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2014年11月の9件の記事

2014年11月30日 (日)

Danny Kusz 「Sexy.Funk :: Velvet.Jazz」(2014)

スムーズ・ジャズ・ファンで、サックスが好みのリスナーなら、ぜひ聞き逃して欲しくない秀作。ミネアポリス出身のサックス奏者ダニー・キューズの新作。キューズは過去にデビュー作ミニアルバム「Lost In the Groove」(2006)を出しているが、この新作が初めてのフルアルバム。デイヴィッド・サンボーンを目指してサックス奏者になったという。まだ20代前半だというから、将来間違いない成長株だろう。

収められた13曲は、どこか古くて新しい、キャッチーでポップなメロディーとサウンド・デザインが秀逸。80年代や90年代のディスコを思わせるリズムやリフは、むしろヒップで先進的。キューズのサックスは、シンセサイザーを施したような音色で、曲によってはダビングを多用。そのサックス音色やヒップなサウンドは、ちょっと聴いただけでは好みが分かれるかもしれないけれど、打ち込みのような軽薄な音ではないし、フレージングやビートにリアルなヴァイブレーションがあって、思いの外、引き込まれるサウンド。

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2014年11月24日 (月)

The JT Project 「Under the Covers」(2014)

ザ・JT・プロジェクトは、ジェイコブ・ウェッブ(キーボード、ベース)、トッド・シフリン(サックス)、の2人によるコンテンポラリー・ジャズ・ユニット。2人は、ニュージャージーの大学の同級生で、2009年にグループを組んで活動開始。今まで3枚のアルバムを出していて、これが4枚目の新作。

硬派なルックスがクールな2人、それに、なんたって、音楽がカッコイイ。ブラコン(死語かな)と言っていいコンテンポラリーでメローなサウンド。この新作は、ソウル・クラシックな5曲のカバーを演っているので、「Under The Covers」というわけ。

その5曲は、チャカ・カーンの(M1)「Through the Fire」、ブレンダ・ラッセルの曲でルーサー・バンドロスのカバーが有名な(M3)「If Only for One Night」、R&Bシンガーのアッシャーの(M5)「Here I Stand」、ご存知のスティーヴィー・ワンダーの(M7)「Overjoyed」、アニタ・ベイカーの(M9)「Caught up in the Rapture」。いずれも、有名曲のオリジナルを尊重した演奏。

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2014年11月23日 (日)

Keith Andrew 「Adventurous Soul」(2014)

ギター奏者キース・アンドリューの新作。フェンダーのギターサウンドはシャープで疾走感があるし、コーラスが交わるオーケストレーションはウエストコーストっぽくて爽快。初めて聴くギタリストなのに、このサウンドは、もしやと思ったら、そうでした。ニルスが楽曲提供や共作とプロデュースでバックアップしてます。

アンドリューは、西海岸で活躍するギタリスト。今までのソロ作品は3枚、「Keith Andrew」(2003)、「Contemplation」(2007)、「Blue Funky Blue」(2011)。ニルスとも幾つかのギグを共演して今回の新作につながったらしい。13曲のアルバムで、2曲のカバーを除く11曲はオリジナル。演奏ゲストも、ニルスに加えて、エリック・マリエンサル、ジェシーJ、ジョニー・ブリット、ジェフ・ローバーと強力だ。

M1「Work to Do」は、アイズレーブラザースの名曲のカバー。エリック・マリエンサルのサックス、シャープにスウィングするギター、あのキャッチーなメロディーのコーラス。この抜けの良さは、アイズレー・ブラザースというより、アベレージ・ホワイト・バンドが演ったカバー・バージョンが下敷きらしい、もろにウエストコーストのサウンドにスカッとします。

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2014年11月16日 (日)

Michael Massaro 「Love in Motion」(2014)

マイケル・マサロはカナダのサックス奏者。この作品で初めて聴いた人だけれど、80年代後半からカナダを中心にキャリアの長いプレイヤーだそう。シングルやソロアルバムも多数出していて、この作品が最新作。

