Chris Godber 「Starting Over」(2015)
チルアウトなサウンドは、熱い夏にもぴったりかもしれない。サックス奏者クリス・ゴッドバーの新作は、この人の持ち味といっていいチルアウト・ムードのサウンドに、終始クールなサックスの音色が、ヒートアップ気味な外気もハートも、少しは冷やしてくれる。
デビュー作「One Breath at a Time」(2009)から数えて4作品目の新作。ジャケットの見るからに若々しい外見同様、サウンドもフレッシュだし、スムーズジャズ界の若手サックス奏者が多いといえども、注目株だ。
チルアウトなムードだから派手さはないけれど、ファンキーなリズムやR&Bのテイストが抑え気味に見えるところが、都会的で洗練された音作りで、好感度の高い佳作。
M10「Starting Over」はハイライト・チューン。ホップするリズムはファンキーで、サックスのR&Bなメロディーが印象的で、ローテーション必須曲。M5「Nu Jack Swing」も、このアルバムの中では比較的ファンキーなリズムとキャッチーなメロディーがグッとくる曲。M7「Lifetime」は、ソプラノで奏でるクールなチルアウト・チューン。ケニーGの大ファンとかで、この曲で奏でるソプラノにそんな影響もあるのかな。
全12曲のうち、彼自身のオリジナル11曲に混ざっている1曲のカバーが、M8「At Last」で、ブルース・シンガー、エタ・ジェイムスの代表曲。短い演奏だけれど、ゴッドバーのブルース・ノートを使ったシブい演奏は必聴。次作は、ファンキー・サウンドをバックに、パワフルな演奏を聴いてみたい。
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