カテゴリー「コラム」の31件の記事

2020年8月22日 (土)

拙著『スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム』

<お知らせ>

拙著「スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム」についてのお知らせを追記いたします。

【Version 8】をアップデートしました。

ジャケ写真を1枚追加しました。


マーカス・アンダーソン「スタイル・ミーツ・サブスタンス」

掲載ジャケ写真は合計29点になりました。

 

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2020年8月18日 (火)

トム&ジェリー(サイモン&ガーファンクル)についてのミニ研究(その2)

ポールのソロ・アーティスト名は、トゥルー・テイラー(True Taylor)という名前でした。サイモン親子は出来上がったシングル盤の表示を見て驚きました。てっきり、ジェリー・ランディスだと思っていたのです。2人はプロセン氏にクレームしましたが、そのままになったようです。公式には、ポールのトゥルー・テイラー名義の作品はこの2曲のみです。エルビスのコピーとはいえ、溌剌にシャウトする、10代のポールの純真な歌声が活き活きとしています。

トゥルー・テイラーとは、唐突なネーミングのようですが、ポールの祖父、ポール・サイモン(ポールは祖父の名前を引き継いだ)はオーストリア出身の移民で、職業は仕立て屋(Tailar=テイラー)でした。もしかすると、祖父を由来に、プロセン氏かルーが意図的に付けた名前なのかと勘ぐります。

ちなみに、ポールはジェリー・ランディスという名前を、その後もデモ歌手やソング・ライターとして活動している時期に長く使っています。ポール・ケーンと名乗った時代もあります。今ではそれぞれの名前で、多くの非公式の音源が公表されています。

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2020年8月16日 (日)

トム&ジェリー(サイモン&ガーファンクル)についてのミニ研究(その1)

ポール・サイモンとアート・ガーファンクルが16歳の時、トム&ジェリー(Tom & Jerry)の名前で発売したシングル「Hey, Schoolgirl」(1957)は、ビルボードでは最高位49位のヒット曲になり、10万〜15万枚超のセールスを記録しました。ポップ・スターを夢見ていた10代の少年2人が、舞い上がるには充分過ぎる大成功でした。

しかしその後リリースした2枚のシングルはパッとせず、わずか半年で活動を終えます。レコード・ビジネスの現実と、取り巻く「大人」の事情に翻弄されて、2人の友情にも亀裂を残した苦い出来事になりました。2人がフォークソングのデュオとして再結成するのは、6年後の1963年でした。

ポールとアートは、ニューヨーク・クイーンズ地区のハイスクールの同級生で、エバリー・ブラザースの「Hey, Doll Baby」を下敷きに共作したオリジナル曲が「Hey, Schoolgirl」でした。2人に目を止めたのは、マンハッタンのレコード会社、ビッグ・レコード(Big Records)のオーナー、シドニー(もしくはシド)・プロセン(Sidney or Sid Prosen)という人でした。

ビッグ・レコードは、シングル盤をわずか10枚ほどを出しただけの小さなマイナー・レーベル。オーナーのプロセン氏は、自らも歌い、作曲編曲もこなす音楽家でもあり、プロモーター/プロデューサーでした。

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2019年12月22日 (日)

第62回グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品(2019)【追記】

【追記】2020年度受賞作は、Rodrigo y Gabriela『METTAVOLUTION』が選ばれました。(文2020/1/28)

 

グラミー賞の「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」という部門賞は、2000年に新設されて2013年まで「ポップ・インストゥルメンタル」という賞だった。かつては、ノーマン・ブラウン、デイブ・コーズ、ジェフ・ローバー、ジェラルド・アルブライト、など他多くのスムーズ・ジャズ系のアーティストも受賞やノミネートで選ばれているのだが、この数年の傾向は、広範囲なジャンルを対象に先進的な音楽性の作品が選ばれているように思う。今年のノミネート作品は、スムーズ・ジャズは選ばれていないが、先進的という点では、いずれも素晴らしい5作品だ。
(グラミー賞について関連過去記事はこちら

