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2020年9月 6日 (日)

Paul Brown 「Ones Upon A Time」(2020)

ポール・ブラウンの新作は、ブラウンが過去にプロデュースした曲を自ら再演した10曲の作品集。スムーズジャズ界を代表するプロデューサーとして、数多くのアーティストの作品を生み出した経歴を振り返るというコンセプトです。

ブラウンのプロデュース業のスタートは、サックス奏者サム・リニー(Sam Riney)のデビュー作『At Last』(1989)。その後、ボニー・ジェイムスのデビュー作『Trust』(1992)から8作品連続して『Ride』(2001)までプロデュースを手がけた実績で、スムーズジャズ界のプロデューサーとして評価を高めました。

ブラウンが過去30年間にプロデュースしたアーティストと楽曲は枚挙にいとまがないほどですが、珠玉といえる10曲が選ばれています。全てビルボードのチャートで1位を記録した曲だそうです。

オリジナル・トラックのアーティストと収録アルバムは以下の通りです。

  1. 「Nothin' But Love」 : ボニー・ジェイムス『Sweet Thing』(1997)
  2.  「Mind Games」:ボブ・ジェイムス『Playin' Hooky』(1997)
  3. 「Grazing in the Grass」: ボニー・ジェイムス&リック・ブラウン『Shake It Up』(2000)。原曲はヒュー・マセケラ(トランペット)の曲(1968)
  4.  「Deep Into It」 : ラリー・カールトン『Deep Into It』(2001)
  5.  「Softly, as in a Morning Sunrise」:ジョージ・ベンソン『Irreplaceable』(2004)。原曲はジャズの名曲「朝日のごとくさわやかに」。ベンソンのこのアルバムは、収録曲が違う2種類のバージョンが存在します。セカンド・リリース盤に、ブラウンがプロデュースしたこの曲とオリジナルの「Arizona Sunrize」(両曲ともインスト曲)が含まれています。残念ながら「廃盤」のようですが、YouTubeでは見つかります。
  6.  「Now 'Til Forever」:カーク・ウェイラム『Unconditional』(2000)
  7.  「Notorious」 : リック・ブラウン『Body And Soul』(1997)
  8.  「Just Chillin'」:ノーマン・ブラウン『Just Chillin'』(2002)
  9.  「Tequila Moon」 : ジェシーJ 『Tequila Moon』(2008)
  10.  「24/7」:ポール・ブラウン『Up Front』(2004)

さて演奏は、ブラウンのギターに、グレッグ・カルーカス(キーボード)、ロバート・バレー(ベース)、ゴードン・キャンベル(ドラムス)の布陣が全曲を固めています。ゲストは、ユージ・グルーヴ、リック・ブラウン、リチャード・エリオット、ダーレン・ラーンなどが、曲によって加わります。

いずれも楽曲の良さはもちろんのこと、ブラウンのギターと、全曲同じメンバーによるリズム・セクションが、原曲のメロディやムードを逸れないように、統一感のある都会的なサウンドを繰り広げます。かつてジョージ・ベンソンが演奏した「Softly, as in a Morning Sunrise」では、奥ゆかしい情感が伝わるギターに惹きつけられます。ノーマン・ブラウンの「Just Chillin'」でも、軽快さが増したポール・ブラウンのギターが魅力的です。

グレッグ・カルーカスのエレピ演奏が光る「Mind Games」や、R&B系トリオのDW3がコーラスに加わった「Now 'Til Forever」、サックス奏者ジェフ・ライアンがフューチャーされた「Nothin' But Love」など、楽曲の素晴らしさが再認識できる好演奏です。

一味違ったセルフ・カヴァー集ですが、プロデュースした過去作品にスポットを当てたのは秀逸な企画です。オリジナル・トラックを聴き直して比較したくなる、味わい深い秀作。オリジナルの新曲がなくても、ファンなら愛聴盤になるに違いありません。

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