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2013年12月の9件の記事

2013年12月29日 (日)

Bob Baldwin 「Twenty」(2013)

ボブ・ボールドウィンの2012年の作品「Betcha By Golly Wow」は、トム・ベル作品集で、ソウル・クラッシックへのボブの思い入れが感じられた秀作だった。そして、この新作は、タイトル通りソロ20作目という記念碑的大作で、約75分におよぶ全15トラックは、ジャズ、フュージョン、R&B、ファンク、ゴスペル、ソウル、はたまた、ラップからディスコDJまで、怒濤のように続いて、まさに彼自身が標榜する「ニュー・アーバン・ジャズ」のパノラマのよう。

フェンダーローズの鍵盤演奏は、伝統的なジャズのピアノに匹敵して、フュージョンの時代から続く今のコンテンポラリージャズのアイコン的な楽器だと思うのだが、テクニックに加えて、フェンダーらなではの、情緒や「ノリ」の良さ、を兼ね添えたベストプレイヤーは、ジェフ・ローバーと、この人、ボブ・ボールドウィンだと思う。特に、2人とも、近年の活動は精力的で、脂がのった演奏はさらにパワフルになり、ファンとしては嬉しい限り。

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2013年12月24日 (火)

2013年のベスト3+1

今年、2013年に聴いたアルバムから、独断と偏見で選んだ、ベストな3枚。

① ボニー・ジェイムス「The Beat」は、ポップス作品としても、文句無しの完成度の高い作品。曲といい、アレンジといい、今年、最高にコンテンポラリーなアルバム。リック・ブラウンのトランペットと、ボニーのサックスが、熱くチェイスする「Batucada」は、何度でもリピートしていたいベスト・トラック。

② パトリック・ヤンダルの「Soul Grind」は、音良し、曲良し、演奏良し、3拍子揃った完成度の高いアルバム。カバー数曲も演っているけれど、彼の自作曲が、どの曲もキャッチーで素晴らしい。どこか、80年代を思わせるファンキーなアレンジメントと、パトリックのギター・プレイは、シンプル・トーンを多用したスムーズな演奏。

③ オリ・シルクの「Razor Sharp Brit」は、近未来へ向かう進行形のコンテンポラリー・ジャズの秀作。単にスムーズなだけではない、オリのピアノの、知的で、アーバンなアドリブにはうっとりする。

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2013年12月23日 (月)

Herb Alpert 「Steppin' Out」(2013)

ハーブ・アルパートのソロ新作は、夫人であるラニー・ホールとの共同プロデュース作品。もちろん、ラニーもボーカルで参加している。全16曲のボリュームで、12曲がカバー曲。取り上げているカバー曲は、ラテンやボサノバ、ポップスのスタンダードで、てらいの無い、インスト・ポップス。かつてのA&Mレコードのサウンドを思い出させてくれる、心温まるアルバム。

カバーの選曲は、次の12曲。

① M1.「Puttin’ on the Ritz」
邦題「踊るリッツの夜」は、フレッド・アステアが映画「ブルー・スカイ」(1946)のなかでステップ・ダンスで披露した、アーヴィング・バーリン作(1929)の名曲。スウィング・ジャズの軽快なメロディーを、ハーブのトランペットが奏でる。万華鏡のようなアレンジが素晴らしい。スウィングを、現代的ダンシング・チューンにしてしまう、80歳のハーブ・アルパートに、脱帽。このトラック、わずか3分で終わってしまうのが、贅沢でもあり、残念。

② M3.「Our Song」
アート・ペッパーの、アルバム「Winter Moon」(1980)の一曲目に入っている曲。「Winter Moon」は、アート・ペッパーがストリングスをバックに演奏した作品。アートへのオマージュのように、ハーブは同様にストリングスをバックに、美しいミュート・プレイを奏でる。

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Reza Khan 「Dreamwalker」(2013)

ギタリスト、リーザ・カーンの新作は、前作「A Simple Plan」(2011)に増して、5スター級のコンテンポラリー・ジャズの秀作。

演奏は、「Painted Diaries」と名付けられたユニットによるもので、なんと、フィップ・セス(キーボード)、アンディ・スニッツアー(サックス)が名を連ねる。このユニットは、リーザー・カーンのデビュー・アルバム「Painted Diaries」(2008)のタイトルでもあり、リーザの演奏バンドとして、固定ユニットなのか、プロジェクトなのか、分からないが、スムーズ・ジャズ・ファンなら注目したいメンバー。

さて、この新作、前作のような雰囲気で始まる、シタールのイントロのM1「Night Watch」と、続くM2「Dreamwalker」、M3「Face It」、の3曲は、まさに前作の続編。どこかの民族的な旋律が、無国籍なムードを感じさせる、特に、タイトル曲「Dreamwalker」は秀作。その後の9曲は、前作には見られなかった、コンテンポラリーで多彩な楽曲が並ぶ。

