カテゴリー「グループ」の記事

2018年12月 8日 (土)

Jeff Lorber Fusion 「Impact」(2018)

IMPACTジェフ・ローバーと、ジミー・ハスリップに、サックス奏者アンディ・スニッツアーが加わった新生ジェフ・ローバー・フュージョンの新作は、同メンバーとしては、「Prototype」(2017)に次ぐ2作目。「Prototype」は、第60回グラミー賞の「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」を受賞した作品。
グラミー賞受賞というムードも反映して、前作以上にメンバーの意思疎通とリラックス感が、奔放に発揮された作品となった。3人に加えて、ドラムスはゲイリー・ノバック、ギターはポール・ジャクソン・ジュニア、といった前作に引き続いてのサポート陣と、安定感のあるアンサンブルを聴かせてくれる。
1曲目の「Sport Coat Makes Good」の、疾走感のあるリズム・パターンこそ、十八番のアンサンブル。ホーン・セクションを重ねたロックなビートが爽快。2曲目の「Pasadena City」も、このバンドならではの重量級のリズムとアンサンブルに圧倒される。「Quest」は、ゆったりとしたリズムが異色で、スニッツアーの奏でるフレージングもポップな味わいが、新機軸に聴こえる。最後の曲「Valinor」も、フレージングがポップで新鮮だ。ローバーのアコピと、スニッツアーのサックスの交錯がスウィングして心地いい。
Hacienda」(2013)や、「Prototype」はスリル感がたまらない作品だったが、少しリラックスしたグルーヴを聴かせてくれるこの作品も負けず劣らずの秀作だ。

2018年10月24日 (水)

Yellowjackets 「Raising Our Voice」(2018)

Yjackets raisingourvoiceラッセル・フェランテ(p)、ボブ・ミンツアー(sax)、ウィリアム・ケネディ(dr)、デーン・アンダーソン(b)、の4人による、イエロージャケッツの新作は、ブラジル出身のボーカリスト、ルシアーナ・ソウザをゲストに迎えた意欲作だ。ジャケットの写真は、ソウザがイエロージャケッツの新メンバーになったかのような扱いなので、ちょっとびっくり。実際は、ソウザが参加したのは13曲中7曲で、残りの6曲は、バンドのインスト演奏曲なのだが、彼女の参加でアルバム全体に新鮮なムードが満ちた内容だ。
イエロージャケッツは、過去作品でも、マイケル・フランクスボビー・コードウェル、テイク・シックス、ボビー・マクファーリンといったボーカリストをゲストに迎えたことがあるし、1998年のアルバム「Club Nocturne」は、カート・エリング、ブレンダ・ラッセル、ジョナサン・バトラー、ジノ・ヴェネリ、といった複数のボーカリストをフューチャーした作品だった。今作のソウザのように、アルバムの大半を1人のボーカリストが務めるというのは画期的。ソウザとは、過去に共演していたのかと思いきや、今回が初めてのようだ。接点は、ラッセル・フェラントと、ソウザの旦那さんでプロデューサーのラリー・クラインらしい。ラリー・クラインは、以前はジョニ・ミッチェルのプロデューサーであり、パートナーであった人。フェラントも、ジョニ・ミッチェルと共演していたということもあり、2人の旧知の縁から、ソウザの参加に至ったようだ。
ソウザが参加した7曲の内、3曲はジャケッツの過去曲の再演。「Man Facing North」と「Solitude」は、1992年のアルバム「Like A River」収録曲。「Timeline」は、2011年アルバムのタイトル曲。彼女の、透明感のある声質、器楽的でテクニカルなスキャットが加わり、新鮮な再演となり、このコラボの成功を示している。ソウザが参加した新曲「Mutuality」(ラッセル・フェランテ作曲)は、ベスト・トラックの1曲。バロックのような室内楽的でロマンチックな曲想で、フェランテのピアノ、ミンツアーのソプラノ・サックス、ソウザのスキャットが交差するインタープレイが美しい。CDのライナーノーツによると、タイトルはマーティン・ルーサー・キング牧師のスピーチから得たという。その言葉とは、「All men are caught in an inescapable network of mutuality」、つまりは「すべての人は相互依存から逃れる事はできない」ということ。今の危惧すべき世界の動静には、曲作りで抵抗の声を上げることが必要ではないのか、というメッセージを込めたという。アルバムのタイトルにこそ、同じメッセージが読み取れる。
4人による、イエロージャケッツとしてのインスト演奏も注目だ。新ベーシストのデーン・アンダーソンとしては、前作「Cohearence」(2016)から2作目の作品だが、彼のペンによる曲を初めて3曲提供している。その内の1曲「Brotherly」は4人のアンサンブルがスリリングなコンテンポラリー・ジャズ曲。アンダーソンの重厚なベース・プレイが光っていて、かつてのジミー・ハスリップの抜けた穴を埋める才能だと期待したい。ボブ・ミンツアー作曲の「In Search Of」と「Strange Time」は、いずれもストレート・アヘッドなジャズ曲。ジャケッツが、ジャズ・バンドとして、変わらずトップ級である演奏を堪能できる。「Strange Time」は、変拍子のような曲で、複雑系のリズムで、スウイングするアンサンブルは、これぞジャケッツならではという演奏。
ちなみに、ほぼ同じくしてリリースされた、ルシアーナ・ソウザの新作アルバム「The Book of Longing」も、素晴らしい作品。ギターとベースのみをバックに歌った作品で、プロデュースはもちろんご主人のラリー・クライン。レナード・コーエン作品にインスパイアされて作った曲が中心だという。言葉をかみしめるような彼女の歌唱と、バックの演奏に引き込まれてしまう。

