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2016年12月30日 (金)

第59回グラミー賞ノミネート作品

59回グラミー賞の、「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」部門のノミネート作品は、次の5作品。受賞決定は、2017年2月13日。

追記:受賞作は、『Culcha Vulcha』Snarky Puppy 下記★印

1.「Human Nature」Herb Alpert

ハーブ・アルパートは、近年の「Steppin’ Out」(2013)で、「ベスト・ポップ・インストルメンタル・アルバム賞」を受賞。その後も、「In The Mood」(2014)、「Come Fly With Me」(2015)と、80歳(!)を超えて、精力的に新作をリリースしている。

新作「Human Nature」は、マイケル・ジャクソンの表題曲や、オリジナルの「Doodle」など、打ち込みのディスコ・ビートを多用したアレンジが新機軸。個人的には、オリジナルの「Mystery Mann」がジャズ・ムードのポップ・チューンで、一番光っている。

2.「When You Wish Upon Star」Bill Frisel:

奇才のジャズ・ギタリスト、ビル・フリーゼルは、前作「Guitar In The Space Age」で、第58回グラミー賞候補作になったので、2年連続。前作ではビーチ・ボーイズやベンチャーズを取り上げたり、ジャズの範疇にとらわれず、進歩的にテーマに取り組むところが芸術的で、グラミーに評価されるのかな。

今回は、映画音楽の作品集。タイトル曲や「The Shadow Of Your Smile」「Moon River」「The Godfather」などポピュラーな曲を取り上げている。フレーゼルのギターや、ビオラ奏者の入ったバンド・サウンドは、フォーキーで牧歌的。ボーカルは、ジャズ・ベーシストのチャーリー・ヘイデンの実娘、ペトラ・ヘイデン。

 

3.「Way Back Home 」Steve Gadd Band:

2015年に行われた、スティーヴ・ガッドの70才誕生日を記念したコンサートのライブ録音。バンドはマイケル・ランドゥ(g)、ジミー・ジョンソン(b)、ラリー・ゴールディングス(kbd)、ウォルト・ファウラー(tp)の4人。

ガッドのリーダー名義のバンド編成としては、25年ぶりという「Gadditude」(2013)の演奏メンバー。「Gadditude」から数曲演奏している。

メンバーの巧みな技量と、ライヴならではの奔放なパフォーマンスのフュージョン。

 

 

4.「Unspoken」Chuck Loeb:

チャック・ローブの新作は、曲ごとに、ジェフ・ローバー、ブライアン・カルバートソン、エヴェレット・ハープなど、大物ゲストを迎えての演奏集。どの曲も、ローブの繊細で流れるようなパッセージが美しい。

ティル・ブレナーが客演した「Si Se Puede」や、奥様のカルメン・クエスタが歌う「Way Up High」、いずれもボサノバ・スタイルで聴かせるメロウなフレージングは、この人ならでは。

 

5. ★「Culcha Vulcha」Snarky Pappy:

スナーキー・パピーは、「Sylva」が2016年グラミー賞のベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバムを受賞しているので、2年連続のノミネート。このバンドの予想不可能なリズムやメロディーの展開は、攻撃的で終始スリリング。流動的なメンバー構成や、目まぐるしく展開するオーケストレーションは、演劇的でもある。

この新作も、このバンドの「尖った」音楽性が発揮された秀作。収録曲の「Tarova」はレゲエとファンク、「Go」はファンクとロック、というように融合的なグルーヴは親近感がわく曲だが、展開は意表も突かれる。

 

受賞を予想するなら、スナーキー・パピー、ひょっとして、ビル・フリーゼル、かな。スムーズジャズのファンとしては、チャック・ローブのノミネートが嬉しいけれど、スムーズジャズから選ぶならもっといい作品があるのに。スナーキー・パピーの先進的な音楽性は、注目に値する。ただし、リスナーはリラックスすることは許されず、聴くためのエネルギーが必要。でも、聴き終わると爽快感を感じる、不思議で、ちょっと中毒性の魅力。

 

 

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