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2012年7月の7件の記事

2012年7月23日 (月)

James Saxsmo Gates 「Detailed」(Single)(2012)

サックス奏者、ジェイムス・サックスモウ・ゲイツ名義の、ウオルター・ビーズリーとのデュオによるシングルである。サックスモウのニューアルバム「Gates Wide Open」(9月リリースと告知されている)に先駆けての先行シングル。

思いっきりファンキーに、2人のサックスプレイが交互にスウィングする。それぞれのソウルフルなアドリブがスカッとするぐらいかっこ良くて、もう初めからガツんとやられる曲だ。左のトラックが、おそらく、サックスモウで、右のトラックが、ビーズリーのサックス。

サックスモウは、ストレートジャズからスムースジャズまでこなすプレイヤーで、ノースカロライナの大学でジャズ研究の修士でもあるそう。方や、客演しているウオルター・ビーズリーは、スムースジャズサックスのメジャープレイヤーの1人であり、ボストンのバークレー音楽院の教授も務めている。

というわけで、アカデミックな2人が、バトルするサックスプレイが聴きもの。2人の掛け合いは、サックス愛聴者にはたまらないバイブレーションで、フェイドアウトしていくのが何ともくやしい。サックスモウのニューアルバムが待ち遠しい。

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2012年7月22日 (日)

Gabriel Mark Hasselbach「Kissed By the Sun」(2012)

ガブリエル・マーク・ハッセルバッハは、コンテンポラリージャズのトランぺッターで、1981年ソロデビューというから30年近いキャリアの持ち主だ。

カナダのスムースジャズ大賞とでもいう、「カナディアン・スムース・ジャズ・アワーズ」の2011年度で、トランペット奏者としての優秀賞「インストルメントタリスト・オブ・ザ・イヤー」と、前作の「Told Ya So」が年間優秀アルバム賞の「アルバム・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。(下記がその時のステージビデオ。ポール・ブラウンと共演している。)

というわけで、彼はカナダのスムースジャズ界ではかなり期待の人なのだ。そしてこのアルバムが期待の新作。非常にソリッドというか、骨太のフュージョンジャズのビート感があふれるアルバムだ。客演のアーティストが、まずジェフ・ローバーだから、あの疾走感溢れるエレピにからむトランペットの音がイメージできる。

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2012年7月15日 (日)

Richie Cannata 「New York State of Mind」(Single)(2012)

リッチー・カナータは、ビリー・ジョエルのバックバンドのサックス奏者だった人。ビリーのヒットアルバム、「Turnstiles(ニューヨーク物語)」(1976)、「The Stranger」(1977)、「52nd Street」(1978)に、サックス奏者としてクレジットされている。「The Stranger」の裏ジャケにもビリーと一緒に映っている。

「Turnstiles」に入っている「New York State of Mind」は、もちろんビリーの代表曲で、いまやスタンダードになっている名曲。オリジナルは、切ない音色を奏でるサックスが印象的なトラックだった。そのサックスを吹いていたのがリッチーで、このソロバージョンは、オリジナルのアレンジにほぼ近いムードで、自身のサックスをフューチャーしたパフォーマンスだ。ビリーの歌より、あの時のサックスの音色にハートをわしづかみにされて、もっと聴きたいと思っていたファンとしては、このリッチーのバージョンで、やっと欲求不満が解消された感じ。切ないサックスの音色は、オリジナルそのままで、涙ものだ。

リッチーは、昨年ソロアルバム「Richie Cannata」を出しているこれど、このシングルトラックは入っておらず、今回ボーナストラックの体裁で追加されたようだ。ビリー・ジョエルは、この曲だけでなく、サックスを効果的に使った曲が多い。「Just the Way You Are(素顔のままで)」も名曲だけれど、この曲のオリジナルトラックのサックスはフィル・ウッズの客演。リッチーもライブではやっていたはずだから、今度は「素顔のままで」のリッチー版を出してほしいなあ。

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2012年7月 9日 (月)

Vincent Ingala 「Can't Stop Now」(2012)

ヴィンセント・インガラは、去年ハイスクールを卒業した若干19才というから驚きだ。2010年にデビューアルバム「North End Soul」に続く新作である。

なんとも素晴らしい才能にガツンとやられた。全9曲が完成度の高いスムースジャズだ。全曲が4分前後で、簡潔さとスイング感を備えたスウィートメロディのオンパレードで、まるでベストヒットを並べたポップチューンのアルバムのよう。9曲中7曲は彼の作曲だという。作曲の才能も恐るべしだ。

