あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 3)
1. ジェリー・ラファティ:「霧のベーカー・ストリート(Baker Street)」(1978)
アルト・サックスは、 ラファエル・レイブンスクロフト (Raphael Ravenscroft)という人。
この超印象的なサックス・リフで、レイブンスクロフトは一躍注目された。ラファティの次のアルバム『Night Owl』(79年)では、登場が増えてタイトル曲のリリコン演奏や複数曲のサックス演奏で起用されている。
ピンク・フロイドや、マキシン・ナイチンゲール、クリス・レアなどのレコーディングにも参加。79年にはソロ・アルバム(『Her Father Didn’t Like Me Anyway』)をリリースしている。
2. ジョージ・マイケル:「ケアレス・ウィスパー(Careless Wisper)」(1984)
この曲はワム!のアルバム『Make It Big』(84年)に収められているが、広く知られたストーリーとして、アルバムとは別のファースト・バージョンが存在している。
まずファースト(オリジナル?)バージョンは、マッスルショールズの名プロデューサー、ジェリー・ウェクスラーが手がけた。マッスルショールズのセッション・プレイヤーによる演奏で、サックス奏者は誰なのか特定されていない。
マイケルはそのバージョンが気に入らず作り直しをする。アルバムに収録されたのは、録り直した方で、サックス奏者も新たにスティーヴ・グレゴリー(Steve Gregory)を起用。サックス奏者選びでは、10人に及ぶオーディションを行ったそう。この曲のシングルは、ジョージ・マイケル名義でリリースされて、そのB面にはファースト・バージョンも収められた。
グレゴリーは、クイーンやバーシア、クリス・レアなどの作品に客演クレジットが見られる。
【 追記:2019/8/17 】ジェリー・ウェクスラーは自伝(『私はリズム&ブルースを創った』)の中で、彼が手がけたヴァージョンの出来は満足したし、ジョージ・マイケルの才能にも関心したとコメントしているが、「残念なことに、マネジメント側は英国で録ってあった方をシングルに選んだ。」と明かしている。
3. メン・アット・ワーク:「ノックは夜中に(Who Can It Be Now ?)」(1981)
オーストラリア出身の5人組バンド、メン・アット・ワークの大ヒット曲。サックスを吹いているのは、メンバーの1人、グレッグ・ハム(Greg Ham)。
この曲に続いて「Down Under」も大ヒット。「Down Under」の方は、ハムが演奏するフルートがフューチャーされている。バンドは3枚のアルバム発表後85年に解散するが、その10年後から2002年ごろまで再活動した。ハムは、その再結成にも参加したが、2012年に心臓発作のため他界。
この曲の作者であり、バンド・リーダーであったコリン・ヘイは今もソロ・アーティストとしてアルバムのリリースなど精力的に活動中。リンゴ・スターのオール・スター・バンドのメンバーでもある。今年2019年の今頃(6月7月)は、メン・アット・ワークのレパートリーを演奏するツアーをヨーロッパで行なっているようだ。(「再結成」ではないようです。)
4. フィル・コリンズ:「One More Night」(1984)
マイリックは、アース・ウィンド&ファイアーのホーン・セクション、フェニックス・ホーンズのメンバーだった人。EW&Fやコリンズの一連の作品、ラムゼイ・ルイス、ダニー・ハザウェイらのレコーディング・セッションに参加している。
EW&Fの「After the Love Has Gone」の後半からエンディングに出てくるサックス・ソロはこの人だそうです。
5. ヘイゼル・オコナー:「Will You」(1980)
1980年の映画『Breaking Glass』で主演したヘイゼル・オコナー(Hazel O’connor)が劇中で歌った曲。
むせび泣くようなサックスが印象的で、その奏者はウェスリー・マグーガン(Wesley Magoogan)という人。
マグーガンは、オコナーの次回数作品や、ジョアン・アーマトレーディングのレコーディングや、80年代のイギリスのバンド、ザ・ビートにも参加した。しかし後年になって悲劇に襲われる。ノコ(!)による事故で指に大怪我をして演奏できなくなった。オコナーの歌が主役ではあるが、このサックスは名演と評価が高い。
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