カテゴリー「サックス」の119件の記事

2020年6月21日 (日)

Konstantin Klashtorni 「7 x 7」(2020)

コンスタンティン・クラストルニは、ウクライナ出身のサックス奏者/マルチプレイヤーです。現在は、ドイツのデュッセルドルフに住んでいるようです。ホーム・スタジオで、サックス、ギター、キーボードなどを操りワンマン音楽を創り出すアーティストです。

ポール・ハードキャッスルブライアン・カルバートソンの影響を受けていると自ら明言するように、そのスタイルは、チルアウトに徹したムードを演出する音楽です。

デビュー作「Down Town」(2003)から、自己名義のソロ作品はこの新作が8作目です。他にも、「Kool & Klean」(通算9作)、「Groove Jazz N Chill」(通算7作)、「Love Suggestions」(通算3作)、「Smooth Pack」など、それぞれチルアウトやエレクトロトニックな共通性があるシリーズを精力的に多作しています。

スタジオ・ワークを駆使した音楽は、整地された安定感と完成度に貫かれています。刺激性はないけれど、メロー・ムードがループのように続いて、思いがけず心地よい中毒性に酔わされます。

タイトルの「7X7」は、クラストルニの年齢49歳を意味しているとか。

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2020年5月 2日 (土)

Keith McKelley 「Liquid Smoke」(2020)

キース・マッケリーは、ロサンゼルスを拠点に活動するサックス奏者です。サイド・マンとして、ボブ・ジェームス、マーカス・ジョンソン、アダム・ホーリーなど多くのミュージシャンと共演をこなしています。

自身の作品は、『Keith McKelley』(2010)、『Eclectic Christmas』(2011)の2枚のアルバムを発表。シングルのみの「Serpentine Fire」(アース・ウインド&ファイアー)は、なかなか豪快なカヴァー演奏で強烈に記憶に残りました。この新作は、久しぶりのフル・アルバムです。

詳細なクレジットは不明ですが、ゲストには、ボブ・ジェームス、ハービー・メイソン、カル・ハリス・ジュニアアダム・ホーリー、ダン・ウィルソン(ギター)などを迎えています。パワフルなブロウ・スタイルのサックスを主役に、シンセや多様な音色による重層な音像で固めた意欲作です。

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2020年3月14日 (土)

Vincent Ingala 「Echoes of the Heart」(2020)

ヴィンセント・インガラの、『Personal Touch』に続く新作です。例によって、インガラ自身でほとんどの楽器演奏、作編曲、プロデュース、ミックスを手がけています。今回はゲストに、デイヴィッド・ベノワ(ピアノ)、クリス・ゲイス(ピアノ/キーボード)、スティーヴ・オリバー(ギター)など以前から共演経験のあるベテラン・アーティストを迎えました。従来の作品以上に、心地良いサウンドとドライブ感に満ちたMOR路線が冴え渡っています。

<Echoes Of The Heart>は、クリス・ゲイスとの共作で、ゲイスがピアノ/キーボード演奏に加っています。都会的なムードがバツグンの楽曲で、哀愁を湛えたインガラのサックスには唸ってしまいます。

<Somewhere in Time>は、デイヴィッド・ベノワとの共作曲。ベノワのピアノがリリカルなプレイを披露して、息を合わせるソプラノ・サックスが見事です。ベテランとの共演でも、歩調を合わせるスタンスがあるから共演に引っ張りだこの人気があるのでしょう。

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2019年12月 7日 (土)

Najee 「Center of the Heart」(2019)

コンスタントに良質な作品をリリースするサックス奏者ナジーの新作。1986年のソロ・デビュー以来、オリジナル・アルバムは16作目。30年を超えるキャリアの持ち主でも、新作ではいつも新しい切り口を聴かせてくれる。『Poetry in Motion』(17年)に続く今作は、若手のアーティスト(ブレア・ブライアントなど)や、新鋭のプロデューサー(ダーレン・ラーン、グレッグ・マニングなど)とのコラボを新機軸とした傑作だ。

ナジーは、テナー・サックスをメインに、アルト、ソプラノのサックスとフルートをバランス良く持ち替えて演奏する。特にフルートの演奏は必ず数曲アルバムに入れている。今作も、10曲中3曲がフルート演奏の曲。冒頭を飾る2曲で演奏していることもあり、フルートの演奏が強く印象に残る。