M1「Love in Motion」がキャッチーなハイライト曲で、なかなかストレートで抜けのいいサックスだ。ダイナミックなアンサンブルは、ポップスのビッグバンドという感じ。ドラムスやギターも躍動的で、サックもスウィング感があって心地いい。M2「El Corazon」は、ガトー・バルビエリ風の絞り出すサックスが盛り上げるラテン・チューン。リズムもなんだか歌謡曲風で、キャバレーフロアで聴くバンドサウンドのような、なぜだか魅力的。

M7「Dream Weavers」はマイナーな曲なのに、サックスの音色が明るくて、視野の広がる曲。こんなところがこの人の特色だろう。最後の3曲、M8「My One and Only Love」、M9「Moonlight Over Vienna」(これはフルート演奏)、M10「Stella By Starlight」は、ジャズクラブのパフォーマンスのような、オーソドックスだけれど楽しい演奏。いつもこういうのを演っているのかな、エンターテインメント的でこういうのもいいなあ。これがこの人のお得意のスタイルかもしれない。

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2014年11月 9日 (日)

Till Brönner 「The Movie Album」(2014)

ドイツのトランペット奏者、ティル・ブレナーは、90年代から活躍するジャズ界のスター・プレイヤー。活躍は、ストレート・ジャズに留まらず、フュージョン、ポップス、映画音楽、などジャンルをこなすマルチ・アーティスト。ソフトな歌声で歌も歌うし、チェット・ベイカーに捧げたアルバム「Chattin With Chet」(2000)もあるので、「チェット・ベイカーの再来」とも言われる。それに、なんたって、イケメンなところは、クリス・ボッティか、ティル・ブレナー。

そんなブレナーの新作は、映画音楽集。ストリングスをバックにした映画音楽のテーマ曲集とは、ありがちな、スター・プレイヤーの優等生的企画かなと。聴いてみたら、そんな先入観を裏切る素晴らしい作品。ブレナーと共同プロデュースは、チャック・ローブ。ストリングスのアレンジメントは、クリス・ウォルデン。この2人のキー・パーソンが作ったサウンドは、ちょっと聴いたらイージー・リスリング風だけど、聴き込んだら細部が輝く音は感動もの。ブレナーのちょっとかすれたトランペットも、まるで歌声のようにハートに響いてヒューマンだし、垣間見せる短いジャズ・パッセージさえ、トランペッターとしての懐の深さを見せて、そこらのプレイヤーとは格の違いを感じる。

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2014年11月 8日 (土)

Threestyle 「Get It」(2014)

ドイツ出身のスムーズ・ジャズ・ユニット、スリー・スタイルの新作は、フル・アルバムとしては2作目で、ポール・ブラウンのプロデュースした作品。スリー・スタイルは、ギター奏者ロバート・フェルトとサックス奏者マグダレーナ・チョバンコーバが中心のユニットで、マグダレーナと双子姉妹のガブリエーラがドラムを担当している。

マグダレーナはブルーアイズのブロンド美人、その彼女がサックスを抱えている姿と、ドラムを叩いているのも双子の美人姉妹と来れば、ビジュアル的なセールスインパクトは強力。ジャケットの写真からして、その「線」を打ち出してヒットを狙うという、ポール・ブラウンのプロデュース戦略。サウンドは、ラウンジや、チルアウト、R&B、ファンクのテイストを、いずれもソフトにブレンドしたムード優先の音。

ビジュアル的な「売り」のマグダレーナのサックスだけれど、お世辞にも巧者とは言えない。M1「Just for Fun」や、M5「Get It」は、メロディーが印象的なキャッチーなナンバーだけれど、サックスがリフや、ギターとのユニゾン以上に活躍することがない。テクニックよりムードで聴くタイプのサックスとして、硬いこと言わずに、少し大目に見た(聴いた)ほうがいいかな。

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2014年11月 2日 (日)

Patrick Bradley 「Can You Hear Me」(2014)

ジェフ・ローバー、最近の「お仕事」、その3。ローバーがプロデュースした、キーボード奏者パトリック・ブラッドリーの新作。ブラッドリーのソロ作品としては、「Come Rain or Shine」(2007)、「Under The Sun」(2011)の2作品に続く作品で、前作の「Under the Sun」もジェフ・ローバーのプロデュースだった。今回の作品は、リック・ブラウン、デーヴ・コーズ、エリック・マリエンサル、ジミー・ハスリップなどが参加している。

