Rob Zinn 「Walk The Walk」(2018)
トランペット奏者ロブ・ジンの新作は、前作のデビュー作「Yesterday Again」(2016)に続く2枚目。今作は、ポール・ブラウンが全面的にプロデュースに関わった秀作。ポール・ブラウンのスタジオ「Funky Joint」で収録されたという全10曲。
ほとんどがジン自身とブラウンの共作の曲で、都会的で洗練されたメロディーラインの連続の充実した内容。ポール・ブラウンらしい、アクのないR&Bサウンドのデザインがかっこいいし、落ち着いたバンド・サウンドが、ロブ・ジンのフレージングを際立ている。
タイトル曲のM1「Walk The Walk」と、M2「Wherever You Are」は、いずれもサックス奏者アンドリュー・ニューがゲスト参加した演奏曲。ファンキーな「Walk The Walk」も、AORのスロウ・バラードような「Wherever You Are」も、二人のスリリングなインタープレイが必聴のハイライト曲。ジンがフリューゲル・ホーンを吹く、M3「Journey of the Heart」は、ソフトな音色のフレージングが包容力を感じさせる。
M6「Never Gonna Give up on You」は、ポール・ブラウン「おはこ」のファンキー・フレージングのギターと、ジンのトランペットとの掛け合いが活き活きとしていて、上質なポップスと言っていいグッと来る曲。M8「Summer Nights」は、サックス奏者マイケル・パウロが客演した演奏。こちらの二人のアンサンブルも聞き逃せない、キャッチーな曲。M10「Could It Be You」は、ブラウンのメロウでファンキーなフレージングと、まるで歌手が唄うかのようなジンのトランペットが、インタープレイする、AOR的な雰囲気が魅力的な曲。
ポール・ブラウンのプロデューサーとしての手腕が発揮された作品、とは言え、この洗練されたクールなトランペットの主役は、ロブ・ジンだ。今後注目に値するアーティストに違いない。
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