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2021年2月21日 (日)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 5)

1. カラパナ:「(For You)I'd chase a rainbow」(1976)

日本でも人気が高かったハワイのバンド、<カラパナ>のセカンド・アルバム収録曲です。

サックス演奏は、マイケル・パウロ(Michael Paulo)。イントロと間奏のドリーミーなフレージングが爽やかな珠玉のバラード曲です。

パウロは、セカンド・アルバムから<カラパナ>に参加したメンバーです。同じアルバムに収録されたインスト曲「Black Sand」は、パウロのエネルギッシュな吹奏が聴ける代表曲。加速してゆくスピード感のピークで登場するパウロのサックスのかっこよさは絶品です。

パウロは1979年ごろに正式メンバーを外れたようですが、2000年代の再結成にも合流しました。再結成後のスタジオ・アルバム『Blue Album』(2002)にも参加しています。最新のソロ・アルバムは、『Beautiful Day』(2018)です。

 

2. ニール・セダカ:「Laughter In The Rain」(1974)

ニール・セダカのヒット曲。間奏に入るサックスは、ジム・ホーンの演奏です。軽やかで滑らかなサックス・フレージングは、セダカの歌声にも増してこの楽曲の魅力を高めています。

サックス/フルート奏者ジム・ホーン(Jim Horn)は、70年代から80年代を中心に、数多のポップスのレコーディングに参加した超売れっ子スタジオ・ミュージシャンです。客演した名曲は枚挙にいとまがありません。ジョン・デンバーや、エルトン・ジョン、ジョージ・ハリソン、ジョン・レノン、ビリー・ジョエルなどなど多くのスター・アーティストのセッションに参加しています。

7作のソロ・アルバムもリリースしています。中でも、『The Hit List』(1998)は自身が参加したポップス名曲14曲のカバー集です。クリストファー・クロスの「Ride Like the Wind」、シールズ&クロフツの「Summer Breeze」、TOTOの「Africa」など、オリジナルのセッションに参加した名曲のカバー集になっていて、必聴です。

 

3. ダスティ・スプリングフィールド:「The Look of Love」(1967)

イギリスの女性シンガー、ダスティ・スプリングフィールドのヒット曲です。スロー・ボッサのバラードで、中盤から入る艶っぽいサックスが印象的な曲です。

映画『カジノ・ロワイヤル』(1967)の挿入歌で、バート・バカラックとハル・デビッドのコンビによる名曲です。映画の後、スプリングフィールドが自身の名義でシングル(別バージョン)としてリリースしました。

映画のバージョンは、ピアノ・コンボのスタイルの伴奏に、スプリングフィールドのボーカルとサックスがからむジャジーな演奏です。スプリングフィールドのシングル・バージョンのほうは、ストリングスが加えられています。

いずれもサックス奏者は、明らかにされていないようで特定できませんでした。

『カジノ・ロワイヤル』の音楽は、全てバカラックが手掛けました。作曲とアレンジに加えて、オーケストレーションの指揮も務めています。映画のオーケストレーションは、ロンドンで行われていますが、演奏者クレジットは明らかになっていません。

サックス奏者として、ネット上で見つかる情報では、スコットランド出身のダンカン・ラーモント(Duncan Lamont)や、イギリス出身のボブ・エフォード(Bob Efford)など複数のジャズ・ミュージシャンの名前が散見されます。しかし、公式な情報は見つかりませんでした。

この曲について、バカラックは自伝(邦訳『バート・バカラック自伝』)で、映画のセクシーなテーマ曲としてインストゥルメンタルとして書いた曲にハル・デヴィッドが歌詞を付けた、と記しています。

ちなみに、「The Look of Love」のインスト演奏でよく話題になるのが、スタン・ゲッツの演奏です。ゲッツのバカラック/デヴィッドのカバー曲集アルバム、『What The World Needs Now - Stan Getz Plays Bacharach And David』(1968)に収められています。

そのアルバムがリリースされたのは映画の公開(1967年4月)の後ですが、実はそのトラックだけは、ゲッツの前作にあたる『Voices』(1967)のアウトテイクです。『Voices』および「The look of love」は、クラウス・オガーマンの編曲よるもので、録音は1966年12月のセッションとされています。映画に先立って、ゲッツに提供していた曲なのではという話もありますが、事実は分かりません。

また、映画のバージョンのサックスのかすれた吹奏が、スタン・ゲッツのスタイルに似ているようでもあり、ゲッツの演奏だという意見もありますが、疑わしいところです。

個人的な好みでは、映画のサントラ・バージョンがベスト・トラックです。スプリングフィールドのシングル・バージョンは、ストリングスを加えて(重ねて)ゴージャスですが、サントラのジャジーでセクシーなムードが薄れています。

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