Emilio Diaz 「Adiós」(2020)
エミリオ・ディアスは、アルゼンチン生まれのギター奏者です。4歳からギターを始めて14歳でバンド演奏に加わり、2012年からプロとしてソロ活動を開始したそうです。おそらくまだ20代後半だと思われます。
デジタル配信で聴ける作品は、『Se Va La Tarde』(2014)『Voy』(2018)『Desde Agentro』(2019)があります。本作がソロ・アルバムの4作目となる新作です。1作目はライブ録音で、2作目も半数がライブ録音、3作目と本作がフルのスタジオ録音です。ルーツからして、フラメンコやサンバなどのラテン・ジャズを想像しましたが、ジョージ・ベンソンやリー・リトナーらの影響を受けた演奏スタイルでコンテンポラリーな音楽を披露しています。
<Adiós>は哀愁的なメロディの曲で、ピアノとギターがラテン的なフレーズを繰り出しますがなかなかポップな佳曲です。
<Enero>のギターとスキャットのユニゾンは、ジョージ・ベンソン流とはいえ瑞々しいムードが個性的です。
<Tarde>は軽快なフレーズのギターが爽快な曲。親しみやすいフレーズを、自然体で弾きこなす演奏に好感度が上がります。
<Tal Ves Manana>はビバップ・スタイルのジャズ演奏。流麗なパッセージはバーニー・ケッセルを彷彿として、伝統的な技量を聴かせます。
<Dias Azuis>は、ピアノ奏者ダニエル・ジョビン(アントニオ・カルロス・ジョビンの実孫)作のボサノバ曲。リー・リトナーが『Smoke’n’Mirrors』(2006)で、<Blue Days>という曲名で演奏していました。ディアスはこのカヴァーで、ボーカルを披露しています。
ボーカリストとしては、前作『Desde Agentro』でもイヴァン・リンスの曲<Lembra de Mim>を歌っています。同曲は本作にも入っていますが、こちらはボーカル無しのインスト・バージョンです。
イヴァン・リンスの曲は、<Dinorah, Dinorah>も取り上げています。この曲はジョージ・ベンソンの名演(『Give Me The Night』)で有名。ディアスの演奏はベンソン・バージョンを下敷きにしたスタイルですが、ギターもスキャットもエネルギッシュな熱量にあふれていて一聴に値します。
注目したい新鋭ミュージシャンです。
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