カテゴリー「コラム」の記事

2017年12月31日 (日)

2017年のスムーズジャズ・ソング15+2曲

Prototype 今年のスムーズジャズから、オススメの15と、外せなかった2曲。

① 「Fast Lane」
ピーセス・オヴ・ア・ドリームの「Just Funkin' Around」から、スピード感が抜群の曲で、疾走するサックスが聴きもの。このサックス奏者はトニー・ワトソン・ジュニアという人で、ピーセス・オヴ・ア・ドリームの近年作品を固める準メンバー的な人。
② 「Let's Take It Back」
ナジーの「Poetry In Motion」から、1曲だけのインコグニートとのコラボ曲。今度は、ブルーイのプロデュースでフル・アルバムを作って欲しいなあ。
③ 「Cruising Kunio Hway」
パトリック・ヤンダールの「A Journey Home」から。視界が広がるメロディーと、繊細なテレキャスターの音色が心地いい。
④ 「You Are」
ティム・ボウマンの「Into the Blue」から。エラン・トロットマンのサックスを迎えての、スウィート・ソウルなメロウ・バラードに酔わされます。
⑤ 「Going Out」
ジュリアン・ヴァーンの「Bona Fide」から。この曲のサックスもエラン・トロットマンで、こういうソウル・バラードのサックスにはこの人が欠かせない。
⑥ 「Main Street」
ジャッキーム・ジョイナーの「Main Street Beat」からの、タイトル曲。オーバーダビングされたサックスのアンサンブルが印象的で、グルーヴ全開のキャッチー・ソング。
⑦ 「Backseat Drivers」
マーカス・アンダーソンの「Limited Edition」から。こちらも、ワンマン・アンサンブルのサックスが豪快なビート・チューン。ギターの客演は、アダム・ホーリー。マーカス・アンダーソンの新作は、オリ・シルクやピーター・ホワイトも客演している「This is Christmas」。アンダーソンらしい、ヒップでメロウなクリスマス・アルバムです。
⑧ 「Heartburn」
ヴァレリー・ステファノフの「New Beginnings」から。エメルギッシュなピアノとサックスが印象的な、パワー・チューン。サックスは、Andrey Chumutという人で、スカイタウン・レコードからソロ作品を録音中のようで、来年注目したいアーティスト。
⑨ 「Liberated」
ノーマン・ブラウンの「Let It Go」から、BWB名義のトラック。BWBの3人のグルーヴには、さすがに身が乗り出します。
⑩ 「Category A」
シンディ・ブラッドリーの「Natural」から。クリス・スタンドリングとコラボした曲。スタンドリング独特のアシッドなサウンドに、ブラッドリーのトランペットがクールに響き渡る。
⑪ 「Lifecycle」
ネイザン・イーストの「Reverence」から。今年、チャック・ローブさんが他界された。フォープレイの活動はどうなるのかな、そちらも心配。
⑫ 「Tick Tock」
ボニー・ジェイムスの「Honestly」から。スロウなリズミに、セクシーなジェイムスのサックスの音色が極上です。
⑬ 「So Strong」
リック・ブラウンの新作「Around The Horn」から。今年は、BWBの3人のソロ作品がいずれも際立っていた。来年は、BWBの新作が聴けるかな。
⑭ 「Baby Coffee」
マイケルJトーマスの新作「Driven」から。サックスは元より、マイケル・ジャクソンを思わせる歌声と歌唱力にびっくり。アーバン・コンテンポラリーな内容も素晴らしい作品。
⑮ 「Been Around the World」
ブライアン・カルバートソンの「Funk!」から。カルバートソンの新作「Colors of Love」は、来年2月にリリース予定。ファンクとは打って変わり、ロマンティックな内容のようで、待ち遠しい。
⑯ 「Groove On」
ユージ・グルーヴの新作「Groove On」から。新作をリリースするたびに、クオリティが高くなるユージ・グルーヴ。絶対に聴き逃せない人。
⑰ 「The Badness」
ジェフ・ローバー・フュージョンの「Prototype」から。新メンバーのアンディ・スニッツアーが入っても、エッジでスリリングなグルーヴは健在。ノミネートされている、グラミー賞に、ぜひ輝いて欲しい。

2017年12月24日 (日)

2017年のベスト3+1

Aroundthehorn Joyner Newbeginning Lovecovers

今年聴いた作品の中から、例によって「独断的」に選んだベスト3と次点の作品。

① 「Around the Horn」 Rick Braun

リック・ブラウンの作品は、アーバンなアレンジと、流麗なブラウンのペット・サウンドが、全曲に渡ってメロウに響き渡る傑作。前作「Can You Feel It」(2014)は、ビート全開のファンキーな作品だったけれど、今作はちょっとレイドバック気味のソウルフルでカッコいいブラウンが堪能できる。サウンドの要は、ほぼ半数の曲に参加している、ジョン・ストッダート。彼が、曲の共作、キーボード演奏、ボーカル、プロデュースを担当したコラボが大正解。ストッダートは、ゴスペル系R&Bシンガーで、自身のソロ作品や、カーク・ウェイラムとの共演で注目される人。ストッダートの、ネオ・ソウル・フレーバーと、ブラウンのクールなペット・サウンドが、ブレンドされた極上のミュージック。タイトル曲は、ゲストのティル・ブレナーとインタープレイが鳥肌もののベスト・トラック。名作級のベスト作品。

② 「Main Street Beat」 Jackiem Joyner

ジャッキーム・ジョイナーの作品は、彼のパワフルなサックスが、「全開」する秀作。ほとんどの曲は、彼のバンド・メンバーが固めた演奏で、フレッシュな躍動感で溢れている。ジャスティン・ティンバレイクや、ブルーノ・マースのヒット曲のカバー演奏も名演だが、ジョイナーのオリジナル曲はキャッチーな曲ばかりで、作曲の才能の素晴らしいこと。M1「Main Street」のポップ・チューンから、M6「Southside Boulevard」や、M11「Get Down Street」のスピード溢れるファンキーなビート・ナンバーも最高。スムーズジャズは、こうでなきゃあ、というベスト作品。