1. Christian Scott aTunde Adjuah ANCESTRAL RECALL

1983年生まれのクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアーは新世代ジャズのトランペット奏者。前回の第61回グラミー賞にノミネートされた「The Emancipation Procrastination」に続いてのノミネート。

ポップスのような均整の取れた要素はほとんど現れない。アフリカン・リズムを骨格に、怒涛のようなシーツ・オブ・リズムが押し寄せる。

「songs she never heard」は、深淵の視界に触れるようなドラマチックな演奏が感動的。「ritual」では、慟哭のように迫り上がってくるフレージングのパワーに圧倒される。

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2019年12月21日 (土)

2019年のベスト3+1

今年紹介した新譜の中から選んだ、私のベスト3(+1)です。(下線は当サイト内の過去記事にリンクしています。)

1. U-Nam 『Future Love

ユー・ナムのスタイルを、総決算するような会心の作品。80年代のダンス・グルーヴと、ジョージ・ベンソンへのオマージュ、いずれも進化させて独自のオリジナリティを完成させた。途切れないグルーヴが続く全15曲、ボーカルを入れずにギター演奏を主役にした怒涛の熱量に圧倒される。

ファンキーなビートに、ポップなリフとダンス・グルーヴ、そしてスウィートでメロウなメロディ、多彩なサウンドを造り出した力量に感動する。多彩なテクを駆使する流麗なギター演奏は特筆に値する。ユー・ナムが、ベンソン・スタイルを超越したギター演奏家であることはもっと評価されていいと思う。

この作品の続編『The Love Vault: Future Love, Pt.2』が既にリリースされていて、ボーカル曲も入れた全12曲という内容で、これでもかのパワーが全開です。

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2019年11月21日 (木)

聴き逃せないクリスマス・アルバム(2019)

この季節になると目立つのはクリスマス(もしくはホリデイ)アルバム。スムーズジャズ系アーティストの作品もリリースのラッシュだ。定番の曲の演奏集が多いので目新しさは無いかと思いきや、オリジナリティのある作品も多く注目に値する。この3作品は聴き逃せない秀作だ。

1. Dave Koz 『Gifts Of The Season』(2019)

デイブ ・コーズのクリスマス企画アルバムはこの新作で7作目となる。初めてのクリスマス・アルバム『December Makes Me Feel This Way』(97年)以来、「デイブ・コーズ・アンド・フレンズ」名義で3作品や、旧譜のコンピレーション『Ultimate Christmas』(11年)もあり、20年以上に渡り定期的にクリスマス・アルバムを出している。伝統的な曲を中心にクリスマス曲のカバーはおよそ40曲に及ぶだろう。コーズにとってクリスマス曲の演奏はライフ・ワークのようで、コーズの右に出る人は見つからない。

今作の選曲は、何度となくレコーディングしている「White Christmas」「Winter Wonderland」「I'll Be Home For Christmas」など外せない定番曲に加えて、オールディーズから近年のクリスマス・ポップスを取り上げたのが新機軸で、今まで以上にポップで洗練された作品になった。

「It’s Beginning to Look a Lot Like Christmas」(ペリー・コモ)「Last Christmas」(ワム!)、「All I Want for Christmas」(マライア・キャリー)、「Mary Did You Know」(クリスチャン歌手のマイケル・イングリッシュ)など、いずれも初めてカバーするポップス系の曲が新鮮だ。ゲストにジョナサン・バトラー、メリサ・マンチェスター、クリス・ウォーカーら豪華ボーカリストを起用している。

コーズはクリスマスをテーマにした自作オリジナル曲を入れるのも定番で、「December Makes Me Feel This Way」(97年の同名アルバム)、「Memories Of A Winter’s Night」(07年の同名アルバム)、「Beneath The Moonlit Sky」(01年の『Smooth Jazz Christmas』)など、クリスマス・アルバムでしか聴けない佳曲が多い。今作のオリジナル曲は「A Prayer for Peace」。ソプラノ・サックスで奏でるマイナーな美しい曲。

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2019年6月22日 (土)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 3)

1. ジェリー・ラファティ:「霧のベーカー・ストリート(Baker Street)」(1978)

