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2021年1月17日 (日)

Will Donato 「Elevate」(2020)

サックス奏者ウィル・ドナートは、2004年以来ソロ・アルバムをコンスタントに発表しているアーティストです。現在所属しているレーベル、インナーヴィジョン・レコーズからは、ソロ3作目の『Will Call』(2007)を始めとして『Lows of Attraction』(2009)『What It Takes』(2010)『Universal Groove』(2014)『Supersonic』(2017)のオリジナル・アルバム5作品と、クリスマス・アルバム2作品をリリースしています。この新作は、通算10作品目のオリジナル・アルバムです。

ドナートの演奏は、エネルギッシュな吹奏スタイルが特徴で、オリジナル楽曲はポップなセンスとR&Bやソウルのソリッドなテイストが共存した佳曲が並んでいます。正統ジャズの即興フレージングを披露する好演奏も聴きどころになっています。

この新作は、ドナートの従来のスタイルに磨きをかけた内容ですが、注目はオリジナル・アルバムでは初めてと思われるフルート演奏をフィーチャーしたことです。タイミングでは前作にあたる『Renaissance Christmas』(2019)が全10曲、フルートだけの演奏を披露したクリスマス・アルバムでした。それ以前のクリスマス・アルバム『Best of Season』(2011)でも数曲、フルートを吹いていましたが、オリジナル・アルバムではサックス演奏に徹していたようです。

クレジットによると、ドナートの演奏するフルートは、アルト・フルートと呼ばれる低音域をカバーするフルートです。そのアルト・フルートの特色を生かして、力強さと柔らかさをアピールした演奏になっています。パワフルなサックスの魅力に加えて、フルートでもエネルギーを感じる演奏で、素晴らしい作品になりました。

サポートしているミュージシャンは、グレッグ・マニング(キーボード)、ダリル・ウィリアムズ(ベース)、アレックス・アル(ベース)、エリック・バレンタイン(ドラムス)、タテン・カティンディグ(キーボード)といったスムーズジャズ・シーンでお馴染みの巧者たちです。

10曲中、4曲がフルートをフィーチャーした楽曲です。そのうち3曲が、ジャズ/フュージョンのカバー演奏というのも興味深い選曲です。「Lotus Blossom」(キーボード奏者ドン・グロルニック作曲)はデヴィッド・サンボーンの演奏で知られる名曲のカバー。「It Happens Everyday」もジョー・サンプルの楽曲。「Stolen Moments」は、オリヴァー・ネルソンの名曲です。ドナートによるカバー演奏は、いずれもジャズ寄りの好演です。

サックス演奏では、ポップでファンキーな楽曲がこの人の真骨頂。「Infinite Soul」や「The High Road」「Elevate」はいずれもドナートのオリジナル楽曲で光っています。「Infinite Soul」と「The High Road」は、グレッグ・マニングがプロデュースした曲。マニングのリリカルなピアノ演奏も聴きどころです。「Elevate」では、ハモンド・オルガン(アンソニー・パトラー)をフィーチャーしたソウルフルなムードがグッときます。

コンテンポラリーなジャズ・アレンジメントをベースに、ドナートのサックスとフルートのソリッドな演奏が光る秀作です。ベースやドラムスの音像がクリアなミックスも秀逸な録音です。

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