③ 「New Beginnings」 Valeriy Stepanov

ロシアはイルクーツク出身という、キーボード奏者ヴァレリー・ステファノフの作品。ギター奏者ユーナムが、自身のレーベル「スカイタウン・レコード」からデビューさせた、新人アーティストだ。パワフルかつテクも聴かせるピアノと、フェンダーのポップなフレージング、おそらく彼自身のペンのよる曲やアレンジは、どの曲もキャッチーなフックに満ちて素晴らしい内容。これからの活躍が大いに期待できる大型新人の登場だ。

④「#lovecovers」Kirk Whalum

次点は、カーク・ウェイラムのカバー作品集。全曲ボーカル入りだし、啓示的テーマの曲の数々は、ゴスペルかクリスチャン・ミュージックの範疇でもあり、ということで次点にランク。とは言え、ウェイラムの演奏はベスト級で、今年もっとも心動かされた作品だ。彼のライフワークである「The Gospel According to Jazz」シリーズのスタジオ録音による完成盤と言ってもいい。ワイナンズ・ファミリーなどゴスペル界のメジャー・アーティストの参加も豪華だけれど、ウェイラムのサックスは、歌うがごとく清々として、感涙的でさえある。偉大なアーティストを偲んだような「Tomorrow」は、MC入りの演出も秀逸で、感動のハイライト・チューンだ。ホイットニー・ヒューストン名演のヒット曲「I Will Always Love You」を始めとして、全曲でウェイラムのサックス・フレージングの覚めるような美しさに、感動しまくり、何度リピート・プレイしたことか。

その他、今年の秀作の数々。

リック・ブラウンとカーク・ウェイラムの盟友でありBWB組のノーマン・ブラウンによる「Let It Go」は、もちろん傑作で、ベスト3に入れるか悩んだ作品。

ギター奏者ティム・ボウマンの久しぶりのフル・アルバム、「Into the Blue」は、メロディアスなギター旋律と、ポップな曲満載の作品。

マイケル・J・トーマスの「Driven」は、彼のボーカルが新鮮で、AOR的な明るさに魅了された作品。

JTプロジェクトの「Another Chance」や、ピーセス・オブ・ア・ドリームの「Just Funkin' Around」は、バンド・アンサンブルのリアル・グルーヴに酔える演奏作品。

マーカス・アンダーソンの「Limited Edition」は、彼らしいヒップなダンス・グルーヴが全開した快作。

さて、年末の「恒例」の、「Sound of The Breez」のマスター「洋楽のソムリエ」さんとの共同企画、お互いのベスト作品の発表も、今年で5年目です。「洋楽のソムリエ」さんによる、ベスト作品は下記になりました。今年は初めて、重なるアルバムがなく、異なるセレクションになりました。(「Sound of The Breeze」のサイトにも掲載されていますので、ご覧になって下さい。)

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「Sound of The Breeze」から

Reverence Poetry_najee Letitgo_2

2017年 Best Smooth Jazz Albums

1位 『Reverence 』 Nathan East

しっかり練られた構成と収録曲ひとつひとつのクオリティの高さが群を抜いていた。緻密でありながらこれだけ骨太なアルバムは、スムーズ・ジャズでは珍しいのではないだろうか。随所に見られる、Earth,Wind & Fire など先人に対するリスペクトにも好感が持てる。スティービー作品のカバー、「Higher Ground 」は、当サイトが認定した上半期におけるベスト・ダンス曲のひとつだ。ニッキ・ヤノフスキーをフィーチャーした「The Mood I’m In 」は、こじゃれている。なお、米国のスムーズ・ジャズ専門局のオンエア回数では、上半期に長期にわたって1位を続けていたアルバムでもある。内容のみならず人気でも他を圧倒した結果の1位は、文句なしだろう。

2位 『Poetry In Motion 』 Najee

ナジーは、筆者がアルバムが出るたびに購入して聴いているアーティストのひとりだ。しかし、彼のアルバムを” 年間ベスト” として推したことはなかった。今回このアルバムを第2位に選んだのは、これまで以上に「抜群の心地よさ」があったからである。聴いていると知らぬ間にアルバム全体を聴き終えていて、また初めから聴きたくなる。そんなアルバムなのだ。エリック・ロバーソンをゲストに迎えた「Is It The Way 」など歌が入ったものも素晴らしい。インコグニートをフィーチャーした「Let’s Take It Back」は、当サイトが選ぶ年間ベスト・ダンス曲 15 作品の第13 位だ。

3位 『Let It Go 』 Norman Brown

『Poetry In Motion 』と、どちらを上位にするか散々迷った。曲の多彩さという点でいえば、むしろこちらだろう。心地よさに加え、「ジャズしている」感覚も充分だ。このアルバムも、歌物がアクセントになっている。今回、2位、3位ともレコード会社はShanachieだ。となれば、アルバムに歌物を収録するのは、会社の方針でもあろうか? 総崩れになっているR&B分野のファンに手を差し伸べられるのは、今やこんなタイプのスムーズ・ジャズかも知れない。

<一年を振り返って>

今年は「次点」を認定しなかった。しかし、ぎりぎりで飛び込んで来たユージ・グルーヴの新アルバム『Groove On 』は、充分ベスト3に値する作品だ。彼のアルバムには、心地よいグルーヴで酔わせる作品が必ず入っていて期待を裏切ることがない。 さて、グラミーの「Best Contemporary Instrumental Album 部門」に、ジェフ・ローバー・フュージョンの『Prototype 』がノミネートされた。「ごきげんだね! 」と称賛に値する作品である。しかし、この手のものは1980年代から存在する。グラミーのアカデミーが意味する” Contemporary “ とは、なんなのだろう? グラミー賞の同部門が、決してわれわれが想定するスムーズ・ジャズを対象にしたものではないことを非常に残念に、また嘆かわしく思う。

なお、ここ数年で感じるのは、音楽シーンでのR&B の凋落だ。今やその欠けた部分をカバーしているのは、スムーズ・ジャズではないだろうか。当サイトが選んだ今年のベスト・アルバム三作品 は、図らずもそんな作品が並んだ。 来年は、キーボーディストによる作品に期待したいと思う。

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「Sound of The Breeze」のベスト3作品は、いずれもトップランクのクオリティで、今年を代表するアルバムであること大賛成だ。来年も、多くの良質作品に出会えるのを期待しています。

2012年のベスト作品

2013年のベスト作品

2017年12月10日 (日)

