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2015年11月の2件の記事

2015年11月22日 (日)

Marcus Anderson 「AND Coffee」(2015)

筆者の好きなサックス奏者のひとり、マルクス・アンダーソンの新作は、コーヒーをテーマにした作品。タイトルも「And Coffee」で、全11曲はコーヒーをイメージした曲名が並ぶ。よっぽどコーヒー愛飲家なのかと、実はそれもそのはず、アンダーソンは経営者としてコーヒー事業を始めたようで、その商品名も「AND Coffee」。彼の名前も冠した、袋入りコーヒーを販売していて、デカフェ、マイルド・ロースト、ヘーゼルナッツ、など、フレーバーの違う5種類で、340g入り$12.99。彼の故郷のノース・カロライナで、製造、販売している。

さて、音楽の方はというと、コーヒーだから、リラックスなムードの曲が並んでいて、今までのアンダーソンのイメージからするとソフト路線。「Style Meets Substance」のヒップなバイブレーションや、近作「Marcus Anderson Xperience」でのパワー・ビート全開のライブ演奏とは、ちょっと違う。

アンダーソンは、キム・ウオーターズの代わりに、ザ・サックス・パックのツアーに参加して、「Power of 3」では、ジャケット写真に写っていなくても、アンダーソンが参加した演奏曲が、一番ポップで光っていた。そんな、「Power of 3」の路線を思わせるポップ・チューンがこの新作にも何曲か入っていて、それが「収穫」で嬉しい。

M1「Espresso Shot」は、まさにそんなポップな曲で、ザ・サックス・パックのレパートリーといってもいい「らしい」曲。M2「Cappuccino Strut」や、M7「Carmel Mocha」も、「Power of 3」に入っていても違和感のないトラックで、それ用に、アンダーソンが用意していてボツになったのかな、なんて思ってしまう。M3「Cup of Joe」は、ギター奏者マット・マーシャックが参加した演奏。マーシャックのギターが、彼特有のブルージーなムードを作っていて、アンダーソンのサックスもいい感じのベスト・トラック。コーヒー・ビジネスも成功してほしいけれど、もっとヒップな作品が聴きたい。

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2015年11月14日 (土)

Ken Navarro 「Unbreakable Heart」(2015)

ギター奏者ケン・ナヴァロの新作。いつも通り、ギターだけでなく演奏トラックはすべて彼の手によるもの。前作「Ruby Lane」も珠玉の曲が並んでいたけれど、この新作の11曲はどの曲もさらに洗練された素晴らしい曲が並ぶ。どの曲も「私的」なテーマの曲想だけれど、内省的ではなく、ポップでメランコリーなメロディーが秀逸。サウンドも、ダビングを駆使しているとはいえ、ギターのみならず、各種のインストルメンタルに奥行きがあって、ドラマチックだ。

M1「Jaco Smiled」は、ジャコ・パトリアスに捧げたという曲。浮遊感のあるフレットレス・ベースがまさにジャコ的で注目。M2「One Night in Mumbai」は、疾走感のあるナイロン・ギターがポップで爽快な曲。M3「Unbreakable Heart」、タイトル曲は7分を超える「大作」。複数のナイロン・ギターとエレキ・ギターのオーバーダビングを駆使したサウンドがドラマチック。

M4「Juliet」は、今年生まれた、初めての孫娘へ捧げたという曲。前作の「Ruby Lane」にも似た、優しくロマンティックなメロディーが美しい。何度でも聴いていたい、ハイライト曲。こういうハートにグッと来る曲が、ケン・ナヴァロの真骨頂。M5「Frenchmen Street」、タイトルはニューオリンズの名所で、ニューオリンズを訪れた思い出を曲にしたという。アコースティック・ベースがファンキーなリフを刻んで、リズム・ビートのグルーヴが何ともかっこいい。ナイロンとエレキ両ギターのアドリブも聴きもの。最後の曲、M11「Robin Fly Away」は、亡き俳優ロビン・ウィリアムズに捧げたという、バラード曲。ナヴァロのギターの紡ぐ1音1音が堪能できる。

ソロ作品としては通算22枚目になるというが、この新作は近年では、「傑作」といっていいベスト級作品。

 

 

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