カテゴリー「キーボード」の記事

2018年11月25日 (日)

Bob Baldwin 「Bob Baldwin Presents Abbey Road and the Beatles」(2018)

Bbaldwin abeyroadボブ・ボールドウィンは、キーボード奏者である一方、10年前からラジオ番組を制作して、自らホストDJを務めている。「New Urban Jazz Lounge」というその番組は、今では全米40を超えるステーションで放送されている人気番組だ。彼の提唱する「ニュー・アーバン・ジャズ」とは、”伝統的なジャズの様式に敬意を払い、ブラジル音楽とアーバンなフレーバーをブレンドした、コンテンポラリー・ジャズの形である。”と定義付けている。その番組は、ボールドウェインのホーム・ページで、ストリーミング配信されているので、ぜひ一聴されたし。
さて、ボールドウィンの新作は、デビュー作「A Long Way to Go」(1988)から数えてキャリア30年目を記念する、ビートルズ・ソング集である。ビートルズの名曲10曲が、「ニュー・アーバン・ジャズ」な演奏曲に生まれ変わり、目(耳だね)を見張る作品集になった。
ファンキーなベースのリズム・リフで始まるイントロが意表を突く「Yesterday」は、対照的にほぼ原曲に忠実なボールドウィンのピアノと相まって、魅力的な演奏。ちなみに、「Yeasterday」は、ボールドウィンのお気に入りのビートルズ・ナンバーのようで、つい前作「The Brazilian-American Soundtrack」(2016)でも、同曲を演っているし、20年以上前の「For You」(1994)というアルバムにも、同曲が収録されている。「Imagine」も、編曲が白眉な1曲。都会的なR&Bグルーヴに飾られた演奏は、オリジナルとはまるで別もの。ユージ・グルーヴのソプラノ・サックスと、ボールドウィンのピアノのインタープレイが美しい、ベスト・トラック。「And I Love Her」は、忠実にオリジナル・メロディーを奏でるボールドウィンのピアノが聴きもの。ほぼリズム・セクションだけの、シンプルなアレンジで、終始リリカルなピアノに心惹かれる。「Michelle」も、オリジナル・メロディーは忠実に、主旋律以外のフレージングが独自なメロディに飾られたアレンジが素晴らしい。「Don't Wanna Be (The Fool on the Hill)」ではシー・シー・ペニンストン、「My Love」ではロリ・ウィリアムズ、のいずれも女性ボーカリストを迎えて、アダルト・オリエンテッドなムードの曲に変身。
10曲のビートルズ・ナンバー(「Something」はインストとボーカルの2バージョンが入っている)に加えて、ボールドウィンのオリジナルの「Abbey Road」という曲が入っている。ゲスト・ボーカルは、ロリ・ウィリアムズ。”アビー・ロード、その音楽は決して古びない。美しきアビー・ロードは、永遠のサウンド。”と歌われる。歌詞には、レノン、ポール、リンゴ、ジョージ、なんとヨーコまで登場。Come Together、Let It Be、Here Come the Sun、などの曲名も歌われる。メロウで、アーバンなR&Bメロディーに乗っての、「ビートルズ大賛歌」なのである。

2018年11月17日 (土)

Kayla Waters 「Coevolve」(2018)

Coevolveピアノ奏者ケイラ・ウォーターズは、サックス奏者のキム・ウォーターズの愛娘である。キム・ウォーターズの作品、「Silver Soul」(2014)でも、彼女のピアノ演奏がフューチャーされていたように、父娘の共演から、早くから注目されていた人。その後、トリッピン・リズム・レコードから「Apogee」(2017)をリリースして、ソロ・デビューを果たした。そして、この新作がソロとしての2枚目のアルバム。「Apogee」はフレッシュなデビュー作品だったが、ぎこちないところが拭えない印象もあった。この新作では、ピアノが踊るように奔放でエレガントな演奏で、目(耳)を見張るほどに、デビュー作とは段違いで素晴らしい。楽曲も、若々しさを感じて、明るい基調のムードが爽快だ。1曲目の「Zephyr」は、先行でシングルとなっていた曲で、彼女の代名詞になるようなハイライト・チューン。題名のゼファーとはギリシア神話の西風神を転じて、そよ風のこと。リラックス感のあるメロディーと、爽やかなピアノのフレージングがまさに優しい風のように爽やかな佳曲だ。2曲目の「Black Cover」でも、感情移入しながら爪弾くようなピアノが美しい。この曲のサックスは、キム・ウォーターズだろう。「Eden's Gold」は、R&Bテイストのスロウ・バラード。明るい印象を残す、ロマンチックなピアノのフレージングが際立つ曲。「Cocoa Earth」は、エレキ・ピアノの演奏で、スピード感を伴うグルーヴが楽しい。中盤から交差するフルートは、ツアーのメンバーらしいケリー・ゲイナーという人の演奏。そのフルートも聴きどころ。最後の曲がアルバム・タイトル曲「Coevolve」で、アンビエントなムードのピアノ演奏が印象的な曲で、これもこの人の特色だろう。デビュー2作目にして、飛躍を印象付ける秀作。