2018年5月18日 (金)

Greg Adams and East Bay Soul 「Conversation」(2018)

Conversation_2

トランペット奏者グレッグ・アダムスは、西海岸のファンク・バンド「タワー・オブ・パワー」のデビュー(1970年)から90年代初めまで中核メンバーであった人。1995年にソロ・デビュー(「Hidden Agendas」)して以来、2006年まで4枚のソロ作品をリリースしている。彼が率いる「イースト・ベイ・ソウル」は、2009年に「East Bay Soul」でデビューした10人編成のバンドだ。その後、「East Bay Soul 2.0」(2012)、「That's Life」(2015)をリリースして、今作が最新アルバム。編成的には「タワー・オブ・パワー」を彷彿とする、ホーン・セクションが中心となったバンドだけれど、パワフルなホーンのインパクトというより、R&Bをベースにした比較的クールなサウンドが特徴だろう。特に、今作は今まで以上にジャズのムードで、洗練されたアンサンブルが秀逸な作品。 M1「Look Book」は、タイトなリズム・セクションがダンサブルで、グレッグ・アダムスの枯れたフレージングが浮遊するファンキーな曲。M2「Conversation」は、レイド・バックしたムードがクールで、ビック・バンド・ジャズのアプローチを感じさせる曲。M7「Possibilities」は、ホーン・セクションが聴きどころの、ハイライト曲。ギター(マツモト・ケイタ)の終始続くカッティング・プレイがなんともファンキーで聴かせてくれる。M8「Send」は、グレッグ・アダムズのフリューゲルホーンを堪能できるキャッチーな曲で、スウィングするピアノ(ニック・ミロ)のアドリブも聴きどころ。 M3「Quiet Scream」は、ストリングスも入るムーディーな曲で、テナーサックス奏者ダリル・ウォーカーが「唄う」ボーカル曲。ダリル・ウォーカーは、テナーサックス奏者としてホーン・セクションにいるのだけれど、いわゆる「二刀流」で歌っていて、AOR的な歌声で、なかなかのシンガーぶりだ。M9「Where Do We Go from Here」の美メロ・バラード曲では、ノスタルジックな歌声で、スタンダード・ポップスのようなドラマチックな歌い方を披露するし、M10「Try a Little Tenderness」は、オーティス・レディングの名曲のカバーで、ソウルフルな熱い歌いっぷりを聴かせてくれる。ファースト・アルバムの「East Bay Soul」は、複数のゲスト・シンガーを迎えた作品で、ウォーカーの歌は1曲だけだったが、以降の作品では彼のボーカルだけをフューチャーして、今やこのバンドのサウンドに欠かせないシンガーになっている。グレッグ・アダムスは、おそらく70歳で、古希になろうかというベテラン・プレイヤーで、いまだに活発な演奏が聴けるのが嬉しい。ちなみに、タワー・オブ・パワーの方も、50周年を迎えていまも活動中で、エミリオ・カスティーヨ(サックス)やステファン・クプカ(バリトン・サックス)といった結成時からのオリジナル・メンバー多数が中心というから、まさにシルバー世代の、レジェンドなバンドだ。彼らの新作アルバム「Soul Side of Town」は、じきにリリース予定、そちらも聴かねばなるまい。

2017年12月 9日 (土)

Pieces of a Dream 「Just Funkin' Around」(2017)