第60回グラミー賞ノミネート作品

Whatif Spirit Mountroyal Prototype Badhombre

第60回グラミー賞のノミネート作品が発表された。「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」の候補作品は、この5作品。近年、この部門は、コンテンポラリー・ミュージックの多様な演奏作品から選ばれているが、異なるジャンルのハイライト的なセレクションで、それを同じ土俵で評価するのもどうなのかなあ。そして、とても残念なことに、スムーズジャズは「無視」されているがごとく、良作が選ばれることも無くて、ファンとしては腹が立つところ。だが、まあ、認めないなら、勝手にしろや、という感じですなあ。

① 「What If」 The Jerry Douglas Band

ジェリー・ダグラスは、ブルーグラスやカントリーで用いられる通称ドブロと呼ばれるスライド・ギターの名手。14度のグラミー受賞歴を誇り、カントリーに限らずジャンルを越えてアメリカン・ミュージックに影響を与える大物アーティスト。自己名義のバンドのこの作品は、ブルーグラスを下敷きに、ジャズやロックをブレンドして、独自の音楽世界を発揮した意欲作。「Cavebop」は、典型的なブルーグラスと、ジャズが融合したような、クロスオーバーな演奏だし、タイトル曲「What If」の、繊細なフレージングのスライド・ギターの演奏は、ドラマチックで素晴らしい。

② 「Spirit」 Alex Han

アレックス・ハンは、マーカス・ミラーのバンドで活躍する、新鋭のサックス奏者。第58回のグラミー賞ノミネート作品、マーカス・ミラーの「Afrodeezia」(2015)にも参加している。この「Spirit」は、マーカス・ミラーがプロデュースした彼のデビュー作品。タイトル曲の、ハンの静謐なサックスが美しい。未来志向のコンテンポラリー・ジャズの秀作。

③ 「Mount Royal」 Julian Lage & Chris Eldridge

ジュリアン・レイジは、ジャズ・ギター奏者で、わずか15歳で、ゲイリー・バートンのバンド参加でデビューした、ジャズ界の新鋭。片や、クリス・エルドリッジは、ブルーグラスのバンド、パンチブラザーズのギタリスト。パンチ・ブラザーズと言えば、マンドリン奏者クリス・シーリが率いるスーパー・バンドで、ブルーグラスに留まらない多様な音楽世界が魅力のバンド。その二人が共演というだけでも、話題の作品。2人のアコギによるデュオ演奏は、数曲で歌も入るが、ブルーグラスやトラッド・フォークなどをベースにした、大らかなアメリカン・ルーツ・ミュージック。

④ 「Prototype」 Jeff Lorber Fusion

われらが、ジェフ・ローバー・フュージョンの新作。かつて「Hacienda」(2013)が、2014年の56回グラミー賞にノミネートされたこともある。この作品は、ジェフ・ローバーとジミー・ハスリップに、新サックス奏者としてアンディ・スニッツアーを迎えた、「新生」ジェフ・ローバー・フュージョンとしての新作。アンディ・スニッツアーも、違和感なく溶け込んでいるけれど、個人的には、かつてのサックス奏者エリック・マリエンサルがいた「Galaxy」(2012)や、「Hacienda」の、スリル全開なバイヴレーションには及ばないような気がするけれど。

⑤ 「Bad Hombre」 Antonio Sanchez

アントニオ・サンチェスは、ゲイリー・バートン、パット・メセニーや、チック・コリアなどと共演してきた、メキシコ出身のドラマー。アカデミー賞作品の映画「バードマン」のオリジナルスコアを作曲した人。この作品は、彼のソロ・ドラミングによるインプロビゼーションが圧巻な作品。前衛的であり、内省的でもあるが、映像作品のような感動の伝わる鬼才に溢れる作品。

①はブルーグラス、②はコンテンポラリー・ジャズ、③はフォークのフォーマット、④はフュージョン、⑤は前衛的作品、とは言え、いずれもジャンルではくくれない意欲作。かように異なる音楽性の秀作から、ベストを選ぶ基準が分からないが、独断的には、「本命」は①かな。ブルーグラスにジャズやロックを融合させて、伝統的なフォーマットを超えようとする、パッションの伝わる演奏に心を動かされる傑作。グラミー賞の発表は、2018年1月28日です。

第59回グラミー賞ノミネート作品

第58回グラミー賞ノミネート作品

第57回グラミー賞ノミネート作品

第56回グラミー賞ノミネート作品

第55回グラミー賞ノミネート作品

第54回グラミー賞ノミネート作品

2016年12月30日 (金)

第59回グラミー賞ノミネート作品

Human Billfrisell Sgbdvd Unspoken Culchavulcha

59回グラミー賞の、「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」部門のノミネート作品は、次の5作品。受賞決定は、2017年2月13日。

