カテゴリー「ギター」の76件の記事

2019年7月14日 (日)

Torcuato Mariano 「Escola Brasileira」(2019)

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トルクアート・マリアーノはアルゼンチン生まれでブラジルで活躍するベテラン・ギター奏者。ソロとしては5枚の作品をリリースしている。

世界的な評価も高いブラジルのシンガー、カズーザ、イヴァン・リンス、ガル・コスタ、ジャバンなどとも共演。作編曲家でプロデューサーとしても、フラヴィオ・ヴェントゥリーニ(Flavio Venturini)、ファビオ・ジュニア(Fabio Junior)、パウリーニョ・ダ・ヴィオラ( Paulinho da Viola)、ベロ(Belo)といった、ブラジルの錚々たるシンガー/アーティスト達の作品に関わっている。

ギター奏者としても、スムーズジャズ系ミュージシャン、イエロージャケッツ、マイケル・リントン、ボブ・ボールドウィンらと共演も多い。最近ではボールドウィンの『The Brazilian-American Soundtrack』でも、マリアーノがフューチャーされていた。

 

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2019年5月28日 (火)

Dave Sereny 「Talk To Me」(2018)

Bb48df9996644ebe942e1a83f6f542f0 デイヴ・セレニーは、カナダ出身のギター奏者。カナダのスムーズ・ジャズ系のギター奏者というと、スティーヴ・オリバーや、ロブ・ターディック、といった巧者が思い浮かぶ。このセレニーも負けず劣らずハートに響くアーティスト。ジョージ・ベンソンのフォロワーといったスタイルで、カラッとしたグルーヴが持ち味のブルー・アイド・ソウルのような趣き。

2007年に「Take This Ride」を出して以来10年ぶりというこの新作アルバムは、RBムードの曲からポップな曲も並ぶ多彩な佳作だ。

About Her」は、ギブソンの骨太なフレージングや、コーラスが印象的な、メロウなソウル・ムードのハイライト曲。ファンキーなサックスは、同郷カナダ出身のウォーレン・ヒルの客演。セレニー本人が今回初めてボーカルを披露したというナンバー「Talk To Me」はキャッチーなメロディーが上質感を漂わせる佳曲。

Spotlite」はビート・ナンバーで、スピード感のあるフレージングがかっこいい。「Freedom」では、ブルージーなパッセージを披露して、ギタリストとしての本領発揮を聴かせる。カバー曲は、ボブ・マーレーの「Jammin」、スティーヴィー・ワンダーの「Id Be A Fool Right Now」の2曲。いずれも原曲のメロディーに忠実なプレイがなかなか良い感じ。

キャッチーなオリジナル曲の数々に作曲の才能も光る。ヒット性を予感させる好感度の高い作品。

 

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2019年5月19日 (日)

ノーマン・ブラウン作品の復習

ギター奏者ノーマン・ブラウンのキャリアはデビュー作品から数えて27年、名実共にスムーズジャズを代表するギタリストだ。彼の過去作品を振り返り<復習>してみよう。

 

Storm

ノーマン・ブラウンのソロ・デビューは29才の時。モータウンのMoJazzレーベルから『Just Between Us』92年)、『After The Storm』94年)、『Better Days Ahead』96年)と5年間で3枚の作品をリリース。

MoJazzは、92年に発足したモータウン傘下のジャズ(コンテンポラリー/スムーズ系)専門レーベル。ブラウンのデビュー作品が第1弾作品だった。新設レーベルとして、ブラウンをポスト・ジョージ・ベンソンとして売り込もうと力を入れた。続く2作品はブラウン自身によるプロデュース作品。その後、モータウンがユニバーサルに吸収されるなど経営の再編に直面して、MoJazz98年に閉鎖された。

デビュー作をプロデュースしたのは、ノーマン・コナーズ。コナーズは、ジャズ・ドラマー出身だが、80年代以降はR&B/ソウル路線で自身の作品や他アーティスト(アル・ジョンソン、アンジェラ・ボフィル、マリオン・メドウズなど)のプロデュースで実績を残した人。ゲストは、スティービー・ワンダー、ボーイズIIメン、アル・マッケイ(ギター)、ボビー・ライル(ピアノ)、ジェラルド・アルブライトなど、豪華な顔ぶれが脇を固めた。

