カテゴリー「ベース」の11件の記事

2020年6月14日 (日)

Tony Saunders 「Sexy Somethin」(2020)

トニー・サンダースは、サンフランシスコのベイエリアを拠点に活躍するベース奏者です。

父親は、70年代に活躍したキーボード奏者マール・サンダース(2008年没)。マールは、ジェリー・ガルシア(グレイトフル・デッド)と活動を共にしたロックのレジェンド・プレイヤーとして有名です。ふたりは、双頭バンド「サンダース/ガルシア・バンド」だけでなく、2000年代初頭までコラボレーションを続けた盟友でした。

そのレジェンドを父親に持ったトニーは10代から演奏活動を始めて、およそ50年のキャリアを有する音楽家(ベース/キーボード/アレンジ/プロデュース)です。ソロのベース奏者として、デビュー・アルバム『Romancing the Bass』(2011)から3作品を発表しています。この新作は、4年ぶりの4作目となるスタジオ・アルバムです。

豪華な参加ゲストに注目です。3曲を共作・共同プロデュースしたニルスを筆頭に、ゲイル・ジョンソン(キーボード)、マリオン・メドウズ(サックス)、ポール・ブラウン(ギター)、ポール・ジャクソン・ジュニア(ギター)、ジェフ・ローバー(キーボード)、ジェフ・ライアン(サックス)ら、スムーズジャズ・ファンにとっては興奮が抑えられないメンバーです。

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2019年3月 3日 (日)

Al Turner 「This Is」(2018)

ベース奏者アル・ターナーは、アール・クルーのバンド・メンバー。クルーの、「Sudden Burst of Energy」(1996)以降のアルバムでは、常連のベース奏者。「The Journey」(1997)、「Peculiar Situation」(1999)でのほとんどの曲のベースは、この人。

90年代初めから、セッション・プレイヤーとして活躍。ボブ・ジェイムス、ティム・ボウマン、ジーン・ダンラップ、リン・ラウントゥリー、トム・ブラクストン、といったスムーズ・ジャズ系のアーティストとの共演や、アレサ・フランクリン、ウィル・ダウニング、といった大物シンガーの作品にも参加。ターナー自身のソロ・アルバムも、「It's Good To Have Friends」(2005)、「Movin'」(2009)、「Sunny Days」(2011)、「Simply Amazing」(2015)と、コンスタントにリリースしている。そして、この新作が、5作目のソロ・アルバム。

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2019年1月27日 (日)

Jacob Webb 「I'm Coming Home」(2018)

キーボード/ベース奏者ジェイコブ・ウェッブは、サックス奏者トッド・シフリンと、コンテンポラリー・ジャズ・ユニット、ザ・JT・プロジェクトを組んでいる。結成して10年になるユニットだが、特に近年作品の「Moments of Change」(2016)と「Another Chance」(2017)は、実力派の登場を強く印象付けた秀作だった。

この作品はウェッブにとって初めてのソロ作品。JTプロジェクトでは主にキーボードを担当しているが、このソロ作品ではベース演奏を中心に、JTプロジェクトとは異なるアプローチを志向した作品。ウェッブ自身が立ち上げた、「ネクスト・パラダイム(Next Paradigm)」という新レーベルからのリリースで、今後は新しいアーティストも発掘したいという。このソロ作品では、サックス奏者スタンタウン・ケンドリックや、トランペット奏者ランダル・ヘイウッドといった、交流関係のあるミュージシャンが参加している。ランダル・ヘイウッドは、女性シンガーのエイプリル・メイ・ウェッブと「Sounds of A&R」(S.O.A.R.)というジャズ・ユニットを組んでいる人。エイプリル・メイ・ウェッブは、ジェイコブの実姉であり、音楽的にも相互に共演し合う親密な関係だ。

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2018年9月12日 (水)

Darryl Williams 「Here To Stay」(2017)

ベース奏者ダリル・ウィリアムズは、名だたるスムーズ・ジャズ・アーティストから引っ張りだこのセッション・ミュージシャンだ。共演や客演したアーティストは、ジェラルド・アルブライト、ユージ・グルーヴ、マイケル・リントン、リック・ブラウン、ポール・ブラウン、ジェフ・ローバーなどなど、枚挙にいとまがない。最近では、ニルスの新作「Play」の大半の曲でも、ベース奏者としてクレジットされていた。

サンディエゴ出身のウィリアムズは、10代からベース演奏を始めて、ジャズやR&Bのバンドやサポートで演奏経験を積んできた人。2007年には、ソロのデビュー・アルバム「That Was Then」をリリース。この「Here To Say」が、10年ぶり2枚目のソロ・アルバム。

共同プロデュースは、ユージ・グルーヴ。ゲストのアーティストは、ユージ・グルーヴはもちろん、ポール・ブラウン、ジェフ・ローバー、マイケル・リントン、ジョナサン・フリッツェン、ポール・ブラウン、という豪華なメンバー。今までのサポート・ミュージシャンとしての貢献を証明するような、客演のメンバーだ。10曲中2曲を除いて、ウィリアムズ自身のペンによる楽曲。メロウで、アーバン・ムードの楽曲の数々は、ウィリアムズの作曲の才能にも唸るばかりだ。