「Human Nature」Herb Alpert
ハーブ・アルパートは、近年の「Steppin’ Out」(2013)で、「ベスト・ポップ・インストルメンタル・アルバム賞」を受賞。その後も、「In The Mood」(2014)、「Come Fly With Me」(2015)と、80歳(!)を超えて、精力的に新作をリリースしている。新作「Human Nature」は、マイケル・ジャクソンの表題曲や、オリジナルの「Doodle」など、打ち込みのディスコ・ビートを多用したアレンジが新機軸。個人的には、オリジナルの「Mystery Mann」がジャズ・ムードのポップ・チューンで、一番光っている。
「When You Wish Upon Star」Bill Frisel:
奇才のジャズ・ギタリスト、ビル・フリーゼルは、前作「Guitar In The Space Age」で、第58回グラミー賞候補作になったので、2年連続。前作ではビーチ・ボーイズやベンチャーズを取り上げたり、ジャズの範疇にとらわれず、進歩的にテーマに取り組むところが芸術的で、グラミーに評価されるのかな。今回は、映画音楽の作品集。タイトル曲や「The Shadow Of Your Smile」「Moon River」「The Godfather」などポピュラーな曲を取り上げている。フレーゼルのギターや、ビオラ奏者の入ったバンド・サウンドは、フォーキーで牧歌的。ボーカルは、ジャズ・ベーシストのチャーリー・ヘイデンの実娘、ペトラ・ヘイデン。
「Way Back Home 」Steve Gadd Band:
2015年に行われた、スティーヴ・ガッドの70才誕生日を記念したコンサートのライブ録音。バンドはマイケル・ランドゥ(g)、ジミー・ジョンソン(b)、ラリー・ゴールディングス(kbd)、ウォルト・ファウラー(tp)の4人。ガッドのリーダー名義のバンド編成としては、25年ぶりという「Gadditude」(2013)の演奏メンバー。「Gadditude」から数曲演奏している。メンバーの巧みな技量と、ライヴならではの奔放なパフォーマンスのフュージョン。
「Unspoken」Chuck Loeb:
チャック・ローブの新作は、曲ごとに、ジェフ・ローバー、ブライアン・カルバートソン、エヴェレット・ハープなど、大物ゲストを迎えての演奏集。どの曲も、ローブの繊細で流れるようなパッセージが美しい。ティル・ブレナーが客演した「Si Se Puede」や、奥様のカルメン・クエスタが歌う「Way Up High」、いずれもボサノバ・スタイルで聴かせるメロウなフレージングは、この人ならでは。
「Culcha Vulcha」Snarky Pappy:
スナーキー・パピーは、「Sylva」が2016年グラミー賞のベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバムを受賞しているので、2年連続のノミネート。このバンドの予想不可能なリズムやメロディーの展開は、攻撃的で終始スリリング。流動的なメンバー構成や、目まぐるしく展開するオーケストレーションは、演劇的でもある。この新作も、このバンドの「尖った」音楽性が発揮された秀作。収録曲の「Tarova」はレゲエとファンク、「Go」はファンクとロック、というように融合的なグルーヴは親近感がわく曲だが、展開は意表も突かれる。
受賞を予想するなら、スナーキー・パピー、ひょっとして、ビル・フリーゼル、かな。スムーズジャズのファンとしては、チャック・ローブのノミネートが嬉しいけれど、スムーズジャズから選ぶならもっといい作品があるのに。スナーキー・パピーの先進的な音楽性は、注目に値する。ただし、リスナーはリラックスすることは許されず、聴くためのエネルギーが必要。でも、聴き終わると爽快感を感じる、不思議で、ちょっと中毒性の魅力。

2016年12月25日 (日)

2016年のスムーズジャズ・ソング15(+1)曲

G

今年のスムーズジャズ・ソング、オススメのゴキゲンな15と1曲。

①「Taking Control」ジェラルド・アルブライトの「G」から。グルーヴ全開のパワー・チューン。ホーンセクションもベースも彼の多重録音。サックス以上に、ベース演奏のファンキーなところが必聴。
②「Tuesday Swing」スーパー・ユニット「Juzz Funk Soul」の「More Serious Business」の1曲。ポップなメロディーに乗って、ジェフ・ローバー、チャック・ローブ、エヴァレット・ハープ、3人のスリリングな演奏がたまらない。
③「Overdrive」注目のデュオ「The JT Project」の「Moments of Change」から。疾走感のあるアンサンブルに惹き込まれること間違いなし。
④「Can’t Let Go」ロック・ヘンドリックスの同名デビュー・アルバムから。ポール・ハードキャッスル作品を支えてきた、サックス奏者のソロ作品。官能的なフレージングがたっぷり聴ける。
⑤「Wonderland」ブライアン・シンプソンの「Persuasion」から。共作のスティーヴ・オリバーのテイストがブレンドされた、上品なポップ・チューン。
⑥「Moving On」タイラー・リース「Reminiscence」からの、爽快なポップ・チューン。ポップな曲とはいえ、リースの超テクなギター演奏に注目。
⑦「Take Me Away」オリ・シルクの「Where I Left Off」から。客演ピーター・ホワイトのギターと、シルクのピアノのインタープレイが素晴らしい。
⑧「Soul Vibration」クリス・スタンドリング「Ten」から。浮遊するメロウなサウンドとギターなら、この人。ラウンジ的なグルーヴがカッコいい。
⑨「Bring It」キム・ウォーターズの「Rhythm and Romance」から。文句なしのスムーズなサックスならこの人。メロディ、演奏、鉄板の1曲。
⑩「Sassay」ポール・ジャクソン・JRの「Stories from Stompin’Willie」から。ソリッドなフュージョン・スタイルで、こんなにもポップなギターに感動の1曲。
⑪「East Moon」ドゥリュー・デビッドソンの新作シングル。オクターブ奏法で奏でるソウルフルなフレーズがたまらないミディアム・バラード。
⑫「Mr.Morris」ローマン・ストリートの「Bohemia」から、ヴィンセント・インガラのサックスと共演した曲。
⑬「Twelfth Night」ユージ・グルーヴの「Still Euge」から。ソプラノのメロウな音色がたまらない。
⑭「Triple Dare」BWBの「BWB」から。リック・ブラウン、カーク・ウェイラム、ノーマン・ブラウンのリラックスしたインタープレイが聴きどころ。
⑮ 「Joy Ride」アダム・ホーリーの「Just the Beginning」から。共作のグレッグ・マニングらしいメロディを、ファンキーでソリッドなギターが疾走するビート・ナンバー。
⑯「Midnight Drive」マイケル・リントンの「Second Nature」から。リントンのサックスが歌う、メロウなAORチューン。リントンの泣きのサックスが沁みる。