アルバムのタイトル曲でもあり、シングルで先行リリースした、M4「Can You Hear Me」は、特に象徴的なベスト・ソング。ブラッドリーの亡き母に捧げた曲だそうで、ヒーリングムードの牧歌的なバラード。デーヴ・コーズのソプラノサックスと、ブラッドリーのピアノが美しい。映像的なイメージが広がるような、M6「Shoreline」も、リリカルなブラッドリーのピアノが印象的。ちょっとロックっぽい楽曲がこの人の特徴かな。M3「North of Evermore」は、オルガンやモーグ・シンセが使われていて、プログレ・ロックっぽい。

M5「Daylight」は、スティーリー・ダンのような曲想で、エレピとアコースティックやシンセの交差する展開がドラマチック。M2「Blue Skies」や、M7「Catalan」、M8「For Her」は、フュージョン・スタイルの曲だけれど、ローバーの得意とするスピード全開のそれではなくて、スムーズにゆったりとスウィングするフュージョンがいい。M10「Voyage」は、リック・ブラウンが参加したラテン・フュージョン。後半に出てくるボイスは、キューバのコンガ奏者故カルロス・ヴイダルという人で、ブラッドリーの義父だそう。

ローバーがプロデュースしたとはいえ、ジェフ・ローバー・フュージョンのようなフォーマットでなく、ブラッドリーのキャラクターを引き出すのに成功している好盤。

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Terje Lie 「Bright Moments」(2014)

ジェフ・ローバー、最近の「お仕事」第2弾。ジェフ・ローバーとジミー・ハスリップがプロデュースした、サックス奏者テリー・リーの新作。テリー・リー(このスペルでそう発音するらしい)は、ノルウェー出身(だからかな)。ソロ作品は、「Traveler」(2007)、「Urban Vacation」(2010)、の2枚をリリースしている。前作の「Urban Vacation」は、ローバーとハスリップがプロデュースした作品だったので、この新作もそれに続くローバー&ハスリップとのタッグ作品第2弾。

M10「Jungle」は、作品自体がローバーとハスリップの合作で、サウンドはそのまま「ジェフ・ローバー・フュージョン」。リーが作曲に加わってソプラノを吹くM1「Storm Skies」や、M5「You Know」も、ファンキーなグルーヴが一級品だけれど、これも「ジェフ・ローバー・フュージョン」スタイルの範疇。タイトル曲M3「Bright Moments」は、少しメランコリーな風合いのあるメロディーをソプラノが歌い上げる、楽曲としては一番印象的な曲。

けれど、テリー・リーのキャラクターを引き出している演奏というと、M4「Daybreak」や、M7「A Special Thing」の、スロウかミティアム・テンポの都会的なメロディーの曲だろう。特に、バラードの「Daybreak」は、リーのサックスと、ローバーのエレピの交差が、エレガントで、ベスト・トラックだと思う。アルバム全体がジェフ・ローバー色の作品で、主役のキャラクターがあまり際立っていないのが残念。ジェフ・ローバー・ファンは嬉しいけどね。

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Jazz Funk Soul 「Jazz Funk Soul」(2014)

最近のジェフ・ローバーの活動は精力的だ。「ジェフ・ローバー・フュージョン」名義での近年3作品、「Now Is The Time」(2010)、「Galaxy」(2012)、「Hacienda」(2013)へと、1作ごとにパワーアップするグルーヴは、目を(いや耳か)見張る。「Hacienda」の、緊張感がピークする「トンがり」具合は、あのユニット(ローバー、ジミー・ハスリップ、エリック・マリエンサル)の「完成形」を思わせた。

次にローバーが組んだのは、サックス奏者エヴァレット・ハープと、ギター奏者チャック・ローブで、まさにスーパー・ユニットと呼ぶにふさわしい組み合わせに驚愕。ユニット名も「Jazz Funk Soul」と、そのまんまで、ひねりが無いところがひねりのようでもある。パーマネントなユニットなのかは分からないけれど、今回限りのプロジェクトだとしても、ファンには歓喜の作品。展開する3人のインタープレイは、ジェフ・ローバー・フュージョンのフォーマットを踏襲しているけれど、緊張感は少し緩んで、リラックスしたグルーヴが伝わってくる。各人が自作曲で「主役」を張るトラックがバランス良くあるのは、豪華なスーパー・ユニットらしい構成。

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