Will Donato 「Universal Groove」(2014)
スムーズジャズやコンテンポラリージャズ、その周辺の専門レーベルはいくつかあって、ソニー・ミュージックの傘下の「トリピン・アンド・リズム」は、メジャー・レーベルのひとつ。契約しているアーティストはビッグネームばかり。ポール・ハードキャッスル、シンディ・ブラッドリー、オリ・シルク、ダーレン・ラーン、などなど。最近のトップチャートは、その傘下アーティストの作品が占めるほど。そのうち、旬なアーティストはほとんど抱えてしまうのではないかという勢いで、やっぱり資本力なのか。
「シャナキー」(Shanachie)は、ジャズからポップスまでカバーしているレーベルで、比較的にR&Bからアーバン系ソウルのアーティストが多い。マリオン・メドウズ、ナジー、ピーセス・オブ・ア・ドリームなど、スムーズジャズでもR&B寄りのアーティストがいる。大手ではないが、「ウッドワード・アヴェニュー・レコード」は、ポール・ブラウン、エラン・トロットマンなどが作品をリリースしている、これも注目しておきたいレーベル。
「インナーヴィジョン・レコード」も、スムーズジャズ専門といっていいレーベル。これからの注目株がいる、元気なレーベル。パトリック・ヤンダル、グレイグ・シャーマット、ブレーク・アーロンなど、いずれもサウンドがキャッチーでポップなところがこのレーベルの特色。この人、ウィル・ドナートも、インナーヴィジョン・レコードのアーティストで、デビッド・サンボーンからデイヴ・コーズへの系統を、進化させる期待のサックス奏者。デイヴ・コーズをさらにパワフルにしたようなブローに、彼のパッションがハイテンションで伝わってくるし、ポップなメロディーと、疾走感溢れるビートが大きな魅力。
M1「Jaywalkin’」は、ヒット間違い無しのポップチューンで、大音量で聴きたい曲。M3「Grand Slam」は、シングルで先行していたトラックで、この曲を聴いた時は、そのポップなビートにガツンときたけれど、このホット・グルーヴがこの一曲に限らずアルバム全曲で聴けるのが嬉しい。
M6「Play That Funky Music」も、題名通り、彼のファンキーで熱いサックスが堪能できる曲。(2管のチェイスプレーが出てくるが、ゲストはだれだろう?)M8「Show and Tell」は、スウィート・ソウルなメロディーがジンとくる佳曲。全11曲、同じヴァイブレーションで繋がって、サックスのパンチがストレートに繰り出されるような作品。
早くも出てしまったかな、今年2014年のスムーズジャズ・ベスト候補の一作。
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