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2014年4月26日 (土)

Nathan East 「Nathan East」(2014)

ベース奏者ネイザン・イーストの初めてのソロ・アルバム。フォープレイの1990年結成以来のオリジナル・メンバーで、数々のアーティストの作品に参加してきた40年にもなるというキャリアでの活躍は、スムーズ・ジャズ・ファンならず広く音楽ファンの周知のプレイヤーなので、初めてのソロ・アルバムと聞いて、そうだったのかと意外。

満を持してのこの作品、彼の今までの人脈からビッグなアーティストの参加と、ベーシストに留まらない広範囲な音楽性が、花咲いている素晴らしい作品。ネイザンのベースももちろん聞き所だけれど、他のベース・プレイヤーのソロ作品と違って、ベース・プレイを主張している作品ではない。参加アーティストとのコラボレーションは、ネイザンとの意思疎通が伝わる暖かい演奏だし、カバーで取り上げた曲のセレクトや、アレンジや構成など、ネイザンのプロデュース力を発揮した個性あふれる作品。でも、ポピュラーな作品として、ジャンルを超えて多くのリスナーが気に入るに違いない秀作。

スムーズジャズ・ファンとしては小躍りしてしまう1曲目M1「101 Eastbound」は、フォープレイのデビュー作「Fourplay」(1991)に入っていた曲。個人的には、リー・リトナーがいた結成時のフォープレイのデビュー作と、2作目の「Between The Sheets」(1993)は、エバーグリーンな愛聴盤なので、この1曲目はうれしい。

M2「Sir Duke」はスティーヴィー・ワンダーの名作、ネイザンがリード・プレイ取るベースが聴きもの。スティーヴィー作品はもう1曲、M10「Overjoyed」が入っていて、なんと彼自身のハーモニカ演奏がフューチャーされている、アルバムのハイライト。スティーヴィーはハーモニカ演奏のインスト・アルバムを出していて、変名のEivets Rednow(スティーヴィーの逆綴り)名義の「Alfie」(1968)というアルバム。いつか、またハーモニカだけのインスト・アルバムを作って欲しい、なんて叶わぬ夢かなあ。

ヴァン・モリソンのマイケル・マクドナルドが歌で参加しているのは、M4「Moondance」で、言わずと知れたヴァン・モリソンの名曲で、マイケル・マクドナルドのシブくてパワフルなボーカルが聴きもの。マイケル・マクドナルドの作品の、M5「I Can Let Go Now」が入っていて、彼のソロ・デヴュー作「If That’s What It Takes」(1983)の曲。でも、歌っているのはサラ・バレリスで、しっとりとした唄声がいいなあ、マイケル・マクドナルドとデュエットしたら最高なのに。

M8「Can’t Find My Way Home」(スティーヴ・ウィンウッド作)は、伝説のバンド、ブラインド・フェイスの「Blind Faith」(1969)に入っていた曲で、なんとブラインド・フェイスのひとりであった、エリック・クラプトンがギターとで、ネイザンのボーカルというコラボだから、これは驚愕の1曲。M7「Sevenate」は、チャック・ローブ、M9「Moodswing」はボブ・ジェイムス、それぞれフォープレイの盟友との共演。

日本盤のボーナスに入っているM12「Finally Home」は、小田和正の曲に、ネイザンが詩を付けて歌った曲。ネイザンの優しい唄声がしっとりして心地いい。昔、オフコースが、全曲英語で唄った「Back Streets of Tokyo」(1985)というアルバムがあったけれど、小田さんの楽曲に英語詩はなかなかハマって、コンテンポラリーな作品だった。日本語詩の世界観はちょっと感傷的だからね。

バラエティに富んだどの曲も聞き逃せないアルバムだけど、ここはやっぱり、ネイザンのベースとスキャットがフューチャーされた、スムーズ・ジャズかファンクなタイプのインスト曲にググッときてしまう。その点では、M1「101 Eastbound」、M2「Sir Duke」、M6「Daft Funk」(共作のマイケル・トンプソンのギターも必聴)、が個人的ベスト・オブ・ベストかな。

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