2018年10月31日 (水)

Skinny Hightower 「Retrospect」(2018)

Hightower retrospectスキニー・ハイタワーは、キーボード奏者で、ドラムやベースも操る、気鋭のアーティストだ。デビュー・アルバム「Cloud Nine」(2016)の後、メジャー・レーベルのトリッピン・リズム・レコードと契約して、「Emotions」(2017)をリリース。そして、精力的に早くもこの新作「Retrospect」をリリース。全15曲、1時間超えのボリュームに、彼の力量が前作以上に発揮された力作だ。縦横無尽な彼のピアノ演奏が発揮された楽曲の数々が並ぶ。彼のピアノは、前作に比べて、よりパーカッシブで、エネルギッシュに響き渡り、圧倒される演奏。数曲のゲストに、サックス奏者コンスタンティン・クラストルニ(Kool & Klean)や、ジャズ・ドラマーのネイト・スミスらが参加しているが、ハイタワーがキーボードに関わらず、フルートやベースなど、多くの楽器演奏とアレンジをこなしている。
「From the Heart」は、コンスタンティン・クラストルニが参加した曲。Kool & Klean での十八番のチルアウト・ムードの印象を覆すような、情熱的なサックスと、グルーヴィーなピアノが交差する佳曲。「Retrospect」は、終始パワフルにフレーズを刻むピアノが圧倒的な演奏。後半の、オルガン演奏も聴きどころのベスト・トラック。「Next to You」は、女性ボーカル(Bebe Merrillsという人)をフューチャーした、メロウなR&Bバラード。ピアノも、メロウな味わいが新鮮だ。「One Way Street」は、ビルボード(Smooth Jazz Songs)にもチャートイン中の、ファンキーなビート・ナンバー。ビートに乗って踊るようなピアノに引き込まれる、キャッチーな曲。「Hold On」は、スロウでメロウな佳曲で、クラストルニのジャージーなサックスと、オルガンのインタープレイが印象的。アルバム中唯一のカバー曲は、「People Make the World Go 'Round」。ご存知、スタイリスティックスの名曲(トム・ベル作曲)。ヴィブラフォン(シンセかな?)が奏でるクールなフレージングを堪能できる、味わい深いカバー演奏。
前作のアルバム「Emotions」をリリースした時に、ハイタワー自身による「Emotions:The Narrative」という著作を出している(アマゾンのキンドル版あり)。内容は、アルバム「Emotions」の全曲の、曲作りの背景や彼自身の心象を著したもの。彼は、デビュー前、5年間に渡り陸軍に服役して、アフガニスタンで従軍していた経験を持っている。実母の他界や、服役後の心的ストレス障害、夫婦関係の苦悩、といったプライベートな事柄も披露している。「私の音楽が、スムーズジャズの世界の大勢から支持されなくても、ただ1人の誰かに楽しんでもらいたい。」と述べているのが印象的。この新作も、彼の音楽に込められた真摯なメッセージを感じ取りたい。

2018年8月13日 (月)

Brian Simpson 「Something About You」(2018)