2016年のベスト3+1

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今年聴いた作品の中から、独断で選んだベスト作品です。

1. ボブ・ボールドウィン 「The Brazilian-American Soundtrack」

2. ユー・ナム 「Surface Level」

3. フィリップ・ドック・マーティン 「Pocket Love」
(次点)デイブ・ブラッドショウ・ジュニア 「Set Me Free」
近年のボールドウィンは毎年のように新作を発表して、ますます脂がのった活動は精力的。今年の新作は、オリンピック・イヤーにブラジルをテーマにした作品。ニューヨークでの演奏セットを対にした企画も秀逸な内容。ほぼ2時間半に及ぶ全26曲のボリューム、全曲クオリティの高さは圧巻で感動の力作。ジョー・サンプル、ジョージ・デュークら巨匠に勝るとも劣らない、現役のプレイヤーとして突出した才能を聴かせてくれる。
ユー・ナムの新作は、彼がジョージ・ベンソンをフォローする演奏スタイルにかたくなに取り組んできて、現時点での頂点と言ってもいい力作。たとえベンソン・スタイルと形容されても、オリジナルの域に届くかのような演奏が情熱的。90年代のディスコ・ビートを下敷きに、グルーヴ重視のギター・リフが、怒涛のごとく全曲を貫く。ビートのみならず、縦横無尽なギター・テクに惹き込まれる。
フィリップ・“ドック”・マーティンの新作は、オーソドックスと言っていいスムーズ・ジャズの秀作。奇をてらわない、健康的なサックスの音色が魅力。名作「Two Of Us」も、原曲を崩すことなく、むしろ忠実なアプローチが潔良くて心地いい。R&Bやポップな曲も並んで、いずれも上品なマーティンのサックスは、グローバー・ワシントン・JRの再来と言ったら褒めすぎかな。
デイヴ・ブラッドショウ・JRは、デビュー作品とはいえ、完成度の高い作品。「このピアノは誰?」と聞かずにはいられない。サックス奏者ダーレン・ラーンの客演やプロデュースのサポートも好影響。ゴスペル・テイストを感じるアタックなフレーズや、ソフトでメロウなところもある、彼のピアノ・プレイに魅了される作品。
さて、毎年恒例の、「Sound of The Breeze」のマスター、「洋楽のソムリエ」さんによるベスト作品は。下記がそのコメント再録です。(当サイトと同時掲載です。下記のコメント内のリンクは、当サイトのレヴュー記事です。)

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Large_3 Silk Change Ken_navarro_bonfire

1位 The Brazilian-American Soundtrack Bob Baldwin

内容の濃いアルバムを毎年途切れることなく発表するだ

けでも評価出来るのに、今回は二枚組 ! 二枚ともそれぞ

れに特徴があるのだが、筆者はブラジルがテーマである

Disc 1にぞっこんだ。「Ipanema Fusion 」は、今年のベ

スト・ダンス曲に認定した程である。「コルコヴァード」

やイヴァン・リンスの楽曲でもボールドウィンの編曲センス

は光る。横綱が横綱相撲を取ったということで1位認定。


2位 Where I Left OffOli Silk 

もはや彼にグレッグ・カルーカスやブライアン・シンプソンの

後継者といった表現は失礼だろう。むしろ、このアルバムで

両者を凌いだ観さえある。軽めのグルーヴが心地よいふたつの

ヴォーカル作品も秀逸だ。「今年の正統派スムーズ・ジャズはこ

! 」という作品を選ぶなら、このアルバムかも知れない。この

アルバムのように、一曲一曲に納得がゆくというものは極めて稀

である。

 

3位 Moments Of Change The JT Project

全曲をオリジナルで攻めて来たデュオの最新作は、今年

のスムーズ・ジャズ・シーンの質を底上げしてくれた一枚

だ。このような らしい作品 がシーンに存在する限りは

スムーズ・ジャズの行く手は、まだまだ明るい。特に「Limbo

と「Overdrive 」には、他のジャンルでは味わえない爽快

感がある。個人的にだが、マスタリングで友人のロン・ボー

ステッドがかかわっているのも、うれしい。

  

次点 『Bonfire Ken Navarro

ケン・ナヴァロは1990年代後半から2000年代前半に一旦

ピークを迎えたギタリストだ。選者(=筆者) は当時、そん

な彼の作品をライセンス契約のもと日本で発売していたの

だ。この作品は、彼が再び当時の路線に戻り(One Summer

Day)、さらには新たな境地に果敢に挑戦したものと捉える

ことが出来る。ナヴァロを再評価する契機となる一枚として

推奨したい。

 

その他の「推奨盤」 

グラミーにノミネートされたChuck Loeb の『Unspoken 』は、グラミー獲得に値する一枚。本来であれば、このような作品がBest “ Smooth Jazz “ Albums というカテゴリーのもとに候補として挙がるべきなのだ。本来であれば” Best に食い込んでいい作品なのだが、完璧さが鼻について減点した。

Jazz Times誌」はKim Waters Rhythm and Romanceスムーズかつ完璧と評している。異性を恍惚に導く際の極めて上質なBGMとしても使えそう。

The Rippingtons True Stories も、ベスト級のデキだ。

Gerald Albright Gは、マイケル・マクドナルドが唄う「Lovely Day(ビル・ウィザース)が聴けるというだけでも買う価値あり!

いつもであれば上位に推すEuge Groove Still EugeMarc Antoine の『Laguna Beach 』は、前作以上には魅力的と思えず、今回はパス。

Peter White の『Groovin’ は彼のカバー作品が好きな人にはお薦め。筆者には書き下ろし作品がなかったことに不満が残った。

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奇しくも、同じ1位が、「The Brizilian-American Soundtrack」でした!スムーズジャズ・ファンなら必聴の作品です。もう一度聴き通して、今年を締めくくろうかな。

2015年12月26日 (土)

2015年ベストなスムーズ・ジャズ・ソング15(+1)曲

Nate

今年の、ベストなスムーズ・ジャズ・ソング、15曲。ヘビロテ間違い無し、極上の一級品ソング。(リンクは、収録アルバムのレヴュー)

① 「#Luvit」 ネイト・ハラシム(kyd) 疾走するビートがたまらない。ハラシムの速弾きピアノは必聴。このスリル感はハンパじゃない。アレンジにも、ハラシムの才能が発揮された曲。アルバムの方は、力作でも、ちょっとヘビーな感じだったけれど。この1曲は「すごい」。

② 「One of a King」 ブライアン・シンプソン(kyd) シンプソンならではの、とびきり爽快な曲。グレース・ケリーのサックス、ニルスのギターのサポートも素晴らしい。視界が広がる曲。

③ 「In Deep」 ヴィンセント・インガラ(sax) やっぱり今年はこの人。インガラの、ディープなビートがガツンと来る。解説不要、ノレるダンシング・チューン。

④ 「Remember the Time」 セシル・ラミレス(kyd) セシル・ラミネスのピアノと、ブライアン・カルバートソンのシンセが絡む、ファンクのムードが、ちょっと懐かしい。

⑤ 「Jazz & Wine」 ピート・プロジェクト ピート・プロジェクトのユーロ・ポップな曲。ノリだけでなく、後半の、インスト演奏を聴いてほしい。このヴィアブレーション、この人たちただ者ではないぞ。

