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2012年6月の5件の記事

2012年6月26日 (火)

Mezzoforte 「Islands」(2012)

メゾフォルテといえば大ヒットした「Garden Party」。ほぼ30年も前の曲だけれど、フュージョンの名曲である。

そのメゾフォルテの35周年を迎えての新作である。結成時からのオリジナルメンバー4人がいまだに中核でやっているのも驚き。アイスランドのバンドだからということではないけれど、この新作の「クール」なビート感覚がたまらない。こういうフュージョンバンドが最近は少なくなったしまったので、このメゾフォルテを聴くとうれしくなってしまう。個人的に「好み」のバンドである。

今回の新作は、全曲通してドラムスとベースの忠実に刻まれるビートがなんとも心地いい。そのビートに酔うだけでもこのアルバムは大正解。おそらくダビングはほぼ無い、一発撮りのようなライブなアンサンブルも聴きもの。

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2012年6月18日 (月)

Gary Honor 「Heads & Tales」(2012)

最近お気に入りのヘビーローテションのアルバム。コンテンポラリーでポップだし、骨太なジャズのバイブレーションも感じる、本流のスムーズジャズアルバム。

ゲリー・オナーはオーストラリア出身のサックスマン。彼は過去にマイナーから何枚かソロアルバムを出しているようだが、これはメジャーのトリピン・リズム・レコードと契約しての第1作。13の楽曲がどれもキャッチーで粒揃い。サウンドのプロダクションも、ブラスを中心としたアレンジが厚めで疾走感がある。

ゲリーは、サックスとフルートを吹くが、フレーズはAORのボーカリストのようなトーンで透明感があって心地よい。曲とプロデュースの共作は、同じレーベルのキーボード奏者のオリ・シルク。シルクの幾つかのアルバムセッションに、ゲリーはサポートアーティストとして参加している。このゲリーのアルバムのポップス的なところとか、フュージョン的なアレンジは、シルクのカラーだろう。

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2012年6月17日 (日)

Chris Botti 「Impressions」(2012)

クリス・ボッティは、もちろん日本でも人気のアーティスト。でもその人気の度合いは米国の比ではない。端正なハンサムだから、俳優としても活躍しているようで、この2枚目ぶりが人気に拍車をかけている。ピープル誌で、「世界で最も美しい50人」に選ばれたこともあるそう。トランペッターとしても、出すアルバムはいつも大ヒットするし、ヨーヨーマやスティングといったジャンルを超えたアーティストとも共演している。

この最新作は、「印象派」のタイトル通り、ビートではなくムードのある楽曲のセレクション。オーケストレーションやコーラスをバックに、クリスのトランペットがムーディーに「歌いあげる」アムバムだ。「豪華ゲスト」が参加していて、アンドレア・ボチェッリ、ハービー・ハンコック、ヴィンス・ギル、マーク・ノップラーなど、いろいろなジャンルのオールスター。

マーク・ノップラーのギターとボーカルの「What A Wonderful World」や、ヴィンス・ギルが歌う「Losing You」などもそれはそれで良質なトラックだけれど、ゲストは無い8曲のほうにこのアルバムの魅力がある。

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2012年6月16日 (土)

スムーズなシングル盤 ④

デイヴィッド・サンボーンの最新シングルはライブ音源の「Cicago Song」(2012)。サンボーンのサックスがワイルドに炸裂する。

この曲は、「A Change of Heart」(1987)に入っていた彼の代表曲。サンボーン自身が、近年のライブ音源から選んだベストな内容だということで、バンドのアンサンブルも完璧に決まっているし、のりのりのサンボーン「節」がのっけから聴けるけど、この1曲じゃかえって「消化不良」。全米でツアーをやっているようで、このシングルもそのプロモーションだろう。次のアルバムは、そのツアーからのライブのフルアルバムを期待したい。サンボーンはもう60代半ばのはずなのに、サックスの「泣き」は円熟度を増して、かつエネルギッシュなプレイに脱帽。

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2012年6月 9日 (土)

Toots Thielemans 「90 Yrs.」(2012)

トゥーツ・シールマンス、1922年生まれの90歳である。90歳を祝して「90年」と題された最新のライブアルバム。バックサポートは、カレル・ボエリー(p)、ヘイン・ヴァン・ダヘイン(b)、 ハンス・ヴァン・オーシュタハウトゥ(ds)のトリオ。カレルのトリオの、リリカルで透明感のある演奏は聴きものなのだが、やっぱり主役はトゥーツで、「わき役」に徹したようなトリオの演奏が奥ゆかしくて、お互いのインタープレイがほほえましい。

トゥーツのハーモニカは、いつも通り、こころに沁みるというのか、時に童謡のしらべのような音選びにうっとりしてしまう。クロマチックハーモニカ特有のレバーを使った半階音の「ひねり方」がこの人の演奏の魅力。このライブでも随所にそれが出てきて、その嫌みの無いクロマチックの使い方に、ググッとくるのだから、90歳の演奏なんてとても思えない。

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