Phil Denny 「The Messenger」(2013)
フィル・デニーの新作はクリスマス・アルバムだ。前作「Crossover」は、ネイト・ハラシムのプロデュースの上手さと相まって、なかなかいい作品だった。この新作も、ネイトとフィルの共同作品。クリスマス・アルバムといえば、いまの季節の定番で、ジャズやポップス・カテゴリーで旧作の再発を含めて、新作もたくさん出てくるし、正直あまり食指が動かない。アーティストのほうも、一度は出しておくのがクリスマス・アルバムというような感じもあるのか、心に残る作品はそう見つからない。
このフィル・デニーのクリスマス・アルバムは、なかなかクールな味わいのある好盤だ。全10曲のうち、M3「White Christmas」、M6「This Christmas」、M7「Have Yourself a Merry Little Christmas」、M8「Little Drummer Boy」、M9「Deck the Halls」、などいわゆるクリスマス・クラシックが網羅されていて、ソウルフルな味わいのあるアレンジと、デニーのサックスのクールなところが都会的なムードに満ちている。ネイトがプロデュースをしたトランペット奏者リン・ラウントリーも客演している。
アルバム冒頭と最後の2曲は、フィルとネイトの共作によるオリジナル曲で、クリスマス・ムードにピッタリなポップチューンのM1「Radio Flyer」と、センチメンタルなバラードのM10「The Messenger」。この2曲は特に光っている。また来年聴きたくなるかな。
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