Jamhunters 「Driftin'」(2011)
こういうアルバムに出会うとうれしくなってしまう。条件としては、①ビックネームのプレイヤーではないこと、②70年代のフュージョンやクロスオーバーのエッセンスが感じられること、おまけとして③ジャケットにもセンスが感じられること。①は、つまり、新人や初めて聴くプレイヤーで、ちまたに広がる前に優越感に浸りたい。②は、かつてのフュージョンやクロスオーバーの創世記を経て、そのエッセンスを引き継ぎながら、今のスムースジャズに昇華しているような音楽が、単に好みということ。③は、今の時代、配信音楽の場合は、試し聴きが出来るので、かつての「ジャケ買い」のような危険は冒さないが、それでもやっぱりジャケットにもアートのセンスが欲しい。このアルバムはまさにそういう条件に合った「当たり」だ。
ジャム・ハンターズは、デンマーク発のグループ。ギターのラース・ファビアンセンと、キーボードのピーター・ミカエルのデュオ・グループ。2006年のデビュー・アルバム「Jamhunters」、2008年に「Music Speaks Louder Than Words」を出して、この新作が三枚目。
全曲、この二人の共作だが、演奏の主体はラース・ファビアンセンのギター・プレイ。このギターがとってもいい。セミアコで、早弾きやエフェクトなど無しで、オクターブ奏法を混ぜながらのプレイなのだが、これがグルーヴィでメロディアス。ボーカルが加わっての曲もあるのだが、彼のギターサウンドのほうが、ボーカリストより「歌って」いるのだ。
グルーヴィーなM−1「Under The Palm Tree」で始まる。シャカタクをもっとファンキーにしたような曲で、スムース・ジャズ系のラジオ・ステーションなら、ヘビー・ローテーションは間違い無しのベスト・トラック。タイトル曲のM-3「Driftin'」は、オクターブ奏法とスキャットが絡む、どことなく牧歌的なスローメローな曲。始まりのビートがスティーリー・ダンを思わせるM−5「Cocktail」は、AOR系のアーバン・ポップスのよう。アコーディオンとギターのユニゾンが、メランコリックなM−7「Gypsy Jam」。M-10「Airbone」は、プログレっぽいところがヨーロッパを思わせる。M-11「Slow Woman」は、スローなギターアドリブが、メローで心地よい。全14曲、メロディも演奏もキャッチーで、スムースなグルーブがあふれている。
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