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2019年5月 4日 (土)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 2)

1. ボビー・コールドウェル:「Heart of Mine」(1989)

アルト・サックスは、デイヴ・コーズ

同名アルバム『Heart of Mine』(1989)収録曲。初出はボズ・スキャッグスのアルバム『Other Roads』(1988)のバージョン。

コーズはコールドウェルのバンドのメンバーだった。コールドウェルのバンド出身のサックス奏者は、ボニー・ジェイムスマイケル・リントンアンドリュー・ニューなど、いずれも今やソロで活躍しているアーティストばかり。

コーズのソロとしてデビュー・アルバム『Dave Koz』(1990)所収の「Emily」はコールドウェルとの共作曲。2人はその後もお互いの作品で共演している。中でも、コールドウェルの『House of Cards』(2012)でコーズが客演した「Blue」も、「Heart of Mine」と共に2人のコラボを代表するベスト曲だ。

 

2. スクリッティ・ポリッティ:「Oh Patti (Don't Feel Sorry For Loverboy)」(1988)

(サックスではないのだが)トランペットは、マイルス・デイヴィス。

マイルスは『TUTU』(86年)で、スクリッティ・ポリッティの「Perfect Way」をカバーしている。その経緯で、ゲスト演奏につながったと想像する。ちなみにマイルスは、チャカ・カーンや、キャメオらの楽曲にも参加している。キャメオの「In The Night」(1988)で客演。キャメオの「Back and Force」(1987)のビデオにもマイルスは出演していて、その怪演は一見の価値あり。

マイルスは自伝で、「プリンスとキャメオを気に入っていた」と回想している。プリンスとは、数曲レコーディングを行ったようだが、公式には発表されていない。チャカ・カーンの「Sticky Wicked」(88年のアルバム『CK』)はプリンスが手がけた楽曲で、マイルスの演奏と曲の終わりにはマイルス自身(?)の声が聴ける。

また、TOTOの『Fahrenheit』(1986)所収のインスト曲「Don’t Stop Me Now」にも、マイルスが客演している。

 

3. ローリング・ストーンズ:「Waiting On A Friend 」(1981)

テナー・サックスは、ソニー・ロリンズ、

アルバム『Tattoo You』所収の曲。同アルバムのもう1曲「Neighbours」でもロリンズが演奏している。

『Bridges To Babylon』(1997)の「How Can I Stop」の終盤ではウェイン・ショーターがソプラノ・サックスを吹いている。

ロリンズやショーターというジャズ界大物を迎えての共演は、ドラム奏者チャーリー・ワッツのジャズ指向が反映されたようだ。

ワッツ自身はドラマーとしてのソロ活動で、いくつかのジャズのアルバムを出している。

 

 

4. ジェイムス・テイラー:「How Sweet It Is ( To Be Loved By You)」(1975)

アルト・サックスはデイヴィッド・サンボーン

アルバム『Gorilla』所収の曲。

同アルバムの「You Make It Easy」でもサンボーンが客演している。サンボーンは、70年代後半以降のジェイムスの作品、『JT』(1977)、『Flag』(1979)などに度々登場する。

テナー・サックスのマイケル・ブレッカー(例えば「Dont Let Me Be Tonight」の客演)と並んで、サンボーンはテイラーのお気に入りサックス奏者のようである。

ちなみに、この曲のオリジナルは、マーヴィン・ゲイのヒット曲(1964)。マーヴィンは、「ジェームスの声はとても滑らかでメロー。彼が(この曲)をカヴァーしてくれたときには、本当にうれしかった。」と語っている。(『マーヴィン・ゲイ物語』デイヴィッド・リッツ著)

 

5. マーヴィン・ゲイ :「Mercy Mercy Me」(1971)

テナー・サックスは、ワイルド・ビル・ムーア。

ムーアは、リズム&ブルースのサックス奏者。

50年代からデトロイトを拠点に活動していたロカビリースタイルの演奏家。

ムーアの登用については、アレンジャーのデイブ・ヴァン・デピットによるとか、マーヴィンが連れてきたとか諸説ある。ムーアは「Mercy Mercy Me」を演奏した後、70年代に数枚のジャズ・アルバムを出したようだが、ジャズのメインストリームには登場していない。マーヴィンの作品での演奏も、この曲一度きりだったようだ。1983年に65歳で他界した。

「Whats Going On」もサックスが印象的な名曲だが、そのアルト・サックスはセッション・プレイヤーのイーライ・フォンティン。

マーヴィンがプロデュースした、モータウンのグループ、ザ・オリジナルズの作品「Baby I'm For Real」(1969)のサックスもフォンティンだった。

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