カテゴリー「フルート」の記事

2016年10月 2日 (日)

Kim Scott 「Southern Heat」(2016)

Kimscottsouthernheatcdcover

フルート奏者キム・スコットの3作目となる新作は、マイケル・ジャクソンの「Billie Jean」のカバーで始まる。MJの楽曲は、スムーズジャズのアーティストが多く取り上げるけれど、このスコットのフルートが主役の演奏は、ガツンと来る素晴らしい秀作バージョン。M2「Fantastic Voyage」も、ファンク・バンド、レイクサイドのヒット曲(1980)のカバーで、ボーカリストとしてのスコットの歌声がキュート。M4「It’s Your Time」でも、ボーカリストとしても只者でないところを披露している。曲は、キャッチーなAORソングで、ヘビーローテーションしたい佳曲。M3「Sizzle」は、トランペット奏者リン・ラウントゥリーとの共作で、ラウントゥリーも客演している、スムーズジャズなインスト曲。縦横無尽に飛び回るフレージングが躍動的なフルートが感動的。M5「Foregiveness」はバラード曲で、フルートのフレーズが優しい、ヒーリング・チューン。M6「Two Become One」は、ディープなソウル・ムードのインスト曲で、ベースとフルートのフレージングの応酬が、かっこいい。こんな濃いいソウルをフルートで聴かせるところが真骨頂かな。M9「Goove with Me」は、ラップが絡む、ヒップホップ。こんなスタイルでもフルートはバッチリ決まっている。バラエティに富む曲や洗練されたアレンジ、フルートだけでなくボーカルもフレッシュで、なかなかのイチオシ作品。

2016年8月20日 (土)

Dave Muse 「FIREFALL Revisited」(2016)

Firefall

フルート奏者デイヴ(デイヴィッド)・ミューズは、かつて70年代後半に活動していた西海外のロックバンド「ファイアーフォール」のメンバー。ファイアーフォールのデビュー作「Firefall」(1975)のクレジットにはミューズの名前は無いものの、この時から実質的なメンバーの一員。セカンド作「Luna Sea」(1977)では、6人のメンバーの一人としてクレジットされている。ファイアーフォールのヒット曲には、「You Are the Woman」(1976)、「Just Remember I Love You」(1977)、「Strange Way」(1978)などが、ビルボードの10位あたりまでチャートインした。初期のアルバム作品は1980年まで5作品を残して一度解散。その後、再結成を経て、メンバーは変わったとはいえ今も、ミューズ自身もメンバーとして演奏活動しているらしい。70年代後半は、イーグルス、ドゥービーブラザース、など、ウェストコースト・ロックが人気を博した時代。同時代のファイアーフォールも、メジャーではないけれど、 初期作品は「隠れた名盤」。さて、そのデイヴ・ミューズが、自身のフルート演奏を主役にして、かつてのファイアーフォールの作品を再演したのが、この新作。10曲中9曲が、かつてのファイアーフォールの曲だから、ギターやコーラスを多用したサウンドがウエストコースト・ロック的、爽快で、どこかロマンティックなところが魅力。でもなんといっても、ミューズのフルート演奏がダイナミックで、そこがこの作品の聴きどころ。親しんだ楽曲の演奏ということもあるだろう、奔放なフレージングが随所に聴ける。ファイヤーフォールのオリジナルメンバーのリック・ロバーツ(ボーカル)や、ジョック・バートレー(ギター)、マーク・アンデス(ベース)も参加していて、M6「Goodby I Love You」は、その3人が一同に会した演奏で、ファイアーフォールのファンは必聴だろう。M1「Dreamers」は、かつてのファイアーフォールのナンバーで、ミューズが作曲した曲。アルバム「Clouds Across The Sun」(1981)収録曲。西海外ロック的なコーラスを配して、ダイナミックなフルートのフレージングが印象的なハイライト演奏。M8「Mexico」や、唯一のオリジナル曲でラテン・リズムのM10「Nestor」での、パワフルなフルートのフレージングは、ミューズのプレイヤーとしての力量を認識できる演奏。ファイアーフォールの懐かしさは別にして、フルートのインストルメンタル作品として、素晴らしい作品。40年前のファイヤーフォール、なんとなく記憶にかすかに残っているけれど、この機会にオリジナル曲を聴き返したくなる。

2016年3月21日 (月)

Jef Kearns 「The Flute」(2016)

