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2021年3月14日 (日)

Gregg Karukas 「Serenata」(2021)

グレッグ・カルーキス(※)の新作は、初めてとなる全曲ソロ・ピアノの作品集です。半数の8曲はカバー演奏で、ブラジルのアーティスト、ミルトン・ナシメントとドリ・カイミの関連作品を取り上げて、アルバムのテーマにすえています。残りの7曲は、過去曲の再演を含めたオリジナル曲です。

演奏は、おおらかで明るいタッチの音粒にあふれています。ナシメントやカイミの楽曲の美しいメロディを、ピアノだけでシンプルに際立たせて、奥深さも感じさせる演奏です。ロマンチックでも内省的にならず、この人の従来のスムーズジャズ・サウンドに通じるハッピーなムードが、ソロ・ピアノでも堪能できる秀作です。

ミルトン・ナシメントが、ロー・ボルジェスら同郷のアーティスト達とコラボした作品『Clube de Esquina』(1972)と続編『Clube de Esquina 2』(1978)は、ブラジルのポピュラー音楽(MPB)の名盤と評価の高い作品です。カルーキスはその2アルバムから4曲、「Tudo O Que Vocé Podia Ser」「Club de Esquina No.2」「Paisagem da Janela」「Nascente」を取り上げています。

カルーキスはその2枚のアルバムを愛聴盤に挙げています。自身のアルバム『Looking Up』(2005)には「Corner Club/Clube de Esquina」というオリジナル曲が収められていますが、その2枚の愛聴盤から名付けたとアルバムに記しています。

「Travessia」は、ナシメントのファースト・アルバムのタイトル・ソングで、後にCTIレーベルからリリースした米国でのデビュー作『Courage』(1969)に「Bridges」とタイトルを付けた、ナシメントの名を米国に知らしめた代表曲です。「Ponta de Arela」は、ナシメントの『Minas』(1975)からの曲。

ドリ・カイミの楽曲は2曲。ブラジルの女性シンガー、エリス・レジーナ(1956-1982)のヒット曲「O Cantador」(1967)と、カイミのアルバム『Brasilia Serenata』(1988)からの「Historia Antiga」です。

カルーキスはかつて、カイミのアルバム『Kicking Cans』(1993)のセッションに参加していました。半数の曲で、カルーキスはキーボードを演奏しています。カルーキス自身のアルバム『Summer House』(1994)にはカイミが参加して、「Moonlit Breeze」ではスキャット・ボーカルを、「I Dream of You」ではギターを演奏しています。

カルーキスのアルバム『Sound of Emotion』(1992)では、「Dori's Song」でカイミがボーカルを務めています。今回の作品で、その「Dori's Song」を再演しています。また、『Sound of Emotion』に収められていた同曲のソロ・ピアノ演奏も、今回新たに再演しています。

再演の2曲に加えて、5曲の新曲、「Serenata」「Better Days」「Para Sempre 」「Lament 」「Long Ago」が収められています。ドラマのテーマを思わせるロマンチックなメロディが印象的な曲が並びます。中でも、アルバムのタイトル曲「Serenata」は、ブラジル音楽のインスパイアを感じさせる美しいハイライト曲です。いつか、アンサンブルでの再演を聴きたいものです。

(※) Karukasの日本語表記は、「カルーキス」に改めます。過去のアルバムに、”Kuh-ROO-kiss”と発音が注記されているものがありました。日本語では、「グレッグ・カルーキス」とするのが近い発音のようです。

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