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2020年9月13日 (日)

Special EFX 「All Stars」(2020)

スペシャルEFXの、『Deep As The Night』(2017)に次ぐ新作です。

スペシャルEFXは、ギター奏者キエリ・ミヌッチによるコレクティブ・プロジェクトです。メンバーが流動的に集合して音楽作品を創るのがコレクティブというスタイル。この新作は「オール・スターズ」と名付けられた通り、ミヌッチが総勢18名におよぶトップ級のミュージシャンを迎えて創り上げた作品です。

ソロをフィーチャーしたアーティストは、リン・ラウントゥリー(トランペット)、ディビッド・マン(サックス)、エリック・マリエンサル(サックス)、ネルソン・ランジェル(サックス)、ラオ・タイザー(キーボード)など、過去作品やツアーでの共演を重ねた人たちが並んでいます。また、レジーナ・カーター(バイオリン)、アントワン・シルバーマン(バイオリン)、ミノ・チネル(パーカッション)、メイザ・リーク(ボーカル)といった逸材を起用しているのが興味を引かれます。

コレクティブという集合スタイルが話題になる以前から、ミヌッチはスペシャルEFX名義での制作を流動的なメンバーで作り上げてきました。スペシャルEFXは、1984年にメジャー・デビューしたミヌッチとジョージ・ジンダ(パーカッション)によるフュージョン・バンドでした。およそ10年の活動後ミヌッチがバンドを離れましたが、2001年にジンダが死去します。その後は、ミヌッチがソロとしてスペシャルEFXを引き継いだのです。

本作は、デビュー・アルバムから数えて23作目。ミヌッチの実質的なソロ制作による『Party』(2003)からは、7作目となります。

スペシャルEFXのトレードマーク的な、ドラマチックで雄大な視界を感じさせる楽曲がハイライトになっています。中でも「Two Dancing」は、二人のバイオリニスト(レジーナ・カーターとアントワン・シルバーマン)をフィーチャーした注目する楽曲です。カントリーのフィドル演奏を思わせて、2者のバイオリンを中心にリズミックにスウィングするユニークな曲です。「Mr.Marzipan」と、ブルース・チューン「Hanky Panky Boys」は、重量級のホーン・セクションが聴きどころです。

「Kampala」と「Flows Like Water」での、ミノ・チネル(パーカッション)の起用による緻密なリズム展開は、かつてのジョージ・ジンダを重ねて思い起こすのは考え過ぎでしょうか。「Wake Up」と「Little Wing」(ジミー・ヘンドリックス曲のカヴァー)では、ネルソン・ランジェルのサックス演奏が、爽快と情熱の対比的な表情を披露して引き込まれます。

ミヌッチのギター演奏が主役の、「Empathy」「Sunset Passion Juice」(両曲ともデヴィッド・マンのサックスをフィーチャー)、「Arise」(アントワン・シルバーマンのバイオリンをフィーチャー)、「Sweet Memories of You」(ミヌッチのダビング・ソロ演奏)などは、さりげない情感を漂わせる美しい演奏です。

キエリ・ミヌッチが、オール・スターのミュージシャンを束ねて多彩なサウンドを作り上げた傑作です。

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