Jefkearns

フルートという楽器は、ソフトなトーンが魅力だが、サックスのメジャーなポジションに比べると、残念ながら分が悪い。とは言え、ジャズの伝統的には、フルートの著名奏者は、意外と多い。ハービー・マンはもちろん、ヒューバート・ロウズ、ボビー・ハンフリー、デイブ・バレンタイン、ケント・ジョーダンなど、フュージョン時代にも活躍したアーティストは多いのだ。最近のスムーズジャズでは、キム・スコット、アルシア・ルネ、レーガン・ホワイトサイド、などいずれも女性フルート奏者が多い。男もいるぞ、というわけで、このトロントのフルート奏者ジェフ・カーンズ。ジェフの特徴は、ヒップホップを洗練させたソウル・ミュージックでフルートを演るところ。「ザ・フルート」と名付けられた、この新作は、既発表の作品の新ミックスを含む5曲入りのミニ・アルバム。新曲は「Hazy」の1曲で、インスト・バージョン(M1)と、歌入りバージョン(M5)が入っている。「Hazy」は、クールなフレージングが美しいフルートの音色と、重量感のあるリズムビートが印象的な、アーバン・ソウルな佳曲。ミディアム・テンポだけれど、この洗練されたムードが心地いい。キャッチーなフック・メロディーが印象的なM2「Harricane」、ジャズをヒップに解釈したM3「Soulfisticated」、バラードのM4「Lavender」と、いずれも既発表の作品の新ミックスなどの再録だが、クールなソウル・ムードは一貫性があって変わらない。秀逸な5曲だけれど、ちょっと満足できない。フル・アルバムの登場を期待したい。

2014年8月 1日 (金)

Ragan Whiteside 「Quantum Drive」(2014)

Ragan 女性フルート奏者、レーガン・ホワイトサイドの新作は、アーバンなR&Bの秀作であり、彼女のクールなフルートの演奏に感激する作品。ほとんどの曲(12曲中8曲)で、プロデュース、作曲とキーボード演奏で参加しているのがボブ・ボールドウィンで、サウンドはほとんどボールドウィン・カラーと言ってもいい作品。ボールドウィンは、今までも彼自身の作品でホワイトサイドを重用している。最近作「Betcha By Golly Wow」や、「Twenty」でも、彼女のフルートが聴ける。「Twenty」では、「Chameleon 3000」でおなじみのテーマ・メロディーを奏でていた彼女のフルートが印象的。ホワイトサイドの過去作品、「Class Axe」(2007)、「Evolve」(2012)も、ボールドウィンがプロデュースで関わった作品なので、「秘蔵っ子」という感じだろう。この新作も、ボールドウィンの路線を継承する作品だけれど、ホワイトサイドの硬派なフルート・フレーズが聴き所で、技巧派のジャズ・アーティストの作品だと感じられる。M3「Remind Me」は、パトリース・ラッシェンが曲も提供してキーボード演奏でも参加している、このトラックはベスト・ソング。アダルト・コンテンポラリーな曲想もキャッチーで、ホワイトサイドの時折聴かせるアタック感のあるアドリブと、ラッシェンのメローなエレピが素晴らしい。M10「Wing and a Prayer」は、同じ女性フルート奏者のアルシア・ルネとのフルートによるデュエットが聴ける、ソフトなファンキー・ナンバー。M9「Like the First Time」は、ボールドウィン作品のスウィート・ソウルなバラードで、曲想にぴったり合ったフルート演奏が沁みる。M12「Quantum Drive」もファンキーなビートに乗るフルートとスキャットの飛翔感が壮快なナンバーで、ここでも聴けるパワフルなフルート・プレイこそ彼女の特色だろう。残念なのは、M6「Work it Out」で、ホワイトサイド自身も歌っているラップ・ナンバー。この曲は、ボールドウィンが関わっていない、ホワイトサイド自身のプロデュース作品。これはこれでいいけれど、ちょっと唐突としていて、このアルバムに入れなくてもいいのに。この曲意外は統一感のあるコンテンポラリー・ジャズで、5スター級のアルバムなのになあ。

About This Blog

  • スムーズジャズは、最高のコンテンポラリーミュージック。ググっとくるアーティストのバイブレーションを、リアルタイムで聴きたい。独断で選んだスムース系の新譜を紹介します。Since 2011。UGASAI
2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        

2015 Top Recommend (click)

  • Bob Boldwin「MelloWonder」
  • Brian Simpson 「Out of a Dream」
  • Jonathan Fritzen 「Fritzenized」

2014 Top Recommend (click )

  • Greg Manning 「Dance With You」
  • Rick Braun 「Can You Feel It」
  • Michael Lington 「Soul Appeal」
  • Ed Barker 「Simple Truth」

2013 Top Recommend (click)

  • Jeff Golub 「Train Keeps a Rolling」
  • Oli Silk 「Razor Sharp Brit」
  • Patrick Yandall 「Soul Grind」
  • Boney James 「The Beat」

2012 Top Recommend (click)

  • Euge Groove 「House of Groove」
  • Paul Brown 「The Funky Joint」
  • Chris Standring 「Electric Wonderland」
  • Vincent Ingala 「Can't Stop Now」
  • Phil Denny 「Crossover」