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2019年12月 1日 (日)

Ray Obiedo 「Carousel」(2019)

レイ・オビエドは、サンフランシスコを拠点に活躍するギター奏者。70年代後半からキャリアをスタート、オルガン奏者ジョニー・スミス、ハービー・ハンコック、ジョージ・デューク、タワー・オブ・パワー、マリオン・メドウズ、ラテン・パーカッション奏者ピート・エスコヴェードなど、ジャズ/フュージョンを中心に多くの著名ミュージシャンと共演している。ソロとしてのリーダー・アルバムは、デビュー作『Perfect Crime』(89年)から8作品を数える。

この新作はソロとして9作目。オビエド自身のレーベル<Rhythmus Redords>から3作目のリリース。レコーディングには、総勢30人超えのトップ級ミュージシャンが参加している。オビエドはギター演奏しているが、ソロを聴かせるというより、各客演者の聴かせどころを演出して、オーケストレーションをまとめる手腕を発揮した作品だ。

参加しているのは、イエロージャケッツのボブ・ミンツァー(sax)、アンディ・ナレル(スティールパン)、トゥーツ・シールマンスら重鎮がソロを披露する。加えて、ピーター・マイケル・エスコヴェード(パーカッション)、ピーター・ホルヴァート(p)、デイビッド・K・マシューズ(kyd)、マーク・ヴァン・ヴグヌン(b)、ポール・ヴァン・ヴグヌン(drums)、フィル・ホーキンズ(スティールパン)といったリズム・セクションはオビエドの過去作品でも常連の面子。

全9曲、オビエドのオリジナル曲が8曲と、カバー1曲(ヘンリー・マンシーニ作の「Lujon」)という構成。興味深いことに、アルバム・タイトル「Carousel」という曲は含まれていないが、実は同名の曲がある。オビエドの6作目ソロ・アルバム『Modern World』(99年)の1曲目がその曲。そして『Modern World』の収録曲から4曲が、この新作に入っている。

『Modern World』に入っていた「Song for Julian」は、この新作では「Song for Jules」となっている。ジュリアン(Julian)とはオビエドの実息子の名前で、ジュール(Jules)はジュリアンのニックネームという違いがあるが同じ曲。同様に、ヘンリー・マンシーニのカバー曲「Lujon」は、別名の「Slow Hot Wind」のタイトル名で『Modern World』に入っていた。他に、「Sunset」と「Modern World」の2曲が『Modern World』に入っていた曲である。

個人的意見だが、もしかするとその4曲はリミックスかもしれないと思われる。残念ながら、『Modern World』は廃盤で、ストリーミングでも聴くことが出来ない。YouTubeでは数曲が聴けるだが、聴き比べた限り、いずれもソロ・パートやサウンドのメリハリに違いがあるが、リズム・セクションの音やタイミングが近似している。参加ミュージシャンも同じメンバーが多く、同じ音源かもしれないし、同じスコアで演奏を加えたのかもしれないと思うのだがどうだろう。

『Modern World』の「Slow Hot Wind」(「Lujon」と同一曲)では、トゥーツ・シールマンスが客演している。新作の方では、シールマンスが客演しているのは「Song for Jules」だ。シールマンスは2016年に永眠したので、いずれにしても、この新作のレコーディングは2016年以前ということになるのだが。それとも『Modern World』の時のセッション演奏だろうか。

1曲目「Jinx」は、重厚なブラス・セクションが際立つラテン・フュージョン趣きの佳曲。ボブ・ミンツァーのサックスや、マシューズのオルガン、ホルヴァートのピアノ、ホーキンズのスティール・パンなどソロ演奏がずらっと並びオール・スター的の豪華な曲。「Sharp Aztec」も、サルサ・ビートのパワフルな演奏曲。キューバン・ピアノの伴奏に乗って浮遊するオビエドのギターが爽快だ。

「Song for Jules」はドリーミーなバラード。中盤から登場するシールマンスのハーモニカが白眉で引き込まれる。オビエドのギターとの絡みが美しく響く。「Cho’s Cha」もラテン・ムードのキャッチーな佳曲。フリューゲル・ホーンに、スティール・パンやコーラスの色彩鮮やかな音像が素晴らしい。オビエドのギターが、アルバム中一番フューチャーされていて、スムーズなフレージングが心地いい。

「Spark of Light」は、切ないメロディーのR&Bテイストのポップ・チューン。ノバート・スタシェルのサックスが、骨太な音色でもハートをつかむような魅力にあふれている。

ところで、マリオン・メドウズの過去作品『Next To You』(00年)は、オビエドがプロデューサーとして関わったアルバム。その中に、オビエド作の曲「Carousel」が入っている。メドウズが主役だが、オビエドのカッティング・ギターが印象的なアーバンな曲に仕上がっている。

なぜ、この新作にタイトルだけで、その曲を入れなかったのだろう。『Modern World』との関係も気になりつつ、リピートを繰り返して聴いてしまう。素晴らしい作品だと思う。

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