Funkin_around

この数ヶ月、ヘビー・ローテーションになって、飽きもせず聴いているのが、このピーセス・オブ・ア・ドリームの新作。タイトル通り、ファンクのバイブレーションが堪能できる傑作。ライブ録音的な演奏で、リアル感溢れるビートにガツンと来ること間違いなし。バンド結成以来のメンバー、ジェームス・ロイド(キーボード)とカーティス・ハーモン(ドラムス)に加えて、サックスのトニー・ワトソン・ジュニア、ベースがデビッド・ダイソン、ギターのランディ・ボーリング、この5人のアンサンブルによる演奏。クワイエット・ストーム的でメロウなスタイルが、このユニットの看板ではあるけれど、それが「静的」としたら、この新作は、骨太なグルーヴが発揮された、「動的」な代表作になりそうな秀作。「ファンク」は、最近のスムーズジャズのキー・ワード。ブライアン・カルバートソンはディープでダンス的なアプローチ、ジェフ・ローバーはハード・フュージョン。このピーセス・オブ・ア・ドリームは、彼らの原点フィラデルフィア・ソウルを下敷きにした洗練されたファンクというところかな。M1「Right Back Atcha」、M2「Just Funkin' Around」、M3「Shaken, Not Stirred」は、そんなファンク・グルーヴに浸れる怒涛の3曲。ジェームス・ロイドのスウィングするキーボードや、最近作品では常連のサポート・メンバーであるトニー・ワトソン・ジュニアのフレッシュなサックス・プレイ、それぞれのフレージングとパワフルなリズム・アンサンブルが爽快。M5「Fast Lane」は、この曲はシンセのオーバーダブを駆使した演奏で、ジェームス・ロイドらしいキャッチーなメロディーの、ヘビロテ間違いなしのポップ・チューン。カーティス・ハーモンの縦横無尽なドラミングが、リアルに録音されているところも、この作品の聴き処です。

2017年11月26日 (日)

Peet Project 「The Bad Boys of Budapest」(2017)

Peet_budapest

ハンガリーのスムーズジャズ・ユニット、ピート・プロジェクトの新作。バイオリン奏者ピーターが率いる5人組バンドは、見た目はボーイズ・ポップ・バンド風ではあるが、ボーカル曲もインスト曲も自らの演奏でこなす技量と、バンドとしてのまとまりはなかなかのもの。曲は、ダンシング・ビートのポップ・チューン中心で、ダンス・バンドのようでもあるけれど、フレッシュで健康的なグルーヴは、ヨーロッパ風にも聴こえて、新鮮。M6「Rosy Cheeks」は、デイヴ・コーズが客演した、キャッチーなハイライト曲。コーズのサックスと、ピーターのバイオリンの際立った掛け合いが必聴の曲。M4「Bring Me to Life」も、ゲストがジョナサン・フリッツェンのピアノと来れば、こちらもスムーズジャズ・ファン必聴の曲。ビートが堪能できる曲こそ、やっぱりこのバンドらしいところ。M1「Downtown Therapy」、M2「Don't Wanna Know」や、M5「Like a Kid」、M8「Shut the Door」、M11「River Cruise」、M13「Kill Your Monster」といった曲は、ボーカルだろうがインストだろうが、「ウキウキ」なダンシング・チューンの佳曲ぞろい。これが、このバンドの特徴的なスタイルで、いずれも二重丸。いつかそのうち、世界的なヒット曲を出すような「気配」、感じませんか。

2017年10月21日 (土)

The JT Project 「Another Chance」(2017)

Anotherchance

ザ・JT・プロジェクトは、トッド・シフリン(サックス)とジェイコブ・ウェッブ(キーボード)の2人によるユニット。トリッピン・リズム・レコードからの1作目「Moments of Change」(2016)は、新しいスムーズ・ジャズのスターを予感させる充実した傑作だった。この新作も、全15曲のボリュームで、前作以上に2人の力量に圧倒される力作だ。冒頭を飾る、M1「Another Chance」や、M2「Give Me the Heat」は、前作の方向性を踏まえた、キャッチーなビートのポップな、とびきりのスムーズジャズ曲。この辺りが、このユニットの代名詞で、M6「Open Your Eyes」、M10「Breath」、M11「Louisa」、M14「Pure Intentions」の各曲も、疾走するグルーヴがたまらない、JTプロジェクトらしい、ぐっとくるスムーズジャズ曲。一方で、技巧的なジャズ・パフォーマンスもこのユニットの特色。コンテンポラリー・ジャズのM4「Segue」は白眉な演奏で、この曲と、M9「Sunlight」の、シフリンの熱のこもったサックスのインプロビゼーションは必聴。ちなみに、この作品の演奏メンバーに、ランダル・ヘイウッド(トランペット)、エイプリル・メイ・ウェッブ(ボーカル)という人が参加しているのだが、この2人は、「Sounds Of A&R(略してS.O.A.R.)」というジャズ・ユニットを組んでいる2人。このS.O.A.R.も、JTプロジェクトと同じトリッピン・リズム・レコードから「Let’s Stay Forever」というアルバムが出ていて、そちらにはJTプロジェクトが客演している、という関係。女性ボーカルの、エイプリル・メイ・ウェッブという人、JTプロジェクトのジェイコブ・ウェッブと、ファミリー・ネームが同じだから、兄妹?姉弟?なのかな。