⑥ 「Play It Forward」 ジェイムス・ロイド(kyd) ピーセス・オヴ・ア・ドリームのジェイムス・ロイドのソロ曲。アタックなピアノとキャッチーなフレージングに酔わされる。

⑦ 「When Marie Smiles」 ティム・ワトソン(kyd) ティム・ワトソンのメローなピアノが魅力な秀作。絡むジャネット・ハリスのファンキーでパワフルなサックスにも、耳を奪われる。サウンド・プロデュースは、オリ・シルク。

⑧ 「Cabo」 ランディ・スコット(sax) スコットのファンキーなブロウがたまらない。ラテン・ビートのキャッチー・チューン。

⑨ 「Sailing Away」 ジョナサン・フリッツエン(kyd) フリッツエンのピアノ演奏、「セクシー」と表現したいムーディーな曲。

⑩ 「Skip to My Lew」 ウォルター・ビーズリー(sax) ビーズリーの特色、ジェントルなサックス音色に浸れるヒーリングな曲。

⑪ 「Red Hook」 レブロン(sax) 期待の新人、レブロンのシルクのようなサックス。軽やかなミディアム・テンポで、弾むようなブラス・セクション。このヴァイブレーションは聴き捨てられない。

⑫ 「All In」 ピーセス・オヴ・ア・ドリーム ピーセス・オヴ・ア・ドリームのファンキー・チューン曲。客演しているトニー・ワトソン・ジュニアのサックスに注目。

⑬ 「Drumline」 ボニー・ジェイムス(sax) 音色を聴いたらこの人。ボニー・ジェイムの、洗練されたソウル・ムードがたまらない。

⑭ 「Shine On」 ザ・サックス・パック 久しぶりのザ・サックス・パック。この曲は、キム・ウオーターズの代わりにマーカス・アンダーソンが入った、新生トリオの曲。アンダーソンはジャケットに写っていないけれど。皮肉にも、アンダーソン参加の演奏が新鮮。

⑮ 「Blu Sky」 ダーク・K(g) 出たばかりのダークKのニュー・シングル。これが、なかなかの曲。洒落ではないけれど、ダーク・ホースかもしれない。

⑯ 「Juliet」 ケン・ナヴァロ(g) この曲もやっぱり入れておきたい。ケン・ナヴァロのロマンチックなメロディーと、ヒューマンで紡ぐようなギターに、うっとり。

2015年12月25日 (金)

2015年のベスト3+1

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今年聴いたディスクからの独断的ベスト3+1です。

① ヴィンセント・インガラ 「Coast to Coast」
② ブライアン・シンプソン 「Out of a Dream」
③ ジョナサン・フリッツエン「Fritzenized」
次点:ピーセス・オブ・ア・ドリーム「All In」
4作品は、どれも甲乙つけがたい優秀作。アダルト・コンテンポラリーで、ソフィスティケートなメロディー、R&Bテイストなビート、インストルメントの魅惑的なアドリブ・フレージング、アンサンブルのグルーヴ。何と言っても、いずれの作品も、ポップなアレンジメントで、聴いていてワクワクするし、まさに、スムーズ・ジャズの王道スタイルと言っていい「名作」の4枚。
インガラの作品は、ヴィヴィッドな彼のサックスが際立ったところはもちろん、ギター、ピアノ、ブラスセクション、など多彩なサウンド・アレンジメントが素晴らしい。ボーカル曲「Baby I’m Hooked」は、ヒット・チャートを上がってもおかしくないグッとくるポップ・チューンなんだから。インガラの才能に驚嘆する力作。
シンプソンの作品も、非の打ち所がない秀作。流れるような、シンプソンのピアノ・フレージングが、随所で聴けて嬉しい。「San Lorenzo」での、フェンダーの軽快で染みる音色なんて、拍手もの。フリッツエンの作品は、「色気」のあるピアノ・サウンドが最高に魅力的な秀作。「Sailing Away」は、コーラスを絡めて、艶のあるピアノの色っぽいこと。
ピーセス・オブ・ア・ドリームは、長いキャリアの熟練サウンドに、新人サックス奏者が加わって新鮮な作品になった。ソフィスティケートなビートとメロディーは、クワイエット・ストームを継承する、このユニットの完成形。さらに新作が聴けることを期待したいユニット。
今年は、その他、ボニー・ジェイムスサックス・パックマリオン・メドウズケン・ナヴァロウォルター・ビーズリーなど、お馴染みのアーティストの作品はいずれも、グッときた作品。ブラインアン・カルバートソンや、カーク・ウェイラムのライブ盤も「力作」だった。
いずれも色褪せないエバーグリーンな作品が多かったのに、グラミーに一枚も選ばれないなんて。このスムーズ・ジャズを聴いてみやがれ!ってんだ。
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さて、下記は、共同企画として毎年の恒例になった「Sound of The Breeze」のマスター「洋楽のソムリエ」さんによる、ベスト3+1です。(注:リンクは、当サイトのレヴューです。)

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Kennyg Krall Vincentingala_new_3 Simpson_2

2015年ベスト・スムーズ・ジャズ・アルバム

1位 『brazilian nights』Kenny G

ケニーGによるボサノヴァ集。ジャズの作品としてかなり知られ

ているものもあり、頑迷固陋(がんめいころう) なドジャズ・ファ

ンから一言ありそうなアルバムではある。しかし、それがどうした!