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2017年7月29日 (土)

Julian Vaughn 「Bona Fide」(2017)

スムーズジャズのベーシストと言えば、若くして亡くなったウェイマン・ティスデイルが忘れられない。元NBAプレイヤーで、2mの巨漢、左利きのベーシスト。ベースとはいえ、ギター顔負けにファンキーなメロディを弾きまくるその奏法とフレージングは今もエバーグリーン。

そのティスデイルを彷彿とする、ベース奏者ジュリアン・ヴァーンの、4作目となる新作。ジュリアンも身長が6.7フィートつまり2mあるという。ジュリアンも、ギターのようにベースを演奏する。彼の演奏ビデオなど見ると、使っているベースは、5弦ベースで、ピッコロ・ベースとも呼ばれる多弦ベース楽器。これも、ウェイマン・ティスデイルのスタイルと同じ。

ちなみに、ピッコロ・ベースはロン・カーターが発明したらしい。4弦、多弦、エレキ、ウッドに関わらず、ベースをギターのように奏でるスタイルの技巧派の巨匠はブライアン・ブロンバーグだろう。

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2017年6月18日 (日)

George Anderson 「Body and Soul」(2017)

ジョージ・アンダーソンは、シャカタクのベース奏者で、名盤「Night Birds」(1982)以来、今も現役のメンバー。ソロ作品も、「Positivity」(2011)、「Expressions」(2013)、「Cape Town To London(Live)」(2015)とリリースしていて、シャカタクとは別に自身のバンドによる活動も精力的に行なっている。そして、これが「新作」。

シャカタクの洗練されたムードとは異なり、ファンク・ソウルのグルーヴをパワフルに全開するミュージック。アース・ウィンド&ファイヤー、ジョージ・デューク、Pファンク、など、80年代のオールド・スクールなファンクを思い出す。疾走するホーン・セクションに、ソウルフルなコーラス、ガツンと来るビートに、チョッパーのベース・プレイ、沁みるスウィート・テイストのバラード、などなど、これでもかと繰り出される隙のないグルーヴにワクワクしてしまう。

M2「G_Funk」は、タイム・スリップしたかのディスコ・ビート全開のハイライト・トラック。M6「Miller Time」は、重厚なホーン・セクションと交差するアンダーソンのチョッパー・ベースが疾走する、ガツンと来る曲。スムーズ・ジャズ・ファンにはイチオシの必聴トラック。

M3「Joys of Life」は、都会的なメロディーのポップ・チューンで、これはシャカタク的。M11「All Or Nothing」も、シャカタクを思わせるコーラスだけれど、パワフルなサックスの交差がヘビー級。M7「Beautiful」は、3拍子のバラード曲で、スウィート・ソウルなところがグッときます。M15「Can’t Hide Love」は、EW&Fが「Gratitude」(1975)に入れた曲のカバーのライブ演奏。EW&Fのカバーでしめるあたりが、なんともにくいなあ。ブリティッシュ・ファンク・ジャズのファンには必聴の作品。

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2014年12月23日 (火)

Mitchell Coleman Jr. 「Soul Searching」(2014)

ベース奏者ミッチェル・コールマン・ジュニア、の今作がデビュー作品というから恐ろしい。これが才能の片鱗だとしたら、なんとも期待が膨らむな強力な新人の登場。彼のチョッパー・ベースが全曲に渡って縦横無人に躍動する、現代的なファンク・ジャズのアルバム。

冒頭のMCトラックは別にして、13曲が収めれられているが、いずれのファンクなビート・ヴァイブレーションが魅力。チョッパー・ベースだからといって、単に、ソウル・ビートのそれにあらず。M4「Come up」、M8「Secrets」は、ピアニストのデロン・ジョンソンが加わった、ジャズ寄りの演奏で、ジョンソンの知的なピアノ演奏と、バックでチョッパー奏法でファンク・リズムを刻むコールマンのベースが素晴らしい。デロン・ジョンソンは、マイルス・デイビスのバンドで演奏していた人で、さすがのジャズ・スピリットが光っている。

シェリル・リンの名曲で、レイ・パーカー・ジュニアがプロデュースした「Shake It Up Tonight」(1981)という曲があって、その作者は、元モータウンのアーティストのマイクとブレンダのサットン夫婦。その、マイケル・B・サットンという人が、3曲を共同プロデュースして、この作品に関わっている。(ちょっとしたトリビア。)その中の一曲、M2「Flow」は、懐かしくて新しいファンク・リズムが炸裂のハイライト・チューン。ジョンソン・ブラザースを彷彿とするチョッパー・ベースが爽快な演奏。ディープなファンク・ビートの曲群に埋もれて、これはなんとも嬉しい、M9「That’s the Way of the World」は、アース・ウィンド&ファイヤーの名曲カバー。オリジナルよりさらにメロウに仕上げた秀逸なヴァージョンで、この辺りにこの人の音楽嗜好が現れているようで、(カビラ風に)ムムっ!と叫びたいほど。

