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2014年4月の7件の記事

2014年4月28日 (月)

Ken Navarro 「Ruby Lane」(2014)

ケン・ナバロは、1990年のデビューから通算20におよぶアルバムを出しているキャリアの長いギタリスト。自己のレーベル、ポジティブ・ミュージック・レコードを率いていて、自己の作品だけでなく、グレッグ・カルーカス、トム・ブラクストンなど他のアーティストの作品もリリースしている。そして、この新作が、自身ソロ21作目の作品。

ナバロのギターは、映像的な演奏で、時に、幻想的であったり、爽やかで、ヒーリング・ムードが漂う。アルペジオやストロークも多用するドラマチックな演奏は、パット・メセニー的と評されることも。そういえば、パット・メセニーのアコースティック・ソロ演奏アルバム「What’s It All About」(2011)がビートルズなどポップス名曲のカバー作品だったように、触発されたかどうかは想像だけれど、ナバロの前作「The Test Of Time」(2012)もアコギ・ソロ演奏の作品で、ビートルズ曲もありのカバー作品だった。

この新作は、セルフ・ダビングや、ストリングスと共演もあるが、前作の室内楽的なムードを引き継いで、さらに色彩豊かに進化させた作品と言える。始まりの曲、M1「Can I Make It Last」は、これは珍しい、ボズ・スキャッグズ作品のカバーで、オリジナルはボズの「Moments」(1971)に入っていたインスト曲。

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2014年4月27日 (日)

Michael Lington 「Soul Appeal」(2014)

マイケル・リントンの新作は、タイトルに偽りなし、リズム&ブルースでソウルなスピリットが炸裂して、ワクワクさせてくれる秀作だ。

前作「Pure」(2012)も、ファンキーなサウンドに、マイケルらしい強烈なブロウのサックスが魅力的な、硬派の作品だった。その作品でも、リズム&ブルースの下地を感じさせる演奏だったけれど、この新作は際立ったまさにR&Bな演奏。前作と異なって、1発録りのような演奏と録音は、ライブ的なノリが伝わってリアルな臨場感。マイケルは、デイブ・コーズや、ボニー・ジェイムスの路線のフォロワーと評されるけれど、この新作で、彼の個性はリズム&ブルースなんだという「アピール」の作品。

冒頭のM1「Soul Appeal」、M2「Taking Off」、M3「Uptown Groove」は、メンフィス・ソウル連続弾のような、怒濤の3曲。ノリノリのビートに乗ってパワフルに吹きまくるマイケルのサックスにガツンガツンだ。

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2014年4月26日 (土)

Nathan East 「Nathan East」(2014)

ベース奏者ネイザン・イーストの初めてのソロ・アルバム。フォープレイの1990年結成以来のオリジナル・メンバーで、数々のアーティストの作品に参加してきた40年にもなるというキャリアでの活躍は、スムーズ・ジャズ・ファンならず広く音楽ファンの周知のプレイヤーなので、初めてのソロ・アルバムと聞いて、そうだったのかと意外。

満を持してのこの作品、彼の今までの人脈からビッグなアーティストの参加と、ベーシストに留まらない広範囲な音楽性が、花咲いている素晴らしい作品。ネイザンのベースももちろん聞き所だけれど、他のベース・プレイヤーのソロ作品と違って、ベース・プレイを主張している作品ではない。参加アーティストとのコラボレーションは、ネイザンとの意思疎通が伝わる暖かい演奏だし、カバーで取り上げた曲のセレクトや、アレンジや構成など、ネイザンのプロデュース力を発揮した個性あふれる作品。でも、ポピュラーな作品として、ジャンルを超えて多くのリスナーが気に入るに違いない秀作。

スムーズジャズ・ファンとしては小躍りしてしまう1曲目M1「101 Eastbound」は、フォープレイのデビュー作「Fourplay」(1991)に入っていた曲。個人的には、リー・リトナーがいた結成時のフォープレイのデビュー作と、2作目の「Between The Sheets」(1993)は、エバーグリーンな愛聴盤なので、この1曲目はうれしい。

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2014年4月21日 (月)

「バート・バカラック自伝」 バート・バカラック著

バート・バカラックは、1928年生まれだから、おそらく85歳。いまだに、演奏公演も行っている巨匠であるが、過去60年にわたる作曲家人生と私生活を振り返ったのがこの自伝。

