Randy Scott 「Elevation」(2020)
サックス奏者ランディ・スコットの『Serenity』(2015)から5年ぶりの新作は、大半がセルフ・プロデュース/作曲による楽曲ですが、プロデューサー、マイケル・ブルーニングが手掛けた3曲が光っています。
中でもブルーニング作曲の「Joyride」は、キャッチーなビート・チューンで、ヒット性十分のハイライト曲です。楽曲の良さはもちろん、グルーヴ満点の演奏が素晴らしい。ブルーニングのピアノによる洗練されたフレージングと、スコットならではのパワフルなサックスの掛け合いが絶品です。
ブルーニングの手掛けた他2曲、「Ignite」(作曲はスコット)ではブルーニングのスイングするピアノが、「Elevation」(スコットとニコラス・コールの共作)はオルガン(コールかな)が聴きどころで、いずれもスコットのサックスとのインタープレイが素晴らしい。
「Daydream」はスコットのオリジナル曲でスウィート・ソウルの味わいがある佳曲。ゲストのトランペット奏者シンディ・ブラッドリーがフィーチャーされています。
「Tempo」は、女性ソウル歌手/作曲家、アネシャ・バーチェット(Anesha Birchett)がボーカルを担当した曲です。メロウなR&Bムードの楽曲で、バーチェットのボーカルが新鮮です。作曲は、スコットとバーチェットの共作。アネシャは、姉妹のアンテア(Antea Birchett)とユニット(APlus)を組んで、ビヨンセ、ジャスティン・ビーバーなどに楽曲提供をしている注目のアーティストです。
「Intimacy」は、スコット作曲のバラード曲です。美しいメロディの作曲とバラード・プレイのサックス演奏は、いずれも特筆すべき才能を発揮した曲です。サウンドも、スコットのワンマン・トラックで作り上げています。
「Untitled (How Does It Feel)」はカバー演奏で、オリジナルはネオソウル・シンガーのディアンジェロ(D'Angelo)の楽曲です。ディアンジェロのアルバム『Voodoo』(2000)に収められている曲。スコットの演奏は、骨太のソウルフルなバラードに仕上げています。
R&Bのアーバンなムードと、ビートのアクセント、キャッチーな楽曲、パワフルなスコットのサックスと、聴きどころの多い良作です。
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