スムースなピアニスト:ブライアン・シンプソン
ブライアン・シンプソンは、スムースジャズを代表する最も「スムース」なピアニスト。キャリアは、ロサンジェルスのジャズクラブから始まり、ティーナ・マリー、シーナ・イーストン、ジャネット・ジャクソンなどのポップスアーティストのツアーに同行する。
そんな関係からか、1991年には、サーフェイスという3人組R&Bバンドの「The First Time」という曲を、メンバーの1人のバーナード・ジャクソンと共作して、そのシングル曲はビルボードで2週間トップヒットとなっている。
ブライアン・シンプソンのソロとしてのレコーディングアルバムは4作品。1995年にデビュー作「Closer Still」。2005年に「It's All Good」。このアルバムのタイトル曲がヒットして、スムースジャズ界の注目を集める。2007年には「Above The Clouds」。2010年の「South Beach」以降新作は出ていない。15年間で4作品なので、寡作のアーティスト。
そのスタイルは、シングルトーンを際立たせるアコースティックピアノ。サウンドは、スムースジャズの王道を行くような、完成されたオーケストレーションと、コンテンポラリーメロディー。けれど、ムード優先の超美メロディに頼らず、アドリブにはジャズのスピリットがあふれる。
本人のソロ作品は寡作だけれど、スムースジャズのビックネームアーティストのサポートは多数。デイブ・コーズ、スタンリー・クラーク、ジョージ・デューク等々。彼のプレイは、アクのない、それでいて美しく端正なメロディとフレーズを弾く希有なピアニスト。それが、サポートプレイヤーとしても人気なのだろう。
彼の作品は、イージーリスニングとしてドライビングやバックグラウンドに重宝されるタイプのミュージックだけれど、それでも最高のクオリティのプロダクションだ。音量を上げて聴いてみると、緻密なサウンドプロダクションが分かる。
どのアルバムも傑作だけれど、2007年の「Above The Clouds」がベストアルバム。フライトをテーマにした佳曲に捨て曲無し。他のアルバムにも増して、アタック感のあるアコースティックピアノの音色が本当に美しい。
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