1曲目「Bella Visata」は、滑らかに疾走するフルートが心地いいハイライト曲。作曲は、ナジーとプロデューサーのデモンテ・ポセイの共作。ポセイとは『The Morning After』(13年)以来のコラボレーションで、この新作の4曲をプロデュースしている。バカラック曲「Alfie」のカバーもポセイによるプロデュース曲。編曲はいわゆる<ウィズ・ストリングス>的にオーケストラをバックに、ナジーがフルートで演奏する。上品なストリングスと交わる、ストレート・ジャズ的なナジーのフレージングも素晴らしい。いつか、ウィズ・ストリングスのフル・アルバムを作ってほしいなあ。

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2019年8月11日 (日)

Mel Holder 「Music Book Vol. III - Magnificent」(2019)

メル・ホルダーは、ニューヨーク出身のサックス奏者。ゴスペル/クリスチャン・ミュージックにカテゴリー分けされる人で、1999年のデビュー作から5枚のソロ・アルバムをリリースしている。ブルックリンにある教会の敬虔な信者であり、20年以上に渡り音楽を担当する聖職者として活動している。多くのゴスペル系アーティストとの共演や、教会が行う米国内外の布教/演奏活動を行なっている。

近年の教会は、メガ・チャーチと呼ばれる数千人超の信者を集めるコンサート規模の集会が大人気だそうだ。そのステージでは、ゴスペルはもちろんロックやカントリーをベースにしたバンドやシンガーが参加者を高揚させるという。そんなムーブメントも昨今のクリスチャン・ミュージックの多様化の一因と想像する。私は宗教的な解説を述べる知識はないが、音楽目線では近年のゴスペルやコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックは気になる存在だ。インストゥルメンタルの楽曲もあり、特にスムーズ・ジャズのアーティストが登場するのは聴き逃せない。

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2019年8月 4日 (日)

Walter Beasley 「Going Home」(2019)

ウォルター・ビーズリーの新作は全11曲、数曲を除いて、ほぼ同じメンバーによるグルーヴィーな演奏が光る秀作。キー・パーソンは、キーボードのフィル・デイビスと、ドラムスのジョン・ロバーツ。ビーズリーは、ほとんどの曲でソプラノ・サックスを吹いている。

何より5曲のカバー演奏に惹かれてしまう。グローヴァー・ワシントン・ジュニアや、ウィルトン・フェルダー、ジョージ・ハワード、ロイ・ハーグローヴらの楽曲を演っているのだが、いずれも80年から90年代をピークに活躍した、スムーズジャズの先駆者と言える偉大なミュージシャン。ビーズリー自身のヒーロであり、オマージュなのだろう。自らが継承者であることをアピールするような、ビーズリーの演奏が素晴らしい。

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2019年4月21日 (日)

Lebron 「Undeniable」(2019)

サックス奏者レブロン・デニース(アーティスト名はレブロン)の新作。

レブロンは、実父はサックス奏者だったが、12才の時にアール・クルーのコンサートに行き、その時に聴いたサックス奏者マイケル・パウロに魅せられてサックスを始めたのだという。出身地アリゾナの消防隊員だったという異色の経歴で、救急救命士の資格を持っている。消防隊員を、スムーズ・ジャズ・アーティストに「発掘」したのはサックス奏者ダーレン・ラーン。ラーンが、レブロンをトリピン・アンド・リズム・レコードに推薦してデビューに至った。デビュー作「Shades」(2013)は、ラーンのフルサポートによるフレッシュな作品だった。2作目の「New Era」(2015)も、ラーンが協力した佳作。そしてこの新作が3作目。

今回は、ダーレン・ラーンのクレジットは見当たらず、マイク・ブルーニングがプロデュースを手がけた。ブルーニングの手腕によるメロウなサウンドに、レブロンのリリカルなサックスが印象的な作品。アルバム10曲中7曲を、ブルーニングが楽曲の作曲と共作、キーボード等の演奏、プロデュースを務めている。ブルーニングは、シンディ・ブラッドレイマリオン・メドウズマイケル・リントンなどのプロデュースや作編曲演奏でサポートしているキーマンだ。特に、シンディ・ブラッドレイの一連の作品には深く関わっている。(他3曲はマット・ゴディーナのプロデュース)

