Tristan 「Full Power」(2014)
トリスタンは、オランダのバンド。ボーカルに5名のリズム・セクションを配した6人編成。ソリッドなバンド・アンサンブルの音は、ちょっと懐かしいフュージョンやファンク・ジャズ。爽快感と疾走感に満ちていて、久々にガツンとやられる。このバンドを聴いたスティーブ・ルカサーは、「良き70年代を2013年に蘇らせる(バンド)」と評したそう。インコグニートや、ザ・ブランド・ニュー・ヘヴィーズ、ダウン・トゥ・ザ・ボーン、といった、アシッドやファンク・ジャズ系の老舗バンドを追随する、新世代バンドの登場だ。
今年のグラミー賞のベストR&Bパフォーマンスに選ばれたアメリカのバンド、スナーキー・パピーも、もっと骨太で複雑系だけれど、ホーン・セクションを配したスタイルで、R&Bやフュージョンを新しく解釈しているところは、このトリスタンと共通点がある。リバイバルのようで、この生き生きとした音こそ新しい潮流かな。
このトリスタンは、ボーカリストのエヴェリン・カランシーの歌のうまさに加えて、キーボードのコーエン・モレナールという人が、サウンドの中心人物のようで、タイトなリズム・セクションや、それぞれの楽曲の後半で聴けるプレイヤーの技巧的アドリブ演奏も必聴。楽曲もポップなところも聴きやすい。
M1「Keep On」は、AORっぽいメロディーが懐かしい、ローテーションしたくなるベスト・ソング。M4「Step Into Bright Light」は、アース・ウィンド&ファイヤーを彷彿とするホーン・セクションが鳥肌もの。M2「Moontune」は、フュージョンなリズム・アンサンブルが聴きもので、後半のエレピのアドリブにはしびれます。なかなかの掘り出し物のアルバムですぞ。
| 固定リンク | 0