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2021年1月30日 (土)

Jim Kimo West 「More Guitar Stories」(2020)

スラックキー・ギター奏者ジム・キモ・ウエストの新作は、第63回グラミー賞「ニュー・エイジ」部門ベスト・アルバム賞にノミネートされた秀作です。前作『Moku Maluhia: Peaceful Island』(2018)に続いて、2年連続のノミネートになりました。(※ 末尾に追記)

スラックキー・ギターとは、ハワイで伝統的に使われる、多様なオープン・チューニングの調律で演奏するギター奏法です。

ウエストは80年代から、パロディ音楽の人気アーティスト、アル・ヤンコビックのバンド・メンバーとして活動していますが、ツアーでハワイを訪れたのを機会に、スラックキー・ギターに魅せられたそうです。以来、スラックキー・ギターの演奏家としておよそ10作のソロ・アルバムをリリースしています。

この新作は自作オリジナルの全10曲から成り、スラックキー・ギター演奏を中心に、多様なギターと弦楽器(12弦、エレキ、シンセ、マンドリン、ペダル・スティールなど)を自ら演奏して、アンサンブルではベースやパーカッション、ヴァイオリン、チェロなどのプレイヤーを迎えています。

CDには、曲ごとのチューニングが解説されていて、曲想に応じて調律を変えているのが興味を引きます。どの曲もハワイの風景やウエストの心象をテーマに作られていて、心地良いサウンドでストーリーを語るような趣きがあります。

「Mele Ahiahi - Evening Song」は、ギターのハーモニクスやソフトなチョーキングをアクセントにして、コンテンポラリーなメロディがひときわ親しみを感じます。夕暮れのゆったりとした気分に浸るような演奏です。「Windward」は、パーカッションとベースをバックに、ヴァイオリン(チャーリー・ビシャラ)とギターによるインタープレイの一体感が美しい好演。

「Green Islands」は、チェロとヴァイオリンとの共演で、アイルランドの音階を取り入れてハワイの風景が広がるようなムードです。「The Lydian Sea」は、パーカッションやタブラの奏者が加わり、インドのシタールを連想させて瞑想的な印象です。

「Sugar Cane Blues」は、ギター1本のソロ演奏。スラックキー・ギターで演奏するブルースの枯れたムードが味わい深い曲。

スムーズジャズではありませんがジャンルはどうであれ、”グッド・ミュージック”として愛着が深まるギター・インストゥルメンタル作品です。ユニークなスラックキー・ギターを追求するウエストの音楽は、ハワイアンやアメリカーナに留まらず、ジャズ、ブルース、インディアン、ラテンから、ポップでコンテンポラリーなテイストまでも網羅する多面性が魅力です。

今回のグラミー賞ニュー・エイジ部門の受賞をぜひ取ってほしいですね。

 

※ 【2021/3/16 追記】このアルバムが、第63回グラミー賞ニューエイジ部門の最優秀賞に選ばれました。

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