アルト・サックスは、 ラファエル・レイブンスクロフト Raphael Ravenscroft)という人。

この超印象的なサックス・リフで、レイブンスクロフトは一躍注目された。ラファティの次のアルバム『Night Owl』(79年)では、登場が増えてタイトル曲のリリコン演奏や複数曲のサックス演奏で起用されている。

ピンク・フロイドや、マキシン・ナイチンゲール、クリス・レアなどのレコーディングにも参加。79年にはソロ・アルバム(『Her Father Didnt Like Me Anyway』)をリリースしている。

 

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2019年5月 4日 (土)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 2)

1. ボビー・コールドウェル:「Heart of Mine」(1989)

アルト・サックスは、デイヴ・コーズ

同名アルバム『Heart of Mine』(1989)収録曲。初出はボズ・スキャッグスのアルバム『Other Roads』(1988)のバージョン。

コーズはコールドウェルのバンドのメンバーだった。コールドウェルのバンド出身のサックス奏者は、ボニー・ジェイムスマイケル・リントンアンドリュー・ニューなど、いずれも今やソロで活躍しているアーティストばかり。

コーズのソロとしてデビュー・アルバム『Dave Koz』(1990)所収の「Emily」はコールドウェルとの共作曲。2人はその後もお互いの作品で共演している。中でも、コールドウェルの『House of Cards』(2012)でコーズが客演した「Blue」も、「Heart of Mine」と共に2人のコラボを代表するベスト曲だ。

 

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2019年4月14日 (日)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?

数多いポップス曲の中でも、主役のシンガーよりも前奏や間奏で聴こえてきたサックスの音色に耳が釘づけになる名曲がある。

えっ、このサックスは誰?

 

1. スティング : 「Englishman in New York」(1987)

ソプラノ・サックスを吹いているのは、ブランフォード・マルサリス。 

マルサリスは、85年ごろスティングのバンドに所属して、同曲を含む「...Nothing Like the Sun」や、「Dream of the Blue Turtle」(1985)などのアルバムに参加している。

スティングは、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団やニューヨーク室内合奏団と共演した「Symphonicities」(2010)をリリース。そこで同曲を再録している。

そのバージョンでは、ジャズ・サックス奏者アーロン・ハイクがクラリネットを吹いている。そのアルバム企画のツアーを収めたライブ盤「Live in Berlin」(2010)があり、そちらではマルサリスが客演した同曲が聴ける。

スティングは、新作「My Songs」を近日リリース予定。そのアルバムは、過去曲をリメイクしたもので、同曲も収録予定。どんなアレンジになるのか興味深い。

 

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2019年3月22日 (金)

アート・ガーファンクルが歌った映画挿入歌

アート・ガーファンクルは、「キャッチ22」や「愛の狩人」などの映画に出演した俳優でもある。シンガーとしても映画との関係が深く、映画や映像作品の主題歌や挿入歌を歌っている。それぞれのサントラ盤では聴くことができるが、彼自身のオリジナル・アルバムには収録されていない曲も多い。(※印が未収録曲)

 

1.「Bright Eyes」(1979)

アニメ映画「Watership Down(ウォーターシップダウンのうさぎたち)」(1978)の挿入歌。作詞作曲はマイク・バット。イギリスではチャート1位を記録する大ヒットになった。マイク・バットは、初めからガーファンクルを想定して曲を作ったが、了解してもらえるとは思っていなかったとか。ガーファンクルのアルバムは、英国盤「Fate For Breakfast」(1979)に収録。

1999年には、TVシリーズのアニメがリメイクされて、同曲を、アイルランドの大人気ポップ・グループ、ボーイゾーンのメンバーだったスティーヴン・ゲイトリーがソロで歌った。彼のソロ・アルバム「New Begining」(2000)に、そのバージョンが収められている。なお、ゲイトリーは、2009年に33歳で急死。

バットが自身の作品を集めた「A Songwriter's Tale」(2008)では、セルフ・カバーした同曲が聴ける。

余談だが、ネットフリックスと英BBCが、同作品を3Dアニメーションで新作リメイクして、去年の12月に公開。テーマ曲は、サム・スミスの歌う「Fire on Fire」という曲(作曲はサム・スミスとスティーヴ・マックの共作)。

 

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