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2021年3月の3件の記事

2021年3月29日 (月)

Jeff Ryan 「Duality」(2021)

サックス奏者ジェフ・ライアンは、「Embrace」(2018)でデビューしたスムーズジャズ界の新鋭アーティストです。デビュー作は、グレッグ・マニング(キーボード)が楽曲共作とプロデュースでサポートした作品でした。

ライアンの祖父は音楽教師、父親はクラシック・ピアニスト、母親はオルガンを演奏するという音楽一家に育ちました。10歳でサックスを始めて、学生時代にはジャズ・アンサンブルで演奏活動を始めています。バークリー音楽大学などで学んだ後、サンフランシスコのベイエリアを中心にサイドマンとして活動します。近年は、ニルス、ポール・ブラウン、アダム・ホーリーなどのアルバムのゲスト参加での活躍が目立ちます。

テナー奏者ですが、のびやかでメロウな音色が持ち味です。ポップでキャッチーなオリジナル楽曲も魅了で、コンテンポラリーなアレンジに、R&Bやファンクの要素をブレンドした洗練されたサウンドです。

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2021年3月14日 (日)

Gregg Karukas 「Serenata」(2021)

グレッグ・カルーキス(※)の新作は、初めてとなる全曲ソロ・ピアノの作品集です。半数の8曲はカバー演奏で、ブラジルのアーティスト、ミルトン・ナシメントとドリ・カイミの関連作品を取り上げて、アルバムのテーマにすえています。残りの7曲は、過去曲の再演を含めたオリジナル曲です。

演奏は、おおらかで明るいタッチの音粒にあふれています。ナシメントやカイミの楽曲の美しいメロディを、ピアノだけでシンプルに際立たせて、奥深さも感じさせる演奏です。ロマンチックでも内省的にならず、この人の従来のスムーズジャズ・サウンドに通じるハッピーなムードが、ソロ・ピアノでも堪能できる秀作です。

ミルトン・ナシメントが、ロー・ボルジェスら同郷のアーティスト達とコラボした作品『Clube de Esquina』(1972)と続編『Clube de Esquina 2』(1978)は、ブラジルのポピュラー音楽(MPB)の名盤と評価の高い作品です。カルーキスはその2アルバムから4曲、「Tudo O Que Vocé Podia Ser」「Club de Esquina No.2」「Paisagem da Janela」「Nascente」を取り上げています。

カルーキスはその2枚のアルバムを愛聴盤に挙げています。自身のアルバム『Looking Up』(2005)には「Corner Club/Clube de Esquina」というオリジナル曲が収められていますが、その2枚の愛聴盤から名付けたとアルバムに記しています。

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2021年3月 6日 (土)

Jazmin Ghent 「Forever...Jaz」(2021)

ジャズミン・デボラ・ジントは、今、スムーズジャズ・シーンで注目を集める女性サックス奏者です。テネシー州立大学の音楽教育学部を卒業後、小学校の音楽教師を務めながらサックス奏者としての活動を行っていたそうです。ジャズ・ファンの両親が授けたという名前”ジャズミン”が生まれながらの才能を約束していたのかもしれません。

プライベート・リリースした2枚のアルバム、「Boss」(2015)「Chocolate Sunshine」(2016)の後、3枚目のアルバム「The Story of Jaz」(2018)がNAACP(全米有色人種地位向上協会)の主宰する<イメージ・アワード>、第50回(2019)の授賞式で<アウトスタンディング・ジャズ・アルバム賞>に選ばれました。

4作目となるこの新作は、ユージ・グルーヴが前作に続いてプロデュースを手がけています。オーソドックスで自然体の吹奏は、中低音のフレージングを特徴に滑らかに飛び回ります。ソウル/ゴスペル的な情熱も聴かせますが、伝統的なジャズのスタイルを基本に、ジェントルなブローに終始するのが持ち味です。コンテンポラリーなサウンドは、ソリッドなリズムとグルーヴで固められていて、ユージ・グルーヴの手腕を感じさせます。

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