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2016年5月の2件の記事

2016年5月22日 (日)

Michael Lington 「Second Nature」(2016)

マイケル・リントンの前作「Soul Appeal」は、ソウルな躍動感が伝わる傑作だった。個人的にも、かなりヘビーローテーションしたので印象深いベスト級の作品だった。この新作も、前作に続いて、メンフィス・ソウルに、リズム&ブルースのバイブレーションが炸裂する爽快な作品。リントンのサックスは、パワフルなだけなく、洗練されたフレージングも聴けるし、前作超えの秀作と言っていい。

この2作のプロデュースは、バリー・イーストモンドで、アレサ・フランクリンやホイットニー・ヒューストン、アニタ・ベイカー、アル・ジャロウらを手がけたプロデューサー。前作同様、今作もほとんどの曲をリントンとイースモンドが合作している。

カバー曲は1曲、バーケイズの名曲 M7「Soul Finger」を演っているけれど、そのメンフィス・ソウルの名曲に負けず劣らず、11曲のオリジナル曲が秀作で素晴らしい。M1「Beale Street」は、ブッカー・T・ジョーンズが参加した曲。メンフィス・ホーンをバックにパワフルなリントンのサックスがガツンと来るハイライト・ナンバー。M3「Slick」は、まるでジェームス・ブラウンのカバー曲のような、これがオリジナル曲というから驚き。トロンボーンのソロ演奏は、なんと、ブライアン・カルバートソンで、リントンとの掛け合いは必聴。M4「Memphis Strut」は、懐かしいロカビリーのような曲。

M5「Some Kinda Wat」は、女性歌手サイ・スミスが歌うソウル・バラード。スミスは、ブランド・ニュー・ヘヴィーズでリード・シンガーを務めたキャリアのある人。前作で、ケニー・ラティモアが歌った「Gonna Love You Tonite」を彷彿するキャッチーな曲。歌伴もうまいリントンの演奏を再認識。M11「Wooh」は、レイ・パーカー・ジュニアがギターで参加した曲。作曲は、パーカーとリントンの合作。ツイストも思わせる懐かしいビート・チューン。ハッピーなコーラス、いや掛け声も楽しい、ロケンロールな曲。M12「Midnight Drive」は、アーバンな曲で、パワフルなメンフィス・ムードのフィナーレに、なんともメロウなムードがかっこいい。伸びのいい、リントンのサックスのフレーズがしびれますぞ。

 

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2016年5月 8日 (日)

BWB 「Braun Whalum Brown」(2016)

リック・ブラウン(トランペット)、カーク・ウェイラム(サックス)、ノーマン・ブラウン(ギター)、3人によるユニットBWBの3作目となる強力な新作。2002年にデビュー作「Groovin」を出して、フルアルバムの2作目「Human Nature」はなんと10年後の2013年リリースだった。「Groovin」も、「Human Nature」もカバー演奏中心の作品だったけれど、この新作はなんと10曲すべて、オリジナル作品というから、待ち焦がれたファンは狂喜せずにいられない。

7曲が3人の共作で、残り3曲はそれぞれが各1曲を作曲。過去のカバー演奏も良かったけれど、楽曲としても佳曲揃いのオリジナル曲を並べたこの新作こそ真骨頂。3人の生み出すグルーヴは、パワービートにあらず、リラックスムードに溢れていて、いやはや何ともカッコいい。

そして今作の特色は、3人がコーラスを担当していて、そのコーラスを配した曲が新機軸。M2「Bust a Move」や、M6「Lemonade」、M8「Hey Baby」、M10「Turn Up」は、いずれも、そのコーラスが聴ける曲で、コーラスの効果もあってどれもポップな佳曲。3人のコーラスは、ハモるようなテクニックもなく、荒削りだけれどリラックスしたムードが伝わる、ピュアでハートフルな魅力に溢れている。

もちろん、演奏に徹した曲も当然に聴き逃せない。M1「Triple Dare」は、3人のソロとインタープレイが光るスムーズジャズ・チューン。M7「Memphis Steppin’」は、オールドスクール的なソウル・メロディがキャッチーな曲で、ブラスセクションをバックに、3人のチェイスするような交差するアドリブは鳥肌もの。M3「BWB」はレゲエのリズムを、M4「Bolly Bop」ではインド風のメロディーを織り込んだ曲、というように曲ごとにアレンジやサウンドデザインも彩色豊かで素晴らしい。次の作品もオリジナルで作ってほしいけど、何年後だろう。

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