私生活では、女優アンジー・ディキンソンとの結婚離婚、その後は、作品のパートナーでもあったキャロル・ベイヤー・セイガーとの結婚離婚、ひいては幸福をつかんだ現在の家族とのこと。ディンキンソンとの娘で、自閉症だったニッキーへの愛情と悲痛(彼女は他界してしまう。バカラックには「ニッキー」という作品もあり、後に、ハル・デヴィッドが詩を付けている。)。赤裸々に告白される人生は、大作曲家ゆえの、常人では経験できないような波乱に溢れている。

自分自身で語る自伝に加えて、登場人物のコメントが差し挟まれるような構成は、映画的な臨場感があって素晴らしい伝記になっている。バカラックの人生についてはもちろんだけれど、音楽ファンとしては、数々の名曲や、音楽のパートナーとの逸話が興味深い。

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2014年4月20日 (日)

Marcus Anderson 「Style Meets Substance」(2014)

マーカス・アンダーソンは、プリンスのバンド、ニュー・パワー・ジェネレーション(NPG)のホーン・セクションに、2010年から参加しているサックス奏者。ソロ・アルバムも、デビュー作「My Turn」(2005)から通算4作品をリリースしていて、この新作が5作品目。

ジェフ・カシワスティーヴ・コールが、かつてキム・ウオーターズと組んだ「ザ・サックス・パック」(2008年〜2009年)の再結成にあたり、キム・ウオーターズが抜けて、このアンダーゾンがツアーに参加した(2012年)というニュースも伝わって来た。

この新作は、プリンスのバンドなど、そういった経験を踏まえた上での作品ということもあるだろう、サウンドやアレンジの厚みの豪華さと、アンダーソンのサックス・プレイは、テクニックもさることながら、色っぽいというのか、並々ならぬ力量を感じる。3秒ほどのイントロから始まる仕立てからしてそうなのだが、全13曲(イントロ以外)がそれぞれドラマチックな構成で、アルバム全体もなにかストーリーがあるようで、曲ごとにリスナーのハートをつかむような魅力に溢れている。

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2014年4月16日 (水)

Citrus Sun 「People of Tomorrow」(2014)

シトラス・サンは、インコグニートのブルーイがプロデュースしたプロジェクト・バンド。シトラス・サン名義では、2000年に「Another Time Another Space」をリリースしている。

今回の新作は、フューチャーされているギタリストがジム・マレンだというから、80年代のUKフュージョンに魅了されたファンとしては、何とも懐かしい。サックス奏者ディック・モリッシーとマレンが組んだバンドが、モリッシー=マレンだった。80年代初めのフュージョン・ブームの時代に、シャカタクやレベル42のUKバンドが人気を博して、同じUK発のモリッシー=マレンも人気があった。モリッシー=マレンの作品「It’s about time…」(1983)は特に記憶に残っていて、「ブレードランナーのテーマ」のカバーを演っていたりと、その頃はかなり聴き込んだ記憶があるが、もう手元にCD(レコードだったか?)も無いし、残念ながら廃盤のようで、日本のiTunesにも無い。You Tubeで何曲かは聴けるぐらい。

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2014年4月 6日 (日)

Paul Taylor 「Tenacity」(2014)

ポール・テイラーの10枚目の新作。メローな美音色のサックス奏者といえば、ケニーG、ナジーマリオン・メドウズ、など、聴き逃せないアーティストが多いが、この人、ポール・テイラーは個人的にベスト・プレイヤーのひとり。いや、最右翼かな。ソウルフルなサウンドや、ファンキーなプレイも、この人の持ち味だけれど、美しいサックスの音色は、知的で、ピュアなところが、一番の魅力。

この新作は、全10曲、比較的スローな曲が中心で、バラード作品集という趣のアルバムになっていて、メローなテイラーが堪能できる。特に、M1「Supernova」(ピアノはジョナサン・フリッツエン)、M5「Luxe」、M9「More to Come」、の3曲は、ソプラノ・サックスを吹いているトラックで、その音色とメロディーには癒されてしまう。方や、視界が広がるような心地よさを与えてくれるアルトの音色も魅力的だ。

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