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2013年12月23日 (月)

Herb Alpert 「Steppin' Out」(2013)

ハーブ・アルパートのソロ新作は、夫人であるラニー・ホールとの共同プロデュース作品。もちろん、ラニーもボーカルで参加している。全16曲のボリュームで、12曲がカバー曲。取り上げているカバー曲は、ラテンやボサノバ、ポップスのスタンダードで、てらいの無い、インスト・ポップス。かつてのA&Mレコードのサウンドを思い出させてくれる、心温まるアルバム。

カバーの選曲は、次の12曲。

① M1.「Puttin’ on the Ritz」
邦題「踊るリッツの夜」は、フレッド・アステアが映画「ブルー・スカイ」(1946)のなかでステップ・ダンスで披露した、アーヴィング・バーリン作(1929)の名曲。スウィング・ジャズの軽快なメロディーを、ハーブのトランペットが奏でる。万華鏡のようなアレンジが素晴らしい。スウィングを、現代的ダンシング・チューンにしてしまう、80歳のハーブ・アルパートに、脱帽。このトラック、わずか3分で終わってしまうのが、贅沢でもあり、残念。

② M3.「Our Song」
アート・ペッパーの、アルバム「Winter Moon」(1980)の一曲目に入っている曲。「Winter Moon」は、アート・ペッパーがストリングスをバックに演奏した作品。アートへのオマージュのように、ハーブは同様にストリングスをバックに、美しいミュート・プレイを奏でる。

③ M5.「I Only Have Eyes For You」
アート・ガーファンクル他、多数のアーティストがカバーしている、ザ・フラミンゴスのポップス名曲。ミュート・トランペットとストリングスで、スローバラードに仕上げて、アニー・ホールの唄が魅惑的。

④ M6.「Good Morning Mr.Sunshine」 ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス名義のアルバム「The Brass Are Comin’」(1969)に入っている同名曲があり、その再演だろう。ラテン系で壮快なトラッペット。サウンドもA&Mっぽい。

⑤ M7.「Oblivion」
アルゼンチンのバンドネオン奏者、アストル・ピアソラ(1921-1992)の哀愁的旋律が印象的な曲。イタリア映画「ヘンリー4世」のために書かれたという映画音楽。ピアノをバックしたハーブのトランペット・バージョンは、タンゴ風でもあり、まさに映画音楽のようなドラマチックな仕上がり。

⑥ M8.「What’ll I Do ?」
これもアーヴィング・バーリンの作品。ハリー・ニルソンや、アート・ガーファンクルもカバーしていたっけ。

⑦ M10.「La Vie en Rose」
エディット・ピアフの代表曲「ばら色の人生」。

⑧ M11.「It’s All In The Game」
黒人歌手トミー・エドワーズ(1922-1969)の代表曲で、邦題「恋のゲーム」。ナット・キング・コール、クリフ・リチャード、エルトン・ジョンなどがカバーしている。

⑨ M12.「Europa」
サンタナの「哀愁のヨーロッパ」(1976)。

⑩ M13.「And The Angels Sing」
ジョニー・マーサー(作詞)と、ジギー・エルマン(作曲)のジャズ・スタンダード。ジギー・エルマンは、ベニー・グッドマン楽団のトランぺッターだった人で、この曲はグッドマン楽団のクロージングだったそうな。トラッドなスタイルで吹くハーブのトランペットは、ジギーへのオマージュかな。

⑪ M14.「Skylark」
ホーギー・カーマイケル(作曲)が1942年に作り、後にジョニー・マーサーが詩をつけた、今やスタンダードの名曲。

⑫ M16.「The Lonely Bull」
A&Mレコードは、ハーブ・アルパートとジェリー・モスが1962年に設立したレコード会社。その記念すべき第1作は、ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスの、この曲で、大ヒットを記録。ハーブ・アルパートの代名詞となった曲。

そして、カバー12曲以外は、ハーブ・アルパートと、ジェフ・ローバーが共作した4曲が入っている。2人はかつて、アルパートの作品「Second Wind」(1996)、「Passion Dance」(1997)で、共演。この新作の4曲は、いずれも、ポップで、クールなスムーズ・ジャズの秀作。

① M2「Jacky’s Place」は、ラニーのボーカルが入る、メロディーがスティーリー・ダンを思わせる曲。

② M4「Green Lemonade」は、ミディアム・テンポのフュージョン風な曲で、ラニーのスキャットが印象的。

③ M9「Cote d’Azur」は、ハーブのトランペットと、さりげないジェフのエレピがしびれる佳曲。

④ M15「Migration」は、ジェフのフュージョン・スタイルは押さえ気味で、トランペットとボーカルが際立ってクールで都会的な曲。

この作品、グラミーにノミネートされている。内容は、納得の上級作品。音の粒立ちのいいミックスも特筆もの。もしかすると、選ばれるかな。

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