2017年8月13日 (日)

Special EFX 「Deep as the Night」(2017)

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現在のスペシャルEFXは、ギター奏者キエリ・ミヌッチのソロ・プロジェクトである。かつてのオリジナル・メンバー、ジョージ・ジンダが他界(2001年)した後、ミヌッチがバンド名を引き継いだ。前作「Genesis」(2013)に継ぐ新作で、アーティスト名義は「スペシャルEFX」と表示されていて、キエリ・ミヌッチの名前が無いが、実質的にはミヌッチの作品。1983年のデビュー作から数えて、バンド名義の作品としては21作品目。 M1「Deep as the Night」は、キャッチーな都会的なメロディーが、まさにジャケットの景色のよう。サックスはデヴィッド・マンで、ミヌッチとのアンサンブルが聴きもの。 M2「Another Day, Another Smile」は、アコースティック・ギターとバイオリン奏者アントワーヌ・シルバーマンの掛け合いが温かいムードを作り出す、フォーキーな曲。 M3「Lavish」はスペイン風のメランコリー・メロディーがポップで、リピートしたくなるハイライト曲。客演は、キーボード奏者ニコラス・コール、サックスはエラン・トロットマン。客演が入る冒頭の3曲以外の曲は、ほとんどがミヌッチのギター中心のワンマン演奏のおもむき。M5「Across the Seven Seas」は、ギター演奏はパット・メセニーを思わせる牧歌的な佳曲。M6「Night Shift」、M7「Garden of Eden」の2曲はミヌッチらしい、マイナーなムードのファンキーな音色で、いずれも打ち込み系のサウンドだけれど、ギターのフレージングがアーシーな感じで印象的。ミヌッチの技量的でドリーミーな音色で魅了するギター演奏、ドラマチックなアレンジメント、いつもの路線だけれど、これがファンとしては安心して浸れる、ミヌッチの音楽世界。

2016年9月11日 (日)

Tortured Soul 「Hot for Your Love Tonight」(2015)

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トーチャード・ソウルは、ジョン・クリスチャン・ユーリック(ボーカル、ドラマー)、イーサン・ホワイト(キーボード)、ジョーダン・スカネラ(ベース)の3人によるバンドで、これは久しぶりの新作。2001年に、ユーリックが中心に活動を開始したバンドで、オリジナルメンバーのベース奏者は、Jason JKriv Kriveloffだったが、2010年に脱退して、スカネラに代わった。その音楽スタイルは、80年代のディスコを下敷きに、打ち込みやオーケストレーション無しに、3人の演奏のみでグルーヴするところが魅力。特に、ユーリックのドラムを叩きながらの、ブルーアイド・ソウルな歌声が魅力だし、ブラック・スーツで統一したトリオのルックスもクール。ダンス・ミュージックとはいえ、ファンク・ジャズやハウス系アシッド・ジャズのテイストもあって、ダンス・ビートだけの軟派な印象に惑わされなきよう。この小編成トリオが繰り出す演奏のキレの良さこそ、硬派なファンク・スピリットが魅力なバンド。コアなスムーズ・ジャズ・ファンにこそ聴き逃して欲しくない。リミックスなどを除くフル・アルバムとしては、6年ぶりで3作目となる待望の新作だが、直前にメンバーのイーサン・ホワイトが2015年3月に急死した直後のリリースとなった。クレジットにはイーサン・ホワイトの名前があるので、完成を終えての他界だったよう。初期の代表曲「Home to You」や、「Did You Miss Me」が今でも愛聴曲なファンとしては既視感を覚える曲が並ぶ。M1「I’ll Be There for You」のメランコリーなディスコ・チューンや、典型的なハンド・クラッピングが印象的なM4「Hot for Your Love Tonight」、キャッチーなM3「Don’t Lead Me On」など、踊らなくとも、トリオのグルーヴに感激するトラックが満載。スローなバラードなど無しの、12曲全曲ディスコ・ビートに終始する、これでもかという怒涛のダンス・ミュージック。これぞ、このトリオの主張を感じて爽快な佳作。