 

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2019年4月 7日 (日)

Neamen 「Moment Of Truth」(2019)

Mot_neamen ニーメン・ライルズは、「So Free」(2011)でデビューしたサックス奏者。デビュー作は、ギター奏者ジェイ・ソトがプロデュースと作編曲や演奏で、全面的にサポートした作品。そのデビュー作は、都会的でメロウな楽曲もいいし、ライルズのフレッシュなサックスが光った好印象の作品だった。

そしてこの新作は、デビュー作から8年ぶり、満を持しての2作目。今回も、ジェイ・ソトが、作曲編曲、ギターにキーボード演奏、プロデュースに至るまでサポートしている。前作のメロウなスムーズ・ジャズのムードとは変わって、楽曲もサウンドもかなりヒップな路線。ライルズのサックスも、ダイナミックにブロウする。曲も、ダンス・チューン、ファンク、ラップもあり、尖ったロックに、ブラコンありと多彩。半数を占める6曲がボーカル曲なので、デビュー作の印象で聴くと、戸惑ってしまう。

Flash Back Rhythm」は、キャッチーなダンス・チューン。ボーカルは、オースティン・カーステルという人。ファンキーなサックスと重なるラップがカッコいい。「This Love is Yours」も、上質な都会的アダルト・コンテンポラリー・ソング。ボーカルは女性R&Bシンガーのクリスタル・スターク。歌伴のソプラノ・サックスがメロウでいい感じ。他のボーカル4曲も、RBAOR、果てはロックと、異なる曲想で、別々に男女4人のボーカリストを迎えている。

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2019年3月17日 (日)

Nelson Rangell 「By Light」(2019)

ネルソン・ランジェルは、80年代後半から活躍するサックス奏者。多種のサックスに加えて、フルートやピッコロも多才にこなす。キャリアは30年におよび、90年代のGRPレコードからの作品(7つのソロ・アルバムや客演)で、コンテンポラリー・ジャズのサックス奏者として実力を知らしめた。

ランジェルは、最近のラジオ・インタビューでこのアルバムを「ポップ・ジャズ」と呼んでいた。ブレッカー・ブラザース、デイヴィッド・サンボーン、ザ・クルセイダーズといった、70年代から80年代に活躍したクロスオーバー/フュージョンのスター達が彼のヒーローだったという。ジャズが、ポップスのフォーマットを取り入れたインスト曲が人気を博した時代。ランジェルがGRPで活躍した90年代も、トム・スコット、ザ・リッピントンズ、ボブ・ジェイムス、リー・リトナー、デイヴ・グルーシンといったアーティストが、さらにポップでキャッチーな曲を、何よりグルーヴのある演奏で進化させた。そんな系譜を「ポップ・ジャズ」と呼んでいるのだろう。さて、この新作は、ランジェルのソロ作品として18枚目の会心のアルバム。

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2019年3月12日 (火)

Phillip Doc Martin 「Colors」(2019)

サックス奏者フィリップ・ドック・マーティンは、現役の歯科医(だから愛称がドック)であり、演奏家でもあるという、ユニークな二刀流キャリアの人。前作「Pocket Love」(2016)は、小気味の良いサックスと、品の良いサウンドがとびきりに心地いい、繰り返し聴いた愛聴盤だった。待ち遠しかった新作が届いた。前作のムードを引き継いで、洗練されたサウンドとキャッチーな楽曲、何よりキレが増したようなマーティンのサックスが魅力を増した秀作だ。

前作同様、プロデュースはマーヴィン・トニー・ヘミングスで、サウンド作りのキー・マンだ。大半の曲のサポート・メンバーは、アーロン・バッキー・バッキンガム(dr)、ジャマール・アンドリューズ(b)、ダニエル・ケリー・ハワード(g)という布陣で、馴染みが無いミュージシャンだが、おそらく日頃の演奏メンバーなのだろう。クレジットは無いが、キーボードの演奏やその他楽器は、おそらく全てヘミングスが手がけたと思われる。大半のオリジナル曲も、前作同様、マーティンとヘミングスの共作に違いない。

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