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2021年4月11日 (日)

Michael Lington 「Alone Together The Duets」(2021)

マイケル・リントンの新作は、多彩なゲストとのデュオによるパフォーマンスを記録した作品です。昨年からのパンデミック下でリントンは、Stageit(ステージイット)というストリーミング・サービスを利用してビデオ・ショウを配信していました。その中から、ゲストをむかえた演奏10曲をまとめたものです。

過去に発表済みのトラック(いわゆるカラオケとして)に、リントンとゲストが演奏を重ねるというスタイルで作られました。登場するデュエットはリモート・ライブではなく、それぞれが事前にワン・テイクで録画/録音したものを技術的につなぎ合わせて完成させたといいますから驚きです。まるでスタジオ・ライブのような臨場感がリアルに感じられる好演の連続です。

6曲がボーカリストとの共演で、ポップス/R&B名曲のカバーとオリジナル曲の再演です。各シンガーの名唄はもちろんですが、リントンのいわゆる”歌伴”でのハートフルなサックス演奏が絶品です。

「Baker Street」(ジェリー・ラファティ※)は『Heat』(2008)からのトラック(その時のシンガーはエース・ヤング)で、今回のシンガーはジャヴィア(Javier Colon)。「So Very Hard To Go」(タワー・オブ・パワー)は『Silver Lining』(2018)からで、オリジナル・トラックのシンガー、ドリアン・ホーリーとの再演です。

(※ 原曲邦題「霧のベーカー・ストリート」について紹介した過去記事です→ 「あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 3)」)

オリジナルはインスト・トラックでしたが、今回は新たにボーカルを重ねた曲も注目です。

「Everthing Must Change」(バーナード・イグナー)は、リントンの同名アルバム(2002)でインスト曲でしたが、今回はクリス・ウォーカーがボーカルを重ねています。「You've Got A Friend」(キャロル・キング)は『A Song For You』(2006)からで、今回はカントリー・シンガーのビリー・ディーンが歌っています。

自身のオリジナル曲は、オリジナルのボーカリストをむかえた再演です。「Gonna Love You Tonight」(『Soul Appeal』から)は、ケニー・ラティモア。「Some Kinda Way」(『Second Nature』から)は、サイ・スミス。

インスト曲「My Love」(ポール・マッカトニー)は『Stay With Me』(2004)からのトラックで、デイヴ・コーズとのデュオ演奏です。交互に吹き合うスタイルでの共演は、オリジナル・トラックで聴けない感動的なパフォーマンスです。「Up All Night」は、ボニー・ジェイムスの『Honestly』(2017)からの2人の再演です。

「Slick」は『Second Nature』(2016)からのトラックで、ブライアン・カルバートソンがトロンボーンを演奏した再演。「Roadtrip」は『Pure』(2012)からの曲ですが、オリジナル・トラックはリー・リトナーをフィーチャーした演奏でした。今回のギター演奏は、ニック・コリオーネです。

ベスト曲集の趣きもある過去の演奏トラックも、再演や新たなゲストによるパフォーマンスで新鮮に生まれ変わりました。何よりも、コロナ禍でも上質な音楽を作ろうとするリントンとゲストの情熱が伝わってきます。ファンからの要望でCD化になったそうですが、新曲がなくても聴くたびに愛着が深まる秀作です。

 

 

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