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2020年7月11日 (土)

Charlton Singleton 「Date Night」(2020)

ランキー・タンキー(Ranky Tanky)は、アメリカ、サウスカロライナ州チャールストンを拠点に活動する5人組のバンド。「ガラ」(Gullah)と呼ばれるアメリカ南部の伝統的音楽をジャズのアンサンブルで演奏しています。

『Ranky Tanky』(2017)でアルバム・デビュー。2作目の『Good Time』が、第62回(2019)グラミー賞「ベスト・リージョナル・ルーツ・ミュージック・アルバム」を受賞しました。ジャズ・シーンで 注目のバンドです。

ランキー・タンキーのメンバーのひとり、チャールトン・シングルトンは1971年生まれのトランペット奏者。バークレー音楽大学を卒業した、アカデミックな音楽経歴を持つジャズ・ミュージシャンです。チャールストン拠点のスウィング・ジャズ・バンド「チャールストン・ジャズ・オーケストラ(CJO)」の音楽監督と指揮者を、バンド創設(2008)からおよそ10年間にわたり務めていました。

トランペット奏者としてのソロ・アルバムは、「Delicate」(2015)「Soul Cavern」(2013)「The New Deal」(2011)を発表しています。この新作が4作目です。

この新作に収録されたオリジナル8曲は、4曲のインストと4曲のボーカル曲からなっています。本人のホームページなどによると、サポート陣は
Calvin Baxter( produce, drums, keyboard)、 Demetrius Doctor ( keyboard)、David Grimm(guitar)、Greg Money(lead guitar)、Vontá E-Nuf(bass)、JT Crushlce(drums)といった、いずれもチャールストン出身の若いミュージシャンが固めています。プロデューサーのカルヴィン・バクスターは、ランキー・タンキーのメンバー、ドラム奏者クワンタン・バクスター(Quentin Baxter)の甥という関係です。

4曲のインストは、スムーズジャズ・ファンであれば必聴です。メローな楽曲が並んで、シングルトンの柔らかな音色が魅力的に響きます。ハリー・エディソンや、クリフォード・ブラウン、ウィントン・マルサリスといった本流のジャズ・トランペッターを彷彿とする、オープン・トーンで奏でる甘いフレージングに引き込まれます。ランキー・タンキーでの路線とは異なり、コンテンポラリーなジャズに徹しています。

「Sunrise」や「Sweet and Tender」は、メローなフレーズが印象的なバラード曲。「Sea Breeze」は、ミッド・テンポにファンキーな味わいのある佳曲です。オープンとミュートの音色を効果的に使い分けていますが、本人のダビングでしょうか。「Sunshine」も含めた、このインスト4曲は素晴らしい好演です。

後半の4曲は自身のボーカル曲で、アーバンなムードが加わります。「Fantasy」はハイライト曲で、ポップで独特のメロディーと、ドリーミーなホーン・セクションを配して、忘れがたい魅力に惹きつけれらます。「Turn the Lights Down」と「Soulmate」は、コンテンポラリーなバラード。ミドル・オブ・ザ・ロードなメロディー・ラインと、ジャージーなアレンジが味わい深い曲。シングルトンのボーカルは、ソウルなテイストはわずかにニュートラルな歌い方で好感が持てます。洗練された味わいは、AORのオシャレ感も漂います。

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