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2019年12月21日 (土)

2019年のベスト3+1

今年紹介した新譜の中から選んだ、私のベスト3(+1)です。(下線は当サイト内の過去記事にリンクしています。)

1. U-Nam 『Future Love

ユー・ナムのスタイルを、総決算するような会心の作品。80年代のダンス・グルーヴと、ジョージ・ベンソンへのオマージュ、いずれも進化させて独自のオリジナリティを完成させた。途切れないグルーヴが続く全15曲、ボーカルを入れずにギター演奏を主役にした怒涛の熱量に圧倒される。

ファンキーなビートに、ポップなリフとダンス・グルーヴ、そしてスウィートでメロウなメロディ、多彩なサウンドを造り出した力量に感動する。多彩なテクを駆使する流麗なギター演奏は特筆に値する。ユー・ナムが、ベンソン・スタイルを超越したギター演奏家であることはもっと評価されていいと思う。

この作品の続編『The Love Vault: Future Love, Pt.2』が既にリリースされていて、ボーカル曲も入れた全12曲という内容で、これでもかのパワーが全開です。

2. Nelson Rangell 『By Light

ネルソン・ランジェルの最新作は、爽快なグルーヴが白熱する演奏作品。かつてフュージョンのインスト演奏がポップでグルーヴィーだった時代(70~80年代)を彷彿として、新たな発展形を聴かせてくれる。

ランジェル自ら「ポップ・ジャズ」と標榜する演奏は、ランジェルのサックスやフルートはもちろん、サポート・バンドのアンサンブルが臨場感に溢れている。

タイトル曲「By Light」の、息もつかせず飛翔するようなフルートのフレージングは名演奏だと思う。

 

3. Najee 『Center of the Heart

ナジーの新作は、とにかく楽曲が素晴らしい。ポップで、メロウで、アーバンなムード、そしてキャッチーな楽曲の数々は「ミドル・オブ・ザ・ロード」なスタイルだけれど、こんな完成度の高いポップ・インストルメンタルの作品はなかなか無いもの。ゴージャスかつシックなサウンドに、演奏家としての力量を発揮して、音の隅々まで豊潤な味わい。

今作ではフルートをフューチャーした曲が、リリカルな表情を見せて印象深い。「Alfie」はストリングスをバックにしたジャージーな編曲で、このフルート演奏は名演。「Face to Face」での、ダーレン・ラーンのサックスと、ナジーのフルート、両者のバトルが秀逸な演奏。メロウなR&Bカバー曲「Sumthin’ Sumthin’」は、理屈抜きに良い曲でリピートしてしまう。

 

次点:Tom Grant & Phil Baker 『Blue Sapphire

キーボード奏者トム・グラントと、ベース奏者フィル・ベイカー、旧知の間柄でもあるベテランの二人がコラボした作品。コンテンポラリーな曲と演奏は、緩急なサウンドに、知的な味わいや、ヨーロッパ的で牧歌的な表情もあって、独特な音楽世界を披露する。

「Sugar Lips」や「Blue Sapphire」はベスト・トラックで、異国的なメロディとサウンドはポップな味わいもあり、二人の美的センスの音楽性が凝縮している。映像を伴わずとも映画音楽のような景色感を感じて、聴き込むほどに魅了される秀作。

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コメント

ベスト3いいですね。
U-Nam知らなかったのですが、ギターのグループ感がいいですね。うん、これは気持ちいい。
Nelson Rangell は、初期の頃しか聴いていなかったので、久々に聴いてこんな感じだったっけと思いましたが、Be Lightのフルートは確かにいいですね。
Najeeは買いました!リピート中です。

投稿: sugi | 2019年12月21日 (土) 21時47分

コメントありがとうございます。
それぞれ個性が違いますが、心地よさは共通した作品だと思います。

投稿: UGASAI | 2019年12月22日 (日) 10時07分

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