Bsimpson somethingaboutyouブライアン・シンプソンの新作。シャナキー・レコードと契約した最初のアルバム「South Beach」(2010)から数えて、同レーベルから早くも5作目の作品。通算では、8枚目のソロ作品。「South Beach」以前というと、デビュー・アルバム「Closer Still」(1995)の後、「It's All Good」(2005)、「Above the Clouds」(2007)と、12年の間にわずか3作品のリリースだったから、近年の意欲的なリリースは、嬉しい限りだ。この新作も、シンプソンのピアノ・スタイルを高めた素晴らしい内容。今や、彼がスムーズジャズの領域で、間違いなくトップ・アーティストであることを証明する作品だ。
前作「Persuasion」(2016)は、スティーヴ・オリバーとの共作が「新機軸」だったけれど、今作もそのオリバーとのコラボを進化させた作品。全10曲中、オリバーとの共作は7曲。オリバーは、ギターの演奏はしていないが、楽曲の共作と、プログラミング演奏、共同プロデュースで関与している。残り3曲は、これも常連のオリバー・ウェンデル(キーボード)をサポートに迎えての作品となっている。
タイトル曲「Something About You」は、キャッチーなメロディーの佳曲。コーラスを配した色彩感豊かなサウンドは、スティーヴ・オリバーの手腕。「タメた」ステップを踏むかのような、ピアノ・フレージングは、シンプソンならではの美しい演奏。「Morning Samba」は、サンバのリズムに乗って、踊るようなシンプソンのフレージングが心地良い。「Mojave」は、ゲストのギター奏者ヤーロン・レヴィーのアコースティック・ギターと、シンプソンのピアノとのインタープレイが聴きもので、フェード・アウトするのが残念。「Irresistible」はチルアウトなムードの曲で、こちらでもレヴィーがゲストで演奏している。フラメンコ・スタイルのギターと、シンプソンのメランコリーなフレージングに引き込まれる演奏。「Chemistry」は、ゲストのトランペット奏者ロン・キングとの「会話」がブルージーな演奏。ロン・キングは、最後の曲「The Rainbow」でも演奏していて、こちらはミュート奏法で、ジャージーなムードのバラード曲。
今作品は、シンプソンのピアノを際立たせて、統一したムードに彩られている。ほとんど全曲のサポート・ミュージシャンが共通しているのが要因だろう。ギター(Darrell Crooks)、ベース(Alex Al)、パーカッション(Ramon Yslas)による、サポート隊の「いい仕事」は必聴だ。ドラムスがいないというのも興味深いところ。プログラム系の音色が主体になっている曲でも、ベースのオーガニックなグルーヴ感が、「隠し味」のように印象的だ。

2018年4月 8日 (日)

Dan Siegel 「Origins」(2018)

Dsorigins

ダン・シーゲルは、80年代から活躍しているベテラン・キーボード奏者。デビュー作品「Nite Ride」(1980)から数えて、ソロ作品は20を超える。フュージョン全盛期のキーボード奏者、デオダートや、ボブ・ジェームス、ジョー・サンプル、がヒット作品を連発していたのが、80年の前後だった。その後を追うように、デイブ・グルーシンや、ジェフ・ローバー、デイヴィッド・ベノワ、そしてダン・シーゲル、といった面々が出てきた。ジェフ・ローバーを筆頭に、そしてシーゲルも、今も現役としての活躍が聴けるのは嬉しい限りだ。ダン・シーゲルも、2000年以降、リリースのペースは落ちたけれど、5年ぶりのリリースだった前作「Indigo」(2014)に続いて、比較的早いこの新作のリリース。おそらく、60才半ばだと思われるので、これからも、さらに円熟した演奏活動が期待できそうだ。さて、この新作は、ベース奏者ブライアン・ブロムバーグと共同プロデュースした作品。ブロムバーグは、前作や前々作のプロデュースもしているし、シーゲルの近年作品に関わっている気心の合った盟友だろう。シーゲル自身のペンになる全10曲を、彼のアコースティック・ピアノを中心に、ブロムバーグのアコースティック・ベースも聴きどころの、オーガニックなスタイルのコンテンポラリー・ジャズだ。M5「Arabesque」や、M6「Moon and Stars」、M8「Under the Sun」は、いずれもシーゲルらしい、メランコリーなテーマ・メロディーが印象的な、美しい楽曲の数々。全曲で、シーゲルのピアノのキレのいいフレージングも、たっぷりと堪能できる作品になっているのだけれど、聴いていてジョー・サンプルの名作で、個人的にもエバーグリーンの「Carmel」(1979)を思い出してしまった。M4「Lost and Found」での、少しファンキーなアクセントが印象的なフレージングもそうだし、M3「After All」は特に、美しいメロディーもさることながら、後半のピアノ・ソロが白眉で、ジョー・サンプルが思いをよぎる。次作は、エレピも演って欲しいなあ、そう、ジョー・サンプルの「A Rainy Day In Moterey」のように。

2017年9月 3日 (日)

Jonathan Fritzén 「Ballads」(2017)