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2014年4月26日 (土)

Nathan East 「Nathan East」(2014)

ベース奏者ネイザン・イーストの初めてのソロ・アルバム。フォープレイの1990年結成以来のオリジナル・メンバーで、数々のアーティストの作品に参加してきた40年にもなるというキャリアでの活躍は、スムーズ・ジャズ・ファンならず広く音楽ファンの周知のプレイヤーなので、初めてのソロ・アルバムと聞いて、そうだったのかと意外。

満を持してのこの作品、彼の今までの人脈からビッグなアーティストの参加と、ベーシストに留まらない広範囲な音楽性が、花咲いている素晴らしい作品。ネイザンのベースももちろん聞き所だけれど、他のベース・プレイヤーのソロ作品と違って、ベース・プレイを主張している作品ではない。参加アーティストとのコラボレーションは、ネイザンとの意思疎通が伝わる暖かい演奏だし、カバーで取り上げた曲のセレクトや、アレンジや構成など、ネイザンのプロデュース力を発揮した個性あふれる作品。でも、ポピュラーな作品として、ジャンルを超えて多くのリスナーが気に入るに違いない秀作。

スムーズジャズ・ファンとしては小躍りしてしまう1曲目M1「101 Eastbound」は、フォープレイのデビュー作「Fourplay」(1991)に入っていた曲。個人的には、リー・リトナーがいた結成時のフォープレイのデビュー作と、2作目の「Between The Sheets」(1993)は、エバーグリーンな愛聴盤なので、この1曲目はうれしい。

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2013年11月10日 (日)

Roberto Vally 「Boom Boom Boom」(2013)

ロバート・バレーは、かつてスパイロ・ジャイラの「Stories Without Words」(1987)にも参加したベース奏者。マイケル・フランクス、ボビー・コードウェル、ジェシー・ジェイ、ポール・ブラウン、ピーター・ホワイト、ユージ・グルーブなど多くのアーティストのレコーディングやツアーに参加している。最近では、デイブ・コーズ「Summer Horns」のほとんどの曲でベースを弾いている。

20年を超えるキャリアを持つ売れっ子ベーシストだが、この作品がおそらく初めてのソロ・アルバム。詳細なクレジットは不明だが、グレッグ・アダムス(トランペット)、ポール・ブラウン(ギター)、スパイロ・ジャイラのトム・シューマン(キーボード)、エンリク・マルチネス(アコーディオン)などのアーティストが参加している。

全編、ゆったりとしたリズムに、アコーディオンや、スパニッシュ・ギターの音、ミュート・トランペットのプレイ、すべて哀愁的な雰囲気に満ちていて、ボヘミアン的とでも言うのか、どこか無国籍な音世界が広がる。スムーズジャズのチル・アウトはちょっと食傷気味だから、このアルバムのような音楽は新鮮だ。オルタナティブな音楽だけれど、人間的で、情景的なヒーリングに浸れる。

M1「Jazz Trance」は、ミュート・トランペットが哀愁的なメロディーを奏でるアルバムの象徴的なナンバー。M2「Gypsy Dream」は、アコーディオンとスパニッシュ・ギターが情景的な美しい曲。M6「Boom Boom Boom」は、パット・メセニーを思わせるエレキ・ギターと、フェンダーのコードバッキングが幻想的で、休まる気持ちになれる曲。

アップ・ビートの曲もいいけれど、たまには落ち着きたいならこのアルバムはオススメ。このジャケットのような、どこかの海岸を歩いている気分になれるかも。

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2012年12月15日 (土)

Joe Plass 「After Hours」(2012)

ベーシスト、ジョー・プラスのソロ・デビュー・アルバム。この人、デビューといってもキャリアは充分で、ケニーGのバンドにいて、ケニーのヒットアルバム「Duotones」(1986)や「Shilhouette」(1988)にもベーシストで参加していた。このデビュー作にも、ケニーの「Tribeca」のカバー演奏が入っている。ベーシストのアルバムだけれど、自身のベースプレイをゴリゴリ押し付けることが無くて聴きやすい。

このアルバムは、彼自身のセルフプロデュースで、ベーシストとしてはリズムセクションの役割をキープして、サウンドプロダクションに徹している。曲もほとんどが共作を含めて自作で、どれもポップなR&Bタイプのキャッチーな佳曲が並んでいる。

「Loco Mojo」ではファンキーな早弾きのベースプレイが印象的だし、ジェフ・ローバーとの共作「Cup-O-Jpe」はフュージョンビートをバックアップするチョッパーで、ベースプレイヤーとしての技量も聴かせてくれる。

サックスを吹いているのはアンディ・ウオールという人で、曲も3曲共作していて、クセの無いスムースなサックスプレイが注目に値する。アンディの近作シングルを紹介したが、近いうちにフルアルバムが出るようなので期待したいサックスプレイヤー。タイトル曲「After Hours」は、そのアンディ・ウオールのサックスが都会的でメランコリーなハイライト曲。しばらくヘビロテになる、通好みのアルバム。

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