの復習

ピーセス・オブ・ア・ドリームは、故郷フィラデルフィアの学生、ジェームス・ロイド(キーボード)、カーティス・ハーモン(ドラムス)、セドリック・ナポレオン(ベース)の3人が組んだアマチュア・バンドだった。10代のバンド結成(75年)から活動は通算40年を超えて、アルバムは20作品を数える。メンバー編成や音楽性は変容を経てきたが、今でもオリジナル・メンバーのロイドとハーモンの2人で活動するスムーズジャズ界屈指のレジェンド・バンドである。

Pieces Of A Dream (1981)

アマチュア時代にバンド名はいくつかの改名を経て、最終的にそのユニークな名前に決定。ロイドが語っているところによると、その名前はサックス奏者スタンリー・タレンタインの曲「Pieces of Dreams」のスピンオフ(ひねり)で、夢(ドリーム)を実現した3人(ピーセス)という意味を込めたそうだ。

ちなみに、タレンタインは同曲をタイトルにしたアルバム(74年)をリリースしているが、同曲はカバー演奏である。オリジナルは、ミッシェル・ルグランが作曲したアメリカ映画(邦名「美しき愛のかけら」70年)の主題歌。作詞はアランとマリリン・バーグマン夫妻、歌ったのはペギー・リーで、受賞は逃したがアカデミー賞主題曲賞にノミネートされた名曲。その曲は彼らのレパートリーだったのかもしれない。

ミドル・スクールの学生だった3人は地元フィラデルフィアのテレビ・ショウのバック・バンドに抜擢される。ゲスト出演したデイヴ・ヴァンレンタインや、ジェリー・バトラー、クラーク・テリー、グローバー・ワシントン・ジュニアといったスター・ミュージシャンの伴奏を務めた。その後3人は、ある日老舗ジャズ・クラブ「ビジュー」で前座演奏をする。その時、観客で来ていたグローバー・ワシントン・ジュニアが彼らの演奏に飛び入り、「Mr.Magic」(ワシントン・ジュニアの代表曲)を共演する。ロイドが15か16歳、他2人が17か18歳だったという。ワシントン・ジュニアの『Live At The Bijou』(77年)というアルバムは、その場所「ビジュー」でのライブ盤である。

その後、彼らを気に入ったワシントン・ジュニアが、自身のプロダクションに3人をスカウトしてプロ・デビューに至る。ワシントン・ジュニア自らプロデュースしてエレクトラ・レーベルからデビュー・アルバム(81年)をリリース。この時3人はまだハイスクールの学生だった。その後もワシントン・ジュニアがプロデュースして合計3枚のアルバムをリリースした。

まさにバンド名に込めたように、弱冠10代ではなばなしくプロ・デビューに至った幸運は3人にとってまさに夢がかなったのだった。

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2019年7月 7日 (日)

The Braxton Brothers 「Higher」(2018)

サンフランシスコ出身のザ・ブラクストン・ブラザースは、双子の兄弟、ネルソン(ベース)とウェイン(サックス)のデュオ・ユニットだ。デュオとして、『Steppin Out』(1996)、『Now & Forever』(1999)、『Both Sides』(2002)、『Rollin’』(2004)、『True Love』(2013)の5枚のアルバムをリリースしている。6枚目となるこの新作は5年ぶりの作品ということになる。

久しぶりの新作は、2人の原点回帰を思わせる作品。デビュー当初から、メロウなRB/スムーズジャズ・ユニットというスタイルだったが、前作ではボーカル(Chandlar)やラップ(Clister)をフューチャーして、ピップホップな方向転換の作品だった。この新作は、メロウなグルーヴに溢れた演奏作品で、その点で『Rollin’』以来14年ぶりのスタイルに回帰したといえる。

 

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