Ballads

ジョナサン・フリッツェンの新作は「バラッド」と名付けられた、文字通りスロウなムードのフルアルバム。前作「Fritzenized」(2015)までの5作品は、ビートに乗ってシンプルでアタックなシングル・トーンのピアノ、ポップなメロディーがスウィングするサウンド、そういうところが彼の真骨頂だったので、静謐なサウンドに貫かれたこの新作は意欲作だ。全12曲は彼の自作曲で、メロディーは牧歌的で、ピアノを固めるサウンドは映画のサントラを思わせるように映像的だ。ほとんどの曲は、フリッツェンのピアノとシンセに加えて、ギターの客演と、シンプルなサウンド。8曲をサポートするギタリストは、アレックス・クラウンという人で、この人は、フリッツェンと同郷のストックホルム時代の友人だそう。M2「Today」は、そんなクラウンのギターが活躍する曲で、アルバムの中でも比較的ワイルドなトラック。M4「Let It Go」も、クラウンが客演した、切ないメロディーの上質なポップ・チューンの白眉なトラック。M3「The Fiddler」は、牧歌的でフォーキーなメロディーがヒーリング・ムードいっぱい、ゲストのバイオリンは、ピート・プロジェクトのピーター・フェレンツ。M8「Countryside」は、視界が広がるような大らかな曲調のピアノが美しい。最後のコーダに聴かせてくれるアタックのあるビートの繰り返しは、都会的で、フェードアウトするのが残念。M7「Sahara」では、実母のカタリーナ・フリッツェンがフルートで客演して、親子共演のトラック。最後のM12「Rainbows」は、ピアノ・ソロの小品だけれど、フリッツェンならではのメロディーが余韻を残して美しい。聴き込むほどに、フリッツェンのピアノ世界に浸れる秀作。

2017年5月27日 (土)

Valeriy Stepanov 「New Beginnings」(2017)

Newbeginning

「スカイタウン・レコード」は、ギター奏者ユーナムが創設したレーベル。スムーズジャズに特化した大注目の新興レーベルだ。ユーナム自身以外にも、サックス奏者シャノン・ケネディと組んだ「グルーヴ・リミテッド」も所属アーティスト。いずれも、ファンク・グルーヴに満ちた「音色」が、このレーベルの特色。そして、このヴァレリー・ステファノフが、スカイタウン・レコードの新たなアーティスト。ヴァレリーは、ロシアのイルクーツク出身、モスクワ音楽院の卒業という経歴の持ち主。ロシアや東ヨーロッパで演奏活動や、レコードのリリースもある、若干27才のキーボード奏者。「スカイタウン・レコード」からのこの新作は、素晴らしい才能の発掘であり、「大型新人」の表舞台での登場だ。チック・コリアを思わせるような、力強くかつ技巧派のピアノ・フレージングや、フェンダー・ローズの弾けるような音色とグルーヴが、この人の特色。M1「Happy People」は、チェロやホーン・セクションと絡んで、フェンダーのグルーヴィーな音色が印象的なトラック。M2「Tonight」は、リリカルで疾走感のあるピアノが爽快で、ユーナムも客演した曲。M3「Walk in the Park」は、前2曲からのビートを引き継いだ、ポップなメロディーを奏でるピアノに惹きつけられる曲。M9「In Common」は、明るいミディアム・バラード、ここで聴けるフェンダー・ローズの、流れるようなフレーズにうっとりさせられる。M10「Butterfly」は、比較的このアルバムの中では異色だけれど必聴の演奏。ヒップなコーラスを使ったアシッド・ジャズのムードで、中盤から展開する疾走するリズムでの、速弾きピアノ・フレージングは、この人の「本格派」な音楽性が聴けるトラック。今年のベスト級の作品であり、将来性有望なアーティストの出現。

2017年3月20日 (月)

Herman Jackson 「The Cool Side」(2016)

Coolside

少し時間が経ってしまったけれど、第59回グラミー賞の「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」部門は、スナーキー・パピーの作品だった。予想していたとは言え、スムーズジャズ・ファンとしては、チャック・ローブが入選できないのは残念。スナーキー・パピーの芸術的な音楽性に反論はないけれど、スムーズジャズには依然としてスポットが当たらないのだろうか。スムーズジャズに批判的な評価があったとしても、ファンとして、筆者はそんなスムーズジャズが好きなのだから仕方が無い。理屈じゃないからね。今回も、そんなグルーヴィーでイチオシな作品を紹介。 ハーマン・ジャクソンは、キーボード奏者であり、プロデュースやアレンジもこなすアーティスト。スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、ベイビーフェイス、ロッド・ステュワート、ジョー・コッカー、といった多くのメジャーなポップス・アーティストから、ノーマン・ブラウン、ボニー・ジェイムス、ピーター・ホワイト、ユージ・グルーヴなど多数のスムーズ・ジャズ・アーティストまで、広範囲な共演経験を持つベテランの売れっ子サイドマンである。今作は、初めてのソロ作品。全曲、彼のピアノ演奏を中心にしたメロウなサウンド。「クワイエット・ストーム」系といっていい、都会的で艶っぽいムードのスムーズ・ジャズ。M4「Celia」は、コロコロと流れるような彼のピアノ・フレーズが堪能できるトラック。M2「The Cool Side」は、ギター奏者ノーマン・ブラウンが参加した演奏。軽快で清涼感を浴びるようなグルーヴが心地いい。M6「Rise up」は、サックス奏者エヴァレット・シャープが参加した、スピードのあるビートに乗ったサックスとピアノの交流が聴きもの。M9「Always There」は、ジョニー・ブリットがトランペットとボーカルで参加した、艶っぽいムードのバラード曲。M1「Downtown」は、キャッチーなハイライト・トラック。彼のピアノ・プレイに、ジョー・サンプルや、ジョージ・デュークが見え隠れして嬉しくなってしまう。

