Nils 「Alley Cat」(2015)
ギター奏者ニルスの新作は、前作「City Groove」(2012)の後、ベスト集「Jazz Gems」(2014)を挟んで、3年ぶりのオリジナル作品。 最近は、プロデュース業の仕事も目立っている。アル・デグレゴリスや、キース・アンドリュー、ダニー・キューズ、といった新鋭アーティストの作品のプロデュースや、ブライアン・シンプソン、ネイト・ハラシムといった、著名アーティストの近作での客演も光っていた。サウンド・クリエイターとして、評価が高まっているということだろう。
さて、この新作。冒頭の曲、M1「Two of a Kind」のイントロ、あれっ。聴いたことがあると思ったら、ブライアン・シンプソンの「One of a Dream」の、M1「One of a King」と同じ曲? それもそのはず、『One〜』は、シンプソンとニルスの合作曲で、ニルスもギターで演奏に参加していた。『Two〜』のほうは、『One〜』と同じギター・リフとドラムス(リック・ローソン)のバック・トラックをそのままに、新しいギター演奏で新しいメロディーを乗せているようだ。リズミカルでキャッチーなイントロから、スピード感のあるリズムは、ニルスのアイデアをもとに、シンプソンのバージョンが出来上がったのかなと、想像が膨らむ。珍しい背景の2曲。聴き比べると興味深い。
M2「Alley Cat」は、ちょっとブルージーなメロディーに、ブラスセクションのバックが入るところが、サウンドに厚みを増した新境地かな。M11「Milkshake」も、同様にブラスセクションをバックに、低音をフックにしたブルージーなフレージングが新鮮なトラック。M4「Saturday Night」は、十八番のストロークと抜けるようなリフが、やっぱり爽快なファンキー・チューン。M8「Malibu」は、ウェスト・コーストなムードのフォーク・ロックのような爽やかさ。全12曲は佳曲揃いで、期待を裏切らない秀作。 何といっても、シャープでスピード感のある、ニルスならではのギターリフが堪能できる。今まで以上に、サウンドのクオリティが増した感のある、待ってましたの新作。
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