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2020年11月 3日 (火)

Blake Aaron 「Color And Passion」(2020)

ギター奏者ブレーク・アーロンの新作は早くから予定が公表されていましたが、待つことほぼ1年を経てのリリースになりました。

前作「Soul Stories」(2015)の後、毎年コンスタントに新曲シングルを発表していましたが、フルアルバムは5年ぶりになります。既発のシングル9曲から、7曲がこの新作アルバムに含まれています。

シングルの既発表曲が大半とはいえ、ほとんどが長めの編集やミックスも変更されているようで、新鮮に響きます。ポップでキャッチーなリフが満載の楽曲と、サウンドと演奏のグルーヴは抜群で、今年のベスト級作品として太鼓判を推したい傑作です。

ゲストは、ダーレン・ラーン(サックス)、ナジー(サックス)、キム・スコット(フルート)、アダム・ホーリー(ギター)などが参加。リズム・セクションには、ダリル・ウィリアムス(ベース)、メル・ブラウン(ベース)、トニー・ムーア(ドラムス)、タテン・カティンディグ(ピアノ)、ロブ・マリンズ(ピアノ)といった布陣が固めています。

アルバム・タイトルの新曲「Color And Passion」はハイライトを飾る佳曲好演で、間違いなくアーロンの代表曲となるでしょう。メランコリーなアコースティック・ギターと美メロのピアノ(タテング・カティンディグ)、ギター・シンセサイザーにストリングスも加わるドラマチックな構成が素晴らしい。特にギター・シンセのフレージングは、パット・メセニーの名演(パット・メセニー・グループ名義のアルバム『Offramp』の「Are You Going With Me ?」)を彷彿として、思わず身を乗り出します。

新曲「Weekend In Paradise」は、弾けるレゲエのリズムが爽快な曲。同じく新曲「Sunday Strut」は、アダム・ホーリーのプロデュース/共作の曲で、ホーン・セクションを配して加速するキレの良いストロークは絶品の演奏です。ナジーのサックス演奏がフィーチャーされています。

シングルで発表されていた「Vivid」は、1分以上も長いロング・バージョンになり、ファンキーなアーロンのギターの圧力とテクニックに圧倒されます。特に、後半のアーロンのギターとピアノ(ロブ・マリンズ)の熱をおびたインタープレイは必聴です。シングルでは聴けなかった、中盤に現れるファズを効かせたワイルドなギターと、終盤のピアノ演奏がフェイド・アウトまで長めに収録されています。

「Groovers and Shakers」は、サックス奏者ダーレン・ラーンとの共作曲で、ラーンのサックスがフィーチャーされています。シングルではフェイド・アウトされていた、ラスト・コーラスでのサックスの演奏が追加されています。

「Riviera Nights」は、シングルにはなかったフラメンコ・ギターによるイントロ(わずか10秒ですが)が追加されています。

カバー曲は1曲「Don't You Worry 'Bout a Thing」(スティービー・ワンダー)で、フルート奏者キム・スコットが参加しています。ホーン・セクションを従えた重厚なサウンドと、奔放に弾けるアーロンのギターとスコットの絡みが聴きどころです。

ちなみに、既発表のシングル「Summer Ride」(2016)と「Sleigh Ride」(2017)は今作に未収録です。「Sleigh Ride」はクリスマス・スタンダードのカバーですが、ファンキーなグルーヴが炸裂するビート・チューンの「Summer Ride」はアルバムに入れて欲しかったのですが。

 

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