2017年2月12日 (日)

Paolo Rustichelli 「Soul Italiano」(2016)

Soul_italiano

パオロ・ルスティケッリは、イタリアの鍵盤奏者。ルスティケッリの父親は、カルロ・ルスティケッリというイタリア映画音楽の作曲家。「鉄道員」「刑事」など、有名作品を含めて多数の映画音楽を作曲した巨匠。息子のパオロも、10代から映画音楽や鍵盤演奏を始めたそう。1991年にソロデビュー作品「Mystic Jazz」をリリース。その作品は、マイルス・デイビス、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、カルロス・サンタナなどのジャイアンツを客演に迎えた隠れた名盤。マイルスのトランペットが美しい「Capri」や、サンタナが自身の演奏ナンバーにもしている「Full Moon」など、必聴の名演が入っている。次作の「Mystic Man」(1996)も、マイルスとサンタナが参加した作品。両作品は、チルアウト・スムーズジャズに繋がる秀作。パオロのフルアルバム・ソロ作品としては、「Nopagan」(2006)に続くのがこの新作。ルスティケッリは、シンセ系鍵盤を中心にほとんどワンマンバンドで作品を作るのがスタイル。この作品も、アコースティック・ピアノの硬質なフレーズを中心に、シンセ系の音の多彩なオーケストレーションが魅力の秀作。M2「Med Groove」の、ヨーロッパを感じるダンス・ビートに乗って浮遊するピアノ・フレージングに引き込まれる。M5「Soul Italiano」は、タンゴ・リズムが印象的なハイライト・チューン。M11「Playa Blanca」は、パワー・ブロウするサックスと、ピアノの掛け合いがクールなファンキー・チューン。M12「Evy & Carlo」は、映画のエンディングを思わせるバラードで、交錯する多彩なシンセの音色が美しい。

2017年1月30日 (月)

Brian Culbertson 「Funk !」(2017)

Funk

ブライアン・カルバートソンの新作は、「Bringing Back the Funk」(2008)の「続編」と言っていい、ディープな「ファンク」でリスナーを圧倒する快作。会話やSEを混ぜて、曲もビートも途切れ無く続く、ファンク・パーティーを体験するような構成。演奏は、「Live - 20th Anniversary Tour」の演奏メンバーに、プリンス・ファミリーのバンド「The Time」にも在籍したことのあるチャンス・ハワード(ボーカル、ベース)が、演奏や曲作りでも中心的役割として参加している。70年代のジョージ・クリントンのP-ファンクや、プリンスやジャム&ライスといったダンス・ファンクの世界を、カルバートソンならではの洗練された技量で料理した作品。M1「Get Ready」や、M2「The Call」で、始まるファンク・ビートは怒とうの重量級。M3「Been Around The World」や、M5「Let’s Take A Ride」での、打楽器のようなハードアタックのカルバートソンのピアノプレイは名演で必聴。エネルギッシュなビートが続いた後の、スローミディアムなバラード、M8「Hey Girl」のリリカルなカルバートソンのピアノがひときわ美しい。M10「Got to Give It Up」、はマービン・ゲイ名曲(1977)カバー演奏。トロンボーンは、カルバートソン自身による演奏で必聴。M12「Play That Funky Music」は、70年代に活躍したファンク・バンド、ワイルド・チェリーのヒット曲(1976)のカバー。M13「Spend A Little Time」はバラード曲。しっとりとしたカルバートソンのピアノは、「Another Long Night Out」などで魅了される「静」の顔。最後は、「To be continued」というから、カルバートソンの「ファンク」は続く?

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  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
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