デビュー作は、コナーズの手腕でビートに彩られたサウンドが際立つゴージャスな作品。豪華さもチャート・イン狙いだろうか、プロデューサーのカラーに染まった観が強い。ブラウンのギターは、初作品だから力が入り熱量の高いグルーヴを聴かせる。特に1曲目「Stormin’」はキャッチーなハイライト曲。客演するカーク・ウェイラムとロニー・ロウズ、両サックス奏者のパワーに負けじと、エネルギッシュな高速パッセージが衝撃的だ。

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2019年5月15日 (水)

Norman Brown 「The Highest Act of Love」(2019)

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ノーマン・ブラウンは前作「Let It Go」(2017)で、「私たちは誰もが精神的な存在である。私のこのCDは地上の創造物としての精神的存在者の一つのチャプターを表現したものだ。生きる経験こそが精神的存在の本質的な営む能力を促す。それは平和、喜び、幸福、調和、そう愛である。」という趣旨のメッセージを書いている。

そしてこの新作ではシンボルとして、古代エジプト神話で正義の女神とされる「マアト(Maat)」を掲げている。マアトの正義(The Law Maat)とは「神の望みは最高位の愛の行為(The highest act of love)であり、それは他者への愛を満たすことで実現する。神の愛こそが世界を守れるのだ。」とライナーに説明を書いている。

マアトとは、創造神である太陽神ラーの娘とされる。ジャケットの右下に描かれた、頭上に羽根を掲げた女性神がマアトである。ブラウンは、前作から今作品でも、インスピレーショナルな、つまり啓示的なテーマを掲げている。彼のメッセージは宗教的で、私を含めて理解には至らないリスナーも多いだろう。とはいえ彼のメッセージのわずかでも知った上で、彼の音楽を深く味わいたい。

さて、この新作は1曲のカバー曲と共作を含めた11曲のオリジナル曲集。モチベーション喚起的な曲タイトルを見れば、込められたメッセージが少し理解できるだろう。ほとんどの曲がスロウもしくはミッド・テンポで、啓示的なムードを演出している。音楽的には、コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック的なアプローチといえるかな。多彩なゲストを迎えた前作と比べると、今回はブラウンのギターが主役で淡々と演奏する印象の作品だ。テーマを深読みせずとも、純粋にブラウンの上質な音楽を充分に楽しめるのは言うまでもない。

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2019年4月28日 (日)

U-Nam 「Future Love」(2019)

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ギター奏者ユー・ナムは、2012年にスカイタウン・レコードを設立して、自身の作品だけでなく他アーティストの作品をリリースしている。フランス出身のユー・ナム(本名エマヌエル・アビテボール)が手がけるアーティストは、ほとんどがヨーロッパ出身者を集めた個性的なレーベルだ。所属アーティストは、キーボード奏者ヴァレリー・ステファノフ(ロシア出身)、キーボード奏者マティアス・ルース(スウェーデン)、サックス奏者アンドレイ・チェマット(ウクライナ)、サックス奏者アーノ・ハイス(ドイツ)、女性サックス奏者ニキ・サックス(ウクライナ)、女性サックス奏者マグダレーナ・チョバンコーバ(チェコ出身、ドイツのスリー・スタイルのメンバー)など、いずれも実力派だがアメリカでは無名という新鋭アーティスト。他のレーベルとは一線を画した音作りを追求するユー・ナムのプロデュース手腕にも目が離せない。

ソロ作品は近年の「Cest Le Funk」(2014)、「Surface Love」(2016)、ベスト曲集「The Essential Collection」(2017)とコンスタントに発表。他アーティストのプロデュースに加えて、ボブ・ボールドウィン、エラン・トロットマンらのアルバムにも客演するなど、精力的な活動に力を抜くような気配は微塵も感じられない。そしてこの新作は新曲13曲(プラス2曲の別バージョン)で、ギター奏者として圧巻の才能を聴かせてくれる。

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2019年3月24日 (日)

Thom Rotella 「Storyline」(2019)

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トム・ロテラ。年季の入ったスムーズ・ジャズ・ファンならすぐに思い浮かぶに違いない名前。90年代に活躍したギター奏者。1987年から、12作のソロやリーダー・アルバムをリリース。セッション・プレイヤーとしても、リック・ブラウン、ジェラルド・アルブライト、グレッグ・カルーカスなどのスムーズ・ジャズ・アーティストとの共演、また、ドナ・サマー、ベッド・ミドラー、ライオネル・リッチーなど有名スターのレコーディングに参加している。作曲や演奏者としても、多数の映画やTV番組に関わった。

