U-Nam 「Future Love」(2019)
ギター奏者ユー・ナムは、2012年にスカイタウン・レコードを設立して、自身の作品だけでなく他アーティストの作品をリリースしている。フランス出身のユー・ナム(本名エマヌエル・アビテボール)が手がけるアーティストは、ほとんどがヨーロッパ出身者を集めた個性的なレーベルだ。所属アーティストは、キーボード奏者ヴァレリー・ステファノフ(ロシア出身)、キーボード奏者マティアス・ルース(スウェーデン)、サックス奏者アンドレイ・チェマット(ウクライナ)、サックス奏者アーノ・ハイス(ドイツ)、女性サックス奏者ニキ・サックス(ウクライナ)、女性サックス奏者マグダレーナ・チョバンコーバ(チェコ出身、ドイツのスリー・スタイルのメンバー)など、いずれも実力派だがアメリカでは無名という新鋭アーティスト。他のレーベルとは一線を画した音作りを追求するユー・ナムのプロデュース手腕にも目が離せない。
ソロ作品は近年の「C’est Le Funk」(2014)、「Surface Love」(2016)、ベスト曲集「The Essential Collection」(2017)とコンスタントに発表。他アーティストのプロデュースに加えて、ボブ・ボールドウィン、エラン・トロットマンらのアルバムにも客演するなど、精力的な活動に力を抜くような気配は微塵も感じられない。そしてこの新作は新曲13曲(プラス2曲の別バージョン)で、ギター奏者として圧巻の才能を聴かせてくれる。
アルバムを貫くグルーヴと縦横無尽のギター演奏は、いつも付いて回る<ジョージ・ベンソンのフォロワー>という形容詞だけでは語れない。そこかしこにベンソン張りのスタイルは披露するけれど、ギター演奏の「引き出し」は広角に多彩で豪華絢爛。今作はボーカル曲も無く、主役のギター演奏で進化した独自性をたっぷり聴かせてくれる。ゲストには、ヴァレリー・ステファノフ、アンドレイ・チェマット、マティアス・ルース、シャノン・アビテボールら、スカイタウン・レコードのキー・プレイヤーが固める。
1曲目の「Changes」のファンキーなリフからグッとつかまれる。続くムーディーな「Future Love」、アップ・ビートな「Good Old Days」、ベース・リフが「ゴーストバスターズ」を思わせる「Is That So?」(シャノンのフルートが印象的)への流れは怒涛の80年代ヒット・パレードのよう。カバー2曲も80年代。「Never Knew Love」はデオダートの『Motion』(1984年)に入っていた曲。「Get It Right」は、アレサ・フランクリンの1983年の曲で、ルーサー・バンドロスとマーカス・ミラーの共作品。6曲目の「Artbeat」のソフトメロウなフレージングは、ベンソンの「ブリージン」にオマージュしたような曲でリピート必須。
ユー・ナムならではのめくるめくグルーヴ全開の力作。初めから終わりまで、ノンストップでかけっぱなしにして聴くのがオススメです。
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コメント
good! 最高!
ドライブでのノンストップミュージックには欠かせない!
投稿: | 2020年3月 6日 (金) 11時09分
コメントありがとうございます。
まさにドライブにぴったりの音楽です!
投稿: UGASAI | 2020年3月 6日 (金) 17時08分