タイトル曲「Can't Stop Now」は、スムースジャズの王道を行くようなビート感あふれる佳曲。ヴィンセントが吹くキャッチーなテーマメロディーは何度リピートしても飽きない。ジョナサン・フリッツエンの弾くピアノとユンゾンするM-5「Kimi Trick」はロマンティックなミディアムバラード。後半の両者のインタープレイがかっこいい。

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2012年7月 8日 (日)

Curtis Creek Band 「Curtis Creek Band」(2012)

カーティスクリークバンドの30年ぶりの新作。なんとも懐かしいバンド名だ。70年代後半の日本のフュージョンバンドとして、何枚かのアルバムを出していた。過去作品は全て廃盤だそうで、ネット上で高値になっているらしい。ぼくも、当時はレコードを持っていて愛聴盤であった。

当時は、日本のフュージョンも活気があって、カシオペア、スクエア、などなど。そんな中で、もっとソフトなネイチャー系というのか、シーサイドミュージックというのか、高中正義の「セイシェル」(1976年)前後あたり、そういったインストの名盤が多かった。浅井晋平さんの波の音だけのレコード「サーフ・ブレイク」(1977年)や、細野晴臣、鈴木茂、山下達郎が参加したインスト企画アルバム「Pacific」(1978年)なんかも、懐かしい。ボサノバ系のカリオカといういいバンドもあったなあ。

カーティスクリークバンドは、メンバーの八木のぶおのハーモニカが印象的で、ハーモニカ自体がフュージョンやポップスで脚光を浴びていたころだと思う。忘れられないのは、リー・オスカーのソロアルバム「約束の地」(1976年)。資生堂のCMに採用されたこともあり、当時は異例にヒットしたハーモニカのヒットアルバムだった。そういった背景もあったかもしれない。日本のポップスにもハーモニカがフューチャーされていた。日本を代表するハーピスト八木のぶおが聴きたくて、カーティスのアルバムを聴いていたように思う。そういったことを思い出しながら、このカーティスの新作を聴いた。ほのぼのとするいいアルバム。

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2012年7月 7日 (土)

Shilts 「All Grown Up」(2012)

シルツことポール・ワイマールは英国のサックス奏者で、ファンクジャズバンドDown To The Bone(DTTB)のオリジナルメンバーとして初期の6アルバムでフロントマンだった。DTTBは、いわゆるアシッド系のファンクジャズバンドで、90年代UKジャズを代表するバンドだ。

シルツは、2001年にソロアルバム「See What Happens」を出した後は、カリフォルニアに転居して、2008年には、DTTBも正式に脱退してソロに専念している。ソロ作品としては、この新作は5枚目。題名の「All Gown Up」の意味するところは、このアルバム内容が表している。

全曲リズム&ブルースのバイブレーションが生き生きとしたパフォーマンスで、「オレの原点はリズム&ブルースだ!これで育ったのさ!」と伝わってくる。ゴリゴリするようなソリッドでハードなリズム隊をバックに、全曲で吹きまくるシルツのサックスインプロビゼーションが、とにかくブルージー。

オルガンやファズ系ギターのアンサンブルやアドリブプレイもそれぞれ光っているけれど、なんたってシルツのテナーサックスプレイが、アルバム11曲を連続して疾走して続く滞空時間がたまらない。11曲聴き通しても、もう終わりなの、もっと聴いていたいと思う、最高のサックスアルバムだ。

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2012年7月 1日 (日)

Brian Culbertson 「Dreams」(2012)

ブライアン・カルバートソンの13枚目のソロアルバムは、全10曲がアンビエントでチルアウトな、彼のアコースティックピアノを堪能できるロマンティックなアルバムである。

ブライアンは、R&Bやファンク、ソウルやヒップホップをブレンドしたような先進的なスムースジャズの騎手だ。そういった流れからすると今回の新作は、異色で、スピンアウトのようなテーマのアルバムである。

3曲のボーカル曲も、スウィートソウルなトーチソングで、起用したボーカリストの力量もあって、とろけるよなムードがたまらない。チルアウトなムードが貫かれているといっても、M−3「Your Smile」で伝わってくるメローなR&Bのビート感あふれるアコースティックピアノのプレイには、じっとしていられない感動すらわき上がってくる。

タイトル曲M-7「Dreams」はテーマを奏でるピアノが、遠くから懐かしさがこみ上げてくるようなドラマチックな佳曲だ。M-5「In the City」は、このアルバムジャケットのバックグランドミュージックのような、アーバンな背景に重ね合わせるのにピッタリなコンテンポラリーミュージック。これからの暑い夏の夜でも、クールダウンさせてくれる。

季節問わず、ずっと大事にしたい、誰にも教えたくないアルバムだなあ。

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