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2013年10月の6件の記事

2013年10月28日 (月)

スムーズなシングル盤 ⑮

注目のギタリスト3人の最新シングル3枚。

ブレーク・アーロンの前作のシングル「You’re My Miracle」は、ポップなボーカル曲だったけれど、この新曲「Groove-O-Matic」は、横ノリ、ご機嫌16ビートのギターインスト。のっけから、ハンド・クラッピングとブラスセクションに合わせて、ブレーク・アーロンのベンソン風ファンキーフレーズが炸裂するクールなナンバー。ブレーク・アーロンの新作アルバムは、題名「Soul Stories」と発表しているのに、いっこうにリリースくれない。待ち遠しい。

さて、ベンソン風といえばこの人、ユー・ナムの新作「C’est Le Funk」。サックス奏者シャノン・ケネディのプロジェクト「Nino Deux」と組んだ新曲。この曲に先立って、Nivo Deux名義で「Love’s No Distance」というシングルでも、ユー・ナムはコラボしている。実態は良く分からないけれど、どちらの曲も、シャノン・ケネディ(sax)と、ユー・ナム(g)の、同じコラボレーション・プロジェクトのようだ。さて、「C’est Le Funk」は、80年代のディスコ・チューンを思わせるファンキーな曲。エレクトロっぽいシンセと、ファンキーなギター・リフに、熱いサックス・ブロウの組み合わせの、ノリノリなナンバー。

リーザ・カーンの新曲「Dreamwalker」は、前作「Simple Plan」でも特色だった、どこか民族音楽風なエセニックのムードを漂わせて、それでいて前作以上に、コンテンポラリーで洗練されたクールな曲になった。自己バンドの「ペインテッド・ダイアリーズ」との演奏。このバンドは、なんと、フィリップ・セス(kd)に、アンディ・スニッツアー(sax)がいる、すごいメンバーなのだ。

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2013年10月26日 (土)

George Duke 「Dreamweaver」(2013)

残念なことに、この新作をリリースしたわずか1ヶ月後に、ジョージ・デュークは帰らぬ人となってしまった。2013年8月5日のことで、67歳だった。70年代初頭から今に至るまで、フュージョンから、ディスコやファンク、ポップスの世界で、解説不要の偉大なプレイヤー、アレンジャー、プロデューサーであった。またひとり偉大な音楽家が旅立ってしまった。冥福を祈りたい。

この新作はリリース直後から気になっていたのだが、ジョージが他界したと聞いて、なんとなく聴くのをためらっていた。「遺作」であるから、イマイチならそれはそれでいたたまれなくなるだろうし、快作ならそれもそれで切なく、意味なく、聴く機会を先送りしていた。でも、もっと早く聴けばよかった。

3年ぶりのこの新作は、ジャンル問わず、ポピュラー音楽の形式を通して、彼の「メッセージ」を載せた、リスナーへの「贈り物」だ、それも、残念だけれど「最後の贈り物」になるなんて。先立つ、ちょうど1年前の2012年7月に、彼は最愛の妻コリーンさんを亡くして、音楽への情熱を失っていたという。ジョージ自身がライナーに寄せているように、この作品はその愛妻コリーンさんとの思い出に捧げたもの。失意を克服して、音楽に新たな情熱を込めた想いが伝わる作品になった。

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2013年10月22日 (火)

Spyro Gyra 「The Rhinebeck Sessions」(2013)

スパイロ・ジャイラの新作は、ニューヨーク郊外の街、ラインベックにあるスタジオでレコーディングされた。メンバーは、ジェイ・ベッケンスタイン(sax)、トム・シューマン(key)、スコット・アムブッシュ(b)、フリオ・フェルナンデス(g)、リー・ピアソン(dr)、の5人。ジェイとトムは、1978年のアルバム・デビュー当時からのオリジナル・メンバー(35年!)。フリオとスコットは、「Three Wishes」(1992)あたりから、定着しているようなので、その4人としては、20年近く不動のメンバーだ。

ドラムスは、前作までのボニー・Bから、新しくリー・ピアソンに変わっている。この人のドラムスがすごいのだ。タイトで、完璧なリズムキープと、色彩豊かというか、縦横無尽に音が炸裂するドラムスだ。ピアソンの加入が、スパイロ・ジャイラに新しい息を吹き込んで生き返らせたと言ってもいい。

今回の作品は、即効演奏を主体としたセッション・レコーディングということもあるが、ライブに近い臨場感に溢れた、ビビッドなバイブレーションが爆発する、このバンドの近年のベストと言ってもいいすばらしい演奏だ。80年代初頭の、デビューの頃のビートが感じられて、加えて上級のテクニックが加わった、久しぶりに硬派のフュージョンに、ガツンとくる。改めて、スパイロ・ジャイロに惚れ直してしまった。

