Four 80 East 「Positraction」(2015)
カナダのトロントを拠点に活動するフォー・エイティ・イーストの新作。1997年のデビュー作「The Album」以来、ロブ・デボール(キーボード、ギター、ベース他)とトニー・グレース(ドラムス他)が中心のニュージャズ・ユニット。電子鍵盤を多用する音作りでエレクトロ・ジャズ・バンドとも形容されますが、アシッド系ジャズやソウル/ファンクやラテンにピップホップのエッセンスなど多様な引き出しでクールなグルーヴを発揮するアンサンブル。
前作『Off Duty』(2012)同様に本作もデボールとグレースによるオリジナル10曲を、デビュー作以来サポートを務めるジョン・ステュワート(サックス)に加えて、ビル・マックバーニー(フルート)、アレックス・バーロー(トランペット)らホーン・セクションがサウンドを固める。
ピアノやサックスにフルートによるジャジーなアクセントとプログレッシブなギター・リフなど、ファンキーなホーン・セクションも織りまぜて、各パーツが際立つ構築的なサウンドがなんともすばらしい。トランス・ビートがループする様は一歩先んじた音世界の味わい。
「Positraction」のヒップなビートにギターやサックスが放つトリップ感はクラっとしそうなサウンド。「Eegee Beegee」はシンセ鍵盤やワウワウ・ギターとホーン・セクションが溶けあうファンクな佳曲。
「Into the World」は、コンテンポラリー・ジャズ・バンドとしての本領を発揮するような好演。ドラムが打ち出すヘビーなビートにトランペットやフルートのインタープレイが爽快なアンサンブル。
「Cookie Strut」は脱力系のエレピがラウンジ・ムードを盛りあげるクールな曲。「Tikitango」は加速したボサノヴァ・ビートに踊るようなエレピやフルートのフレージングが美しい。
サウンドのすみずみまで聴きどころがつまった秀作。今後も目(耳)が離せないバンド。
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