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2011年8月の6件の記事

2011年8月21日 (日)

Andy Snitzer 「Traveler」(2011)

音源:iTunes Store
レーベル:Native Language

新しいCDに針を落とすとき、とはもう言わないか。プレイのボタンを押すときか。今や、CDでもなくて、ダウンロードしたデーターを開く時代。いずれにしても、新しいアルバムは出来るだけ先入観無しに聴きたいもの。

アンディ・スニッツアーの新作。ストレート・アヘッド・ジャズもこなすサックス奏者。その他の先入観無しに、このジャケットから想像してみる。写真の表情からして、内省的で、ストレート・ジャズ寄りなのかなと。

聴いてみると、次から次へとバラードの大特集。ほとんどの曲が、スローかミディアムスロー。音も、シンセと打ち込みリズムが、ストレートジャズでなく、メローな雰囲気を作っている。どの曲も、都会的なメロディと、コンテンポラリーなアレンジと演奏、これぞスムースジャズ。

アンディのサックス・プレイは、熱い「泣き」のバラード・ブローをするのかと期待していると、予想に反して、その一歩手前で引き下がって、流れるよう。「メロディを聴いてくれ」、といわんばかりで、このアルバムの意図が見えてくる。例えば、雑踏の中。それもエアポートやメトロの流れていく群集の中で、一人ストレンジャーで居るときに、ふと聞きたい「静けさ」のようなメロディー。

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2011年8月19日 (金)

Michael Franks 「Time Together」(2011)

音源:CD(Shanachie 5189) 輸入盤

マイケル・フランクスのこの新作を聴いているあいだ、「スリーピング・ジプシー」(77年)を聴いているような錯覚を感じていた。

聴いている曲はすべて新曲だし、なにしろ演奏が違うわけだが、不思議なことに頭をかすめるのは、あの「スリーピング・ジプシー」の名曲。そのメロディやフレーズのかけらが、現れては消える。これはデジャブなのか。

この新作の意図は、おそらくあの「スリーピング・ジプシー」のリプライズであり、それは単に再演奏を試みるということではなく、マイケル自身の精神的な原点回帰であろうし、サウンドのディレクションも、あの名演奏が残した、心地よいグルーブの再現。

その意図は、本当に成功しているし、あの名盤を超えるとか再現できたかという比較ではなくて、これはもう、パラレル・ワールドで生まれたような、時を超えたもうひとつの「スリーピング・ジプシー」なのだ。

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2011年8月16日 (火)

Fourplay 「Let's Touch The Sky」(2010)

フォープレイの12作目になる新作。ギタリストが、チャック・ローブに変わった。ボブ・ジェイムス、ネーザン・イースト、ハービー・メイソンの3人は不動のメンバー。

歴代のギタリストは、リー・リトナーが、デビュー作(1991年)から4作目のベスト(1997年)まで。ラリー・カールトンが、「4」(1998年)から11作目の「Energy」(2008年)までの7作品を担当した。

チャック・ローブ参加で、どう変わったのか。ストレート・ジャズ寄りのインタープレイが聴ける曲で、このバンドの「変化」が聴ける。

M−6「Gentle Giant(for Hank)」(2010年5月に他界したハンク・ジョーンズに捧げた曲だろう)、M−10「Golden Faders」の2曲は、フォービートではないけれど、チャック・ローブの正当派ギタープレイが、このバンドのシリアスな側面を引き出している。

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2011年8月15日 (月)

Shakatak 「Across The World」(2011)

シャカタクの「ナイト・バーズ」がヒットしたのは1982年、スムース・ジャズの原点の一曲かもしれない。

ジャズ・ファンクとか、フュージョン、もしくはクロスオーバーと呼ばれていた時代。とにかく「おしゃれ」な曲だった。疾走感あり、軽めのファンク・ビートで始まり、出てくるのがシングル・トーンの、アコースティック・ピアノ。エンディングに向かってのピアノのアドリブは、フェード・アウトが残念で、何度もリピートしたくなる曲だった。

正当派のジャズ・ファンに言わせれば、「邪道」な曲。これはジャズではないと思っても、あのかっこよさに脱帽だった。1970年代のフュージョンは、ウェザー・レポートや、クルセイダーズのファンキーなビートと、エレクトリックなインター・プレイが主流だった。80年代のフィージョンは、よりコンテンポラリーな領域に向かい、今のスムース・ジャズに熟成していった。

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2011年8月 9日 (火)

黒木千波留「過ぎ去りし日の...」(2010)

ピアノ・ソロは何を聴くか。

ジョージ・ウィンストンの「サマー」は昔から定番で、休日の朝に良く聴く。ジャケットの雰囲気そのままで、夏の晴れた日にぴったり。1991年の発売だから、もう20年前のCDだけれど、本当に色あせない音楽。

夜は、エディ・ヒギンズのソロ「スタンダード・バイ・リクエスト」。そんな経験も無いのに、ひとりバーでグラスを傾けているような妄想にトリップできる。エディ・ヒギンズが、2009年8月31日77歳で永眠する一年前、2008年8月に録音したスタンダード集。

そして、ブラッド・メルドーの「ライブ・イン・トーキョー」。ジャズ・ピアノの若き天才が、2003年に東京で行ったソロ公演のライブ盤。コンサートホールの静けさが、まるでキャンバスのようで、彼の右手と左手を使って色を降り注ぐような音の洪水。聴く度に、新鮮な音の出会いがある名盤。

さてそこで、このピアノが最近のヘビー・ローテーション。この数ヶ月、寝る前に聴き始めるが、何か懐かしい音色が続いて、数曲聴いただけで眠ってしまう。静かで心地よいピアノ。

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2011年8月 3日 (水)

Cindy Bradley 「Unscripted」(2011)

どこかの控え室なのか。マンハッタンの会員制高級ジャズバーか、はたまたクラブ系ジャズクラブなのか。シャンデリアの下で、スレンダーな足を組んで、ソファに沈み、クールにこちらを見つめる女性がこれから始まるセッションのパフォーマーなのか。ちょっと姉御っぽいこの女性、右手のトランペットを武器に、近藤等則ばりにバリバリ吹きまくるのか。

1曲目の始まりのプレリュード。足音が近づいてきて、クラブのドアを開ける。さあ、今夜のギグが始まる。

バリバリブローかと思いきや、聞こえてきたのは、打ち込み系のダンシングチューンだ!ファンキーなベースのリフの周りを飛び回るミディアムトーンのトランペット。かっこいい。4曲目と5曲目は、スタンダードのミディアムスローバラードを、沁みるミュートプレイで泣かされる。

8曲目の間奏で、ラジオのチューニングを合わせて、かすかに聞こえるのは、ホール&オーツの「I Can't Go For That」ではないか。その予感を受けて、9曲目と10曲目は、ジャジーなビートナンバーが続く。

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