2016年7月17日 (日)

The Rippingtons 「True Stories」(2016)

Jazzcat

ザ・リッピングトンズ(下記リップス)の新作は、結成以来30年を超えて、アルバムは22作目となる作品。ギター奏者ラス・フリーマンの主役は変わらないけれど、久々にバンドとしてのアンサンブル・サウンドが活き活きとしていて、新鮮な秀作になった。サックス奏者は、ジェフ・カシワが退いて、今作品からのサックス奏者は、かつてのメンバーであったブランドン・フィールズが復帰。ブランドン・フィールズは、リップスのオリジナル・メンバーで、デビュー作品「Moonlighting」(1987)から、「Welcome to the St.James’ club」(1990)まで、初期の4作品でメンバーだった。フリーマンと、フィールズ以外の現在のメンバーは、デイヴ・カラソニー(ドラムス)、リコ・ベルド(ベース)、ビル・ヘラー(キーボード)。でも、このアルバムには、ビル・ヘラーのクレジットは無い。アルバムの10曲中、フィールズのサックスが参加しているのは7曲で、それ以外はほとんどフリーマンのワンマン・トラック。M5「Reach Higher」は、フリーマン、フィールズ、ベルド、カラソニーの4人がクレジットされた、唯一のバンド演奏曲。この演奏のアンサンブルはフュージョンのバイブレーションだし、ブランドン・フィールズのサックスは、骨太でファンキーなフレージングで、新鮮なリップス・サウンド。このアルバムで、フリーマンは、ガット・ギターを多用していて、M1「Wild Tales」、M10「True Stories」やM6「Dreamcatcher」で聴ける。ジェフリー・オズボーンの歌声がフューチャーされたキャッチーなポップ曲、M4「My Promise To You」でも、ガット・ギター。特にM3「Flamenco Beach」は、ワンマン演奏のトラックで、フラメンコ・スタイルのソロ・ギターが素晴らしい。M8「Kings Road」では、片やエレキ・ギターが印象的で、フィールズのサックスはパワフルだし、カランスキーのドラム・ソロが「珍しくも」フューチャーされている、ロックのノリを感じさせる、リップスとしての新機軸の演奏。聴きどころが多い多彩な作品だけれど、今度は、メンバーだけのバンド・アルバムを作ってほしいなあ。

2016年5月 8日 (日)

BWB 「BWB」(2016)

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リック・ブラウン(トランペット)、カーク・ウェイラム(サックス)、ノーマン・ブラウン(ギター)、3人によるユニットBWBの3作目となる強力な新作。2002年にデビュー作「Groovin」を出して、フルアルバムの2作目「Human Nature」はなんと10年後の2013年リリースだった。「Groovin」も、「Human Nature」もカバー演奏中心の作品だったけれど、この新作はなんと10曲すべて、オリジナル作品というから、待ち焦がれたファンは狂喜せずにいられない。7曲が3人の共作で、残り3曲はそれぞれが各1曲を作曲。過去のカバー演奏も良かったけれど、楽曲としても佳曲揃いのオリジナル曲を並べたこの新作こそ真骨頂。3人の生み出すグルーヴは、パワービートにあらず、リラックスムードに溢れていて、いやはや何ともカッコいい。そして今作の特色は、3人がコーラスを担当していて、そのコーラスを配した曲が新機軸。M2「Bust a Move」や、M6「Lemonade」、M8「Hey Baby」、M10「Turn Up」は、いずれも、そのコーラスが聴ける曲で、コーラスの効果もあってどれもポップな佳曲。3人のコーラスは、ハモるようなテクニックもなく、荒削りだけれどリラックスしたムードが伝わる、ピュアでハートフルな魅力に溢れている。もちろん、演奏に徹した曲も当然に聴き逃せない。M1「Triple Dare」は、3人のソロとインタープレイが光るスムーズジャズ・チューン。M7「Memphis Steppin’」は、オールドスクール的なソウル・メロディがキャッチーな曲で、ブラスセクションをバックに、3人のチェイスするような交差するアドリブは鳥肌もの。M3「BWB」はレゲエのリズムを、M4「Bolly Bop」ではインド風のメロディーを織り込んだ曲、というように曲ごとにアレンジやサウンドデザインも彩色豊かで素晴らしい。次の作品もオリジナルで作ってほしいけど、何年後だろう。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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