ソプラノ・サックスは元より、彼がテナー、アルトでも”ケニーG”

であり、変わらず聴く者を恍惚とさせてくれることを証明する一枚

である。2015 年、最高のボサノヴァ・アルバムが誕生した。

2位 『wallflower』Diana Krall

“ ポピュラー音楽ファンに聴いて欲しいスムーズ・ジャズ” があると

すれば、まさにこの作品だ。デイヴィッド・フォスターの編曲にも、

しびれる。ポップス・ファンなら誰でも知っている曲を唄うというの

は、恐らく勇気の要ること。それをここまで唄いこなすクラールの

技量には、正直驚いた。失礼しました、あなたの巧さにも脱帽です。

3位 『Coast To Coast』Vincent Ingala

彼が演奏する主要な楽器はサックスだ。しかし、ギターやその他の

楽器の腕の確かさには舌を巻く。ドラムは、ラスベガスの「”エルビス・

プレスリー”ショー」で叩いていたというのだから、それこそ”本物”。

アルバムのタイトル曲は、この夏Billboard のスムーズ・ジャズ・チャ

―トでも1位を獲得。また、筆者が選ぶ「2015年のベスト・ダンス・ソング」

でも第10位だった。

次点 『Out Of Dream』Brian Simpson

洗練されたスムーズ・ジャズ・ピアノのアルバム制作では、もうトップ・

クラスの実力者だ。ゲストも豪華なだけではなく、彼らを自家薬籠中の物

として”使いこなしている” のが凄いし、またシタタカである。今後暫くは、

第1級の傑作アルバムをリリースし続けそう。今最も脂が乗っているアーテ

ィストだけに、バンドのリーダーとして来日公演を果たして欲しいもの。

その他の「推奨盤」

昨年、復活のノロシを上げたケン・ナバロの『Unbreakable Heart』は、全盛期を彷彿とさせるデキで、彼を知らない人は、これから聴き始めてもいいだろう。

今年は、”インコグニート” の当たり年だ。もっとも、インコグニートそのものの作品ということではなくブルーイの『Life Between The Notes』とメイサ(リーク) の『Back 2 Love』のこと。スムーズ・ジャズにダンス曲を求める人には、特にお薦めしたい。

独特のグルーヴを持つU-Nam のリリースが無かったことを嘆くあなたにはGroove Ltd. の『First Class』を是非! 女性サックス奏者、シャノン・ケネディとのコラボ作品は、実質ユー・ナム作品だ。

マーカス・ミラーの『Afrodeezia 』は、今年の拾い物のひとつ。「アランフェス協奏曲や「Papa Was A Rolling Stone 」など、それぞれに味があって心地よい。

ボニー・ジェームスの『Futuresoul』も挙げておきたい。理由は、今年のベスト・セラー・アルバムだから。これは、決して皮肉にはあらず。売れるのには理由があるのだ。筆者は、ベスト・セラー作品は努めて買うことにしている。少なくとも、「今を知るため」には必要だからだ。

最後に、珍しく日本制作のものをお薦めしたい。ミカ・サンバ・ジャズ・トリオの『バランス・ゾナ・スル』だ。日本人ピアニスト、Mika によるブラジル録音作品で、スリリングなライヴ感がたまらない。マルコス・ヴァーリも参加している。

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お互いブラインドでセレクトしましたが、ヴィンセント・インガラと、ブライアン・シンプソンが、ダブりました。この2枚は、文句なし、今年のベスト盤でしょう。

2015年12月14日 (月)

第58回グラミー賞ノミネート作品

Billf Wouterk Marcusm_2 Snarkyp According


















第58回グラミー賞のノミネート作品が発表された。今年の、「ベスト・コンテンポラリー・インストルメンタル」のジャンルのノミネート作品は次の5作品。

1. 「Guitar In The Space Age !」Bill Frisell
2. 「Love Language」 Wouter Kellerman
3. 「Afrodeezia」 Marcus Miller
4. 「Sylva」 Snarky Puppy & Metropole Orkest
去年の「第57回グラミー賞ノミネート」には、スムーズジャズ系が大勢を占めたので、期待したのだけれど、今年は、スムーズジャズの影が驚くほど薄くて、残念。大御所マーカス・ミラーや、カーク・ウェイラム、はお馴染みのアーティストだけれど、作品自体はちょっと距離感があるし、その他のアーティストも、知ってはいても馴染みが薄い。
ビル・フリーゼルは、ノンジャンルで、前衛的な作風のギタリスト。ウーター・ケラーマンは、南アフリカ出身のフルート奏者。去年のグラミーでは、参加作品「Winds Of Samsara」が、ニューエイジの最優秀アルバム賞に選ばれた人。スナーキー・パピーは、ジャズ界では、人気沸騰の、アバンギャルドなニュー・ジャズ・ユニット。候補作品は、メトロポール・オーケストラとコラボした、前衛的意欲作。
コンテンポラリー系のジャズや、アカデミックなインストと、幅広いジャンルを網羅したノミネートという感じ。どちらかというとポップ路線なスムーズジャズは、芸術性の点で評価が低いと言うことか。かといって、ポップスのジャンルには、インスト部門は無いので、スムーズジャズは無視されているのか。カーク・ウェイラムの候補作品は、当サイトでも紹介したので、その音楽性は選ばれて当然とは思うが、スムーズジャズ色の濃い作品ではない。ジャンル違いとは言え、「Love Language」を聴いてみた。オーケストレーションをバックにした、ケラーマンのフルートが美しく情景的でヒューマンな作品。芸術性は高いが、ニューエイジかワールド・ミュージックのジャンルに入るような作品。その他は未聴なので、発表までに聴いてみようとは思うが、もっとワクワクする、スムーズジャズの好盤を聴いていた方がいいかな。

2014年12月25日 (木)