そのロテラの、なんと12年ぶり(!)になるという新作アルバムがリリースされた。12年前にクリスマス企画作品やストレート・ジャズ作品が出ているが、スムーズ・ジャズ・スタイルの代表作品「A Day In The Life」(2002)から数えれば17年ぶりの作品だ。

「A Day In The Life」は、今やスムーズ・ジャズのメジャー・レーベルとなったトリッピン・アンド・リズム・レーベル初期のリリース作品。ロテラの代名詞である、ウエス・モンゴメリーを継承するオクターブ奏法が冴え渡り、洗練されたサウンドとグルーヴは、今もって古さを感じない秀作だ。

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2019年2月16日 (土)

Jim Kimo West 「Moku Maluhia: Peaceful Island」(2018)

Peaceful island第61回グラミー賞が発表された。先日、ノミネート作品を紹介した「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」部門は、スティーブ・ガッドの「Steve Gadd Band」が受賞。およそ80に迫る、膨大なカテゴリーを網羅するグラミー賞だが、純粋たるスムーズ・ジャズ系の作品もアーティストも、今回(も、)ほとんど見当たらない。ジャズやポップスの亜流とでも、思われてるのだろうか。売上が物差しのビルボードの方では、昨年度の「ジャズ・アルバム」のベスト・リストには、ボニー・ジェイムスブライアン・カルバートソンデイブ・コーズ、といったスムーズ・ジャズの作品とアーティストが、上位に入っているのに。アカデミー委員は、どのカテゴリーでも、多様性や社会的な影響力を含めた、芸術性を視点に選んでいるのだろう。スムーズ・ジャズのように、分かりやすくて、BGMとしても日常的な音楽は、陽が当たらないということなのか。

とは言え、グラミー賞の各部門のノミネートや受賞リストから、スムーズ・ジャズでなくとも、興味深い作品を見つけるのは楽しくもある。これは、そんな、印象的な作品。

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2018年11月 9日 (金)

Paul Brown 「Uptown Blues」(2018)

Paul Brown Uptown Bluesポール・ブラウンは、今や、スムーズジャズ界屈指の売れっ子プロデューサーだ。ボニー・ジェイムス、ユージ・グルーヴ、ピーター・ホワイト、マーク・アントワン、リック・ブラウン、カーク・ウェイラム、ジェシーJ、などなど、ポールがプロデュースしたアーティストは、スター級だけでなく新人に至るまで、枚挙に遑がない。彼の手腕による作風は、アーバンで、メロウで、都会的なムードに溢れたサウンドと楽曲が特色だ。ポールはギター奏者として、ソロ・アルバムも「Up Front」(2004)を第1作として、「One Way Back」(2016)まで、数えて8作品をリリースしている。今までのソロ作品も、都会的なサウンドとコンテンポラリーな楽曲、メロウなギター・プレイが特色の秀作揃いだ。また、ポールは「ブラザース・ブラウン」という4人組のブルース・バンドを組んでいる。同性同名のポール・ブラウンというオルガン奏者と組んでいるバンドである。「Dusty Road」(2016)というデビュー・アルバムも出していて、こちらはポールがギターとボーカルを担当した、濃いーブルース作品となっている。バンドはリトル・フィートを思わせて、ポールのギターとボーカルも、BBキングかなと思わせるところも。

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2018年8月27日 (月)

Nils 「Play」(2018)