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2013年12月22日 (日)

スムーズなシングル盤⑯

レベル10は、フロリダで活躍する、フュージョン・スタイルのコンテンポラリー・ジャズ・バンド。そのサウンドは、スパイロ・ジャイラや、イエロー・ジャケッツを、彷彿させる。メンバーは、Levy DeAndrade(key)、Rex Freligh(sax)、Yovannis Roque(b)、Ivan Diaz Avila(dr)、の4人。バンドの中心人物は、ブラジル出身のキーボード奏者Levy DeAndrade。過去に、「Together」(2009)、「Crossover」(2011)、の2枚のアルバムを出している。この新作「Imagine That」は、新アルバム「Vector」からの先行シングル。なかなかにキレのいいサウンドで、80年代のフュージョンが、洗練されて蘇ったようなかっこ良さ。このバンド、注目です。

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2013年12月14日 (土)

Igor Gerzina 「One Click World」(2013)

イゴール・ジェルジーナ(Igor Gerzina)は、東欧は、クロアチアのサックス奏者。15年ほどのキャリアを持ち、クロアチア放送楽団ジャズオーケストラの一員であるとともに、映画音楽、ポップスにいたる作編曲など幅広い音楽活動を行っているプレイヤー。いままで3つのソロ・アルバムを出していて、この新作が4枚目。

この人、初めて聴いたのだが、5スターレベルのなかなか素晴らしいサックス奏者だ。東欧も、ジャズやポップスの盛んなところだし、彼のような素晴らしいプレイヤーが沢山いるのだろう。イゴールのサックスは、どちらかというと、骨太のブロースタイルだけれど、ビートに乗っておおらかに吹く音色が壮快。ヨーロッパ発のスムーズジャズの特徴かもしれない、インストゥルメンタル・ポップス指向のビートやメロディーが、次から次に出てきてワクワクする作品だ。

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2013年12月 8日 (日)

Jamie Cullum 「Momentum」(2013)

ジェイミー・カラムは、ブルー・アイド・ソウルなその唄声が魅力だし、ピアノ・マンとして、ビーバップやスウィングも弾きこなすピアノ・プレイも大きな魅力。ポップな曲もやれば、ジャズのコンボからビック・バンドまでこなしてしまうクロスオーバーなアーティスト。小柄で少年のような風貌は、見る度に、マイケル・J・フォックスを思い出してしまう。

ずっと追いかけている訳ではないけれど、「Everlasting Love」(2004)や、「Mind Trick」(2005)の、ポップなヒット曲はヘビー・ローテーションだったし、映画「グラントリノ」の主題歌の、ピアノ弾き語りのソウルフルなバラードも感動的だった。「Twentysomething」(2004)のように、ジャズやR&Bを下敷きにした、アダルトオリエンテッドで、ボーカルに加えて、たっぷりジャージーなピアノも披露してくれるのがこの人の持ち味、というのが個人的な評価。

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2013年12月 7日 (土)

第56回グラミー賞ノミネート

第56回グラミー賞のノミネーションが発表された。今回も、スムーズ・ジャズ賞というジャンルは無いのだが、「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」というジャンルが、もう名実ともにスムーズ・ジャズの賞と言ってもいい。今回、ノミネートされた5作品も、全員スムーズ・ジャズ系のアーティストだし、リスナーの認識はこれは「スムーズ・ジャズ」だから、回りくどい言い方をやめて、「スムーズ・ジャズ賞」にして欲しい。というわけで、ノミネートされたのは下記の5作品。

(追記:受賞作★印)

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2013年12月 2日 (月)

Chuck Loeb 「Silhouette」(2013)

チャック・ローブの新作。M1からM5までの5曲は、「The Appreciation Band」と名付けられたユニットでの演奏。メンバーは、ミッチェル・フォアマン(キーボード)、ネーザン・イースト(ベース)、ピーター・アースキン(ドラムス)、デビッド・チャールズ(パーカッション)。チャック・ローブとミッチェル・フォアマンは、フュージョン・バンド「メトロ」結成以来の同士。ネーザン・イーストは、フォープレイでの同士、というわけで、気心知れたインタープレイが伝わってくるユニットだ。

タイトル曲M1「Silhouette」は、ウェス・モンゴメリーのCTIサウンドを思わせるハイライト曲。チャックのオクターブ奏法は流れるようなパッセージでセクシー。

M2「Silver Lining」は、ユニゾンを刻むリズムが壮快な曲で、まるで、初期のフォープレイがよみがえったようなビートが嬉しい。ファンキーなサックスは、売れっ子セッション・プレイヤーのデビッド・マン。

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