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2013年10月20日 (日)

Jimmy Webb 「Still Within the Sound of My Voice」(2013)

ジミー・ウェッブは、言わずと知れた、アメリカのポピュラー音楽を代表するシンガー・ソング・ライター。職業作曲家として、数々のヒット曲を量産している。代表曲は数多く、「恋はフェニックス」(グレン・キャンベル)、「マッカーサー・パーク」(リチャード・ハリス)、「ビートでジャンプ(Up,Up and Away)」(フィフス・ディメンション)、等々、名曲は枚挙に遑がない。1965年ごろを始まりに、公式に発表されている曲は、おそらく500曲は下らないだろう。ジミー自身のソロ作品も数多く、オリジナル・アルバムだけで12作になる。ジミーは67才になるはずだが、最近はツアーなど活発で、合わせて近年はソロ・アルバムも以前に比べると多作になっている。

この新作は、交流の深いアーティストをゲストに迎えて、数々の過去名曲を再録した作品集。この企画は、前作「Just Across the River」(2010)と連作になっていて、2枚合わせて全27曲(新曲を含む)の名曲が収められている。ジミーの曲は、失恋や、苦悩や、旅など、普遍的な人生の一遍を切り取って、シンプルでハートフルな言葉とメロディーが魅力。ささやくような導入部から、劇的なサビへ流れていく、構成は典型的な曲が多いけれど、どの曲も、映画的な情景を思い起こす、心に沁み入るのが大きな魅力。この新作も前作も、そういった珠玉の名作が選ばれて、歌のうまさでは巧者たるシンガーが一緒に唄って、耳慣れた過去作品が輝きを増している。

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2013年10月12日 (土)

Lin Rountree 「Serendipitous」(2013)

トランペット奏者リン・ラウントリーの4作目となる新作は、メジャーレーベルのカットモア・レコード(トリピン・アンド・リズム・レコードの傘下レーベル)からのリリース。プロデュースはネイト・ハラシム。ゲストプレイヤーは、ネイトに加えて、同じレーベルのアーティストであるダーレン・ラーン(sax)、ランディ・スコット(sax)ら、レーベルのスタープレイヤーが客演している。ニコラス・コールも作曲の共作で参加している。

先行シングルで出ていたM1「We Chill」は、タイトルそのままのチル・アウトなムードの佳曲で、他にも同様のムードの曲が多く、メランコリックに響くリンのトランペットの音色にぐぐっとくる。ミュートプレイこそ、トランペットでしょう、と個人的な思い入れに答えてくれるのがM8「Let It Groove」で、ミュートでスローファンクを演っているのが光っている。

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2013年10月 6日 (日)

Steve Cole「Pulse」(2013)

スティーブ・コールは、シカゴ出身のサックス奏者。1998年にデビュー以来、6枚のソロアルバムを出しているキャリアの長いプレイヤー。ボニー・ジェイムスとデイヴ・コーズは、今やスムーズジャズ界のスターと言っていいほどのサックス奏者だが、このスティーブ・コールも引けを取らない実力者だ。スティーブは主にテナーを吹く人で、時にゴリゴリした骨太な音色が魅力。先の2人のポップなサウンドに比べて、スティーブは本格派という感じで、デイヴィッド・サンボーンを思わせるようなところもある。

この新作は、デイヴィッド・マンをプロデューサーに迎えて、ソウルフルなグルーブに、スティーブのテナーがファンキーで、なかなか熱いブローも聴かせてくれる作品だ。詳細は分からないのだが、このアルバムの全10曲は、スティーブとデビッドの共作が中心のようで、デイヴィッド・マンもサックスで参加して、スティーブ・コールとの2管でファンキーなグルーブを作っている。

ジャケットデザインからして、ストレートなフュージョン・ジャズを思わせるのだが、M1「Pulse」はまさにそんな感じの演奏。ファンキーなビートに、突き抜けるようなスティーブのサックスが壮快なハイライト曲。M10「Believe」は、一番ファンキーな曲。ブラス・セクションをバックに、スティーブの一番熱いブローが聴ける。

スティーブ・コールは、ジェフ・カシワ、キム・ウオーターズの3人サックス奏者で、The Sax Pack というトリオを組んで、2枚の作品を出している。2009年から作品を出していないので、今度はぜひ復活の作品が聴きたい。(The Sax Packは、2012年のツアーから、キム・ウオーターズに替わって、マーカス・アンダーソンが参加している。ホーム・ページでも、すでに、キム・ウオーターズの名前が消えて、マーカス・アンダーソンに替わっているので、次の新作は近いかも知れない。)

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