2014年のベスト3+1

Rickbraun Soulappeal_lg Simpletruth Gregmanning

今年聴いたディスクからのベスト3、

① リック・ブラウン「Can You Feel It」:ダンシング・ビートにホーン・セクションとポップなメロディー、三拍子が揃って、八面六臂なリックのトランペットがたまらない、完成度の高い作品。デイブ・コーズとリックがチェイスする「Get up and Dance」はベスト・ソング。こんなにクールな曲をフェイド・アウトするなんて、本当に酷だなあ。
② マイケル・リントン「Soul Appeal」:リントンのサックスが、サイコーにソウルフルな傑作。のっけから最後までパワフルなリズムも息をつかせない。R&Bのフォーマットで展開するリントンの吹くフレージングは、テクもさながら、パッションがびんびん伝わる素晴らしい演奏。サックスとリズム陣のインプロビゼーションの応酬は、コンテンポラリー・ジャズとしても秀作。ケニー・ラティモアがゲストで唄う「Gonna Love You Tonite」は、最高にクールなベスト・ソング。ライブさながらのソリッドな録音も秀逸。
③ エド・バーカー「Simple Truth」:エド・バーカーのデビュー・フル・アルバム、ほぼ1年前のリリースだから、時間が経ってしまって、ちょっと分が悪いけれど、バーカーの健康的でワクワクするサックスとヴァイブレーションに軍配を上げたい秀作。最近、バーカーは活動拠点をアメリカに移したとか。次のアルバムあたりでブレークするかな。デイブ・コーズの強敵になりそう。
次点の作品は、 グレッグ・マニング「Dance With You」:コンテンポラリーな曲想や、ディスコ・ビートにのって、マニングのアコースティックとエレキ・ピアノがいずれもシャープで生き生きとして、スムーズ・ジャズの王道な秀作。「Groove Me」はサイコーにクールなベスト・ソング、このグルーヴ、何度聴いても聞き飽きない。
今年を振り返ってみれば、秀作が目白押し。思いつくだけでも、ベテラン・アーティストが多作だった。ポール・テイラー、ブライアン・カルバートソン、ネーザン・イースト、ミンディ・エイベア、トム・ブラクストン、ジョナサン・バトラー、ユージ・グルーヴ、ポール・ブラウン、ユー・ナム、ピーター・ホワイト、グレッグ・カルーカス、キム・ウオーターズ、ジャズ・ファンク・ソウル(ジェフ・ローバー、エバレット・シャープ、チャック・ローブ)等など。特に、久しぶりのグレッグ・カルーカスや、ユージ・グルーヴの作品は、文句無しのベスト級。ネーザン・イースト、ミンディ・エイベア、ジャズ・ファンク・ソウルももちろんベスト級で、グラミー候補になるのだから貫禄が違う。
若きアーティストの作品も光っていた。レベル10、トリスタン、サム・ルカー、デビッド・P・スティーヴンス、ザ・JTプロジェクト、ダニー・キューズなど、デビュー作にしての傑作もあって、いずれも才能溢れるアーティスト。今後の活躍を注目したい。
さて、当サイトがリンクを貼っている「Sount of The Breeze」は、ポップスからスムーズジャズまで網羅する情報満載の、イチオシのサイトです。
お互いにベストを発表し合うという共同企画。去年もやりました、「恒例」企画です。
それでは、 マスターの「洋楽のソムリエ」さんの選んだベストです。(リンクは、当サイトのレビューです。)
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「Sound of the Breeze’s Best Smooth Jazz Album」

1位:ピーター・ホワイト『Smile』 1位の理由は、ずばり「楽曲の良さ」である。 「Floating In Air」、「Head Over Heels」、 「Hold Me Close」、「Awakening」と、 4曲ものうっとりとさせてくれる”美メロ”作品が 収められている作品を1位に推さない理由は見当 らない。まさに、聴き惚れる一枚で、ホワイトの 最高傑作と言っても良いのではなかろうか。
2位:リック・ブラウン『Can You Feel It』 これがグラミーにノミネートされないのは、なぜ?! そんな不満が口をついて出てしまう一枚。楽曲、演奏 参加ミュージシャン、雰囲気、ジャケットのどれもが 最高レベル。「Back To Back」、「Another Kind Of Blue」 が特に良い。1位と2位の評価に差は無し。あるのは、 個人的な好みの差だけ。
3位:ネイザン・イースト『Nathan East』 恐らくスムーズ・ジャズのアルバムとしては、今年 最も売れた一枚。少なくとも、専門局で最もスピン された一枚か。初のソロ・アルバムだけに力の入り 様が違う。また、アイディアが詰まっている。今評 価しなかったら、いつ評価するの? という感じ。良く も悪くも「Daft Funk」は聴き逃せない。
次点:ブライアン・カルパートン『Another Long Night Out』 聴き惚れる一枚だ。20年前のデビュー・アルバム『Long Night Out』 をセルフカバーするという大胆な発想が天才らしい。当時21歳。天 賦の才を垣間見せた男は、今やこのジャンルきってのキーボーディス トに成長した。彼がバンド・リーダーとして来日公演が出来ていない のが、日本のスムーズ・ジャズへの認識の低さを物語っていて悲しい。 収録された作品が新曲であれば、間違いなく1位。
選考に当たっては、「前作より優れている」ことをポイントのひとつにした。 迷ったのはグレッグ・カルーカスの『Soul Secrets』。5年ぶりの新作は待ちに待ったものであった。この間の隙間を埋めるかのように多彩な内容は、ファンなら間違いなく満足したはず。だだ、彼を25年間聴き続けて来た筆者には2005年の『Looking Up』に収められていた「Corner Club」を超える作品が入っていなかったのだけは残念に思えた。 ユージ・グルーヴの『Got 2 Be Groovin』は、彼が”ゆったりしたグルーヴ”を紡ぎ出せる第一人者であることを改めて見せつけた一枚である。ベスト3に載せなかったのは、前作の『House Of Groove』は、超えていないから。 J. Lorber / C. Loeb/ E. Harp による『Jazz Funk Soul』は、三人のケミストリーがプラスαを生み出していて聴きごたえ十分。グラミー候補作の中ではネイザン・イーストに次ぐ評価を下したい。 ケン・ナヴァロは『Ruby Lane』で長い低迷期を脱した。 トリスタンの『Full Power』は、タイトなリズムが御機嫌。ベスト3の一角も考えたほど。二作目が楽しみ。 以下、今年の「間違いないアルバム」をリリースしたアーティスト名を列挙すると、ポール・ブラウン、リチャード・エリオット、ジョナサン・バトラーとなる。
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リック・ブラウンが、グラミー賞にノミネートされないのは、なぜ? 同感です。来年も、スムーズ・ジャズが、さらに評価されることを願ってやみません。

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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2015 Top Recommend (click)

  • Bob Boldwin「MelloWonder」
  • Brian Simpson 「Out of a Dream」
  • Jonathan Fritzen 「Fritzenized」

2014 Top Recommend (click )

  • Greg Manning 「Dance With You」
  • Rick Braun 「Can You Feel It」
  • Michael Lington 「Soul Appeal」
  • Ed Barker 「Simple Truth」

2013 Top Recommend (click)

  • Jeff Golub 「Train Keeps a Rolling」
  • Oli Silk 「Razor Sharp Brit」
  • Patrick Yandall 「Soul Grind」
  • Boney James 「The Beat」

2012 Top Recommend (click)

  • Euge Groove 「House of Groove」
  • Paul Brown 「The Funky Joint」
  • Chris Standring 「Electric Wonderland」
  • Vincent Ingala 「Can't Stop Now」
  • Phil Denny 「Crossover」