Nils Playギター奏者ニルスの新作は、前作「Alley Cat」(2015)に続いて、クオリティを高めた秀作。ニルスのスリリングなギターが快走して、タイトなリズムやホーン・セクションと作るグルーヴは爽快だ。共作を含むオリジナル10曲はいずれも佳曲ばかりで、ニルスの作曲センスが光る。コンテンポラリーなR&Bスタイルの曲が際立っていて、今回多くの曲に参加しているジョニー・ブリット(ボーカル、キーボード、トランペット)の登用がハマっている。
「Coast to Coast」は、ハイライトなキャッチー・ナンバー。キレが良くて、セクシーなところも聴かせるニルスの魅力が発揮された曲。「Sway」は、ジョニー・ブリットのクールなトランペットが印象的な、スロウ・バラード。ニルスの、ブルージーなプレイも光っている。「Straight Down the Line」は、ホーン・セクションが盛り上がるファンキーなナンバー。キーボード奏者フィリップ・セスが客演。「Play It」は、ニルスとキーボード奏者ネイト・ハラシムが共作した、アタックのあるメロディが魅力の曲。ネイト・ハラシムも客演しているタイトなアンサンブルが聴きどころ。「California」は、サックス奏者スティーヴ・コールが客演した曲。コールのサックスが爽快だ。アルバム最後の曲「Fire of My Heart」は、新しい作風を感じさせる美しい曲。賛歌のように歌い上げるコーラスが印象的。ドラムスは、セッションドラマーとして有名な、サイモン・フィリップス。ドラマチックな、ドラミングに注目。
カバー曲は、「We Got Love」(ベイビーフェイス)と「Careless Whisper」(ワム!)の2曲。「Careless Whisper」といえば、例のサックス・ソロだが、ここではブランドン・ウィリスが聴かせてくれる。いずれも有名曲のカバーで存在感があるが、オリジナル曲だけでトップ級の作品。

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2018年8月20日 (月)

Steve Oliver 「Illuminate」(2018)

Soliver illuminateスティーヴ・オリバーの新作は、久しぶりのインストゥルメンタル作品。「World Citizen」(2012)の後、「Best of...so far」(2014)はベスト・アルバム(2曲の新曲入り)だったし、その後の「Pictures & Frames」(2016)は全曲が自身の歌声による、歌詞付きソング、いわゆる歌もののボーカル・アルバムだったので、新曲のインストゥルメンタル・アルバムとしては6年ぶりの新作だ。オリバーは、過去作品でも、必ず数曲はボーカル・ソングを入れていて、シンガーとしても「二刀流」の才能の持ち主。だが、今作はその歌ものを「封印」して、全11曲演奏オンリーの意欲作となった。内容も、文句なしのベスト級だ。
オリバーのトレード・マークである、色彩感豊かなギター・シンセや、ポップな歌詞無しヴォーカリーズ、などを多用したサウンドはいっそう磨きが掛かり、スピード感溢れるギター・フレージングも冴え渡る曲ばかり。サポート・ミュージシャンも巧者揃いで、隙のないグルーヴが堪能できる。特に、半数を占める曲で脇を固めている、ジミー・ハスリップ(ベース)、ジョエル・テイラー(ドラムス)、による鉄板のリズム隊は重量級。フィリピン出身のジャズ・ピアノ奏者タテン・カティンディグの流麗なフレージングも必聴。ゲストのサックス奏者も多彩で、ウェール・ラーソン、ネルソン・ランジェル、チェース・ウナ、ビリーレイ・シェパード、がそれぞれ曲により登場する。18才でデビューしたチェース・ウナはデビュー作「On The Chase」(2017)を、ビリーレイ・シェパードのデビュー作「Silk」(2017)を、それぞれオリバーがプロデュースを手掛けている。
1曲目「Full Tilt」は、スピード感のあるキャッチーな曲。サックスは、ウェール・ラーソン。オリバーの、ギターとヴォーカリーズの爽快感、これこそオリバーの「十八番」のような曲。アルバム・タイトル曲「Illuminate」も、爽快な曲想を奏でる流麗なギターと、リリカルなピアノが活躍する演奏。シングルになっている「Vamonosu」は、キャッチーなラテン調のハイライト曲。サックスは、チェース・ハナ。「Circles」は、コンテンポラリー・ジャズのアンサンブルが秀逸なベスト・トラック。ハスリップ、テイラーのリズム隊に、サックスはネルソン・ランジェル、ピアノはカティンディグ。オリバーのギターは、正統派のジャズ・アプローチを披露する。「Hidden Sun」も、オリバーに、ハスリップ、テイラー、カティンディグによる鉄板のアンサンブル。コンテンポラリー・ジャズの、リリカルでクールなグルーヴが聴くほどに味わいを感じる演奏。「City of Lightning」は、メランコリーなメロディの曲。ビリーレイ・シェパードのサックス、オリバーのアコギとヴォーカリーズ、がブレンドするサウンドが美しい。
前作「Pictures & Frames」は、全曲がボーカル曲だったので、まさかシンガーに「転身」かなと心配したけれど。今作品は、オリバーのギター奏者およびマルチなサウンド・クリエーターとしての実力を遺憾なく発揮した内容に、大安心。

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