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2021年5月 9日 (日)

Richard Elliot 「Authentic Life」(2021)

スコットランド出身のリチャード・エリオットは、80年代からジャズ/スムーズジャズ界の第一線で活躍するサックス奏者です。ファンク・バンドのタワー・オブ・パワーに参加した後、1984年に『Trolltown』でソロ・デビューしました。以来、20作近いアルバムをリリースしています。この新作は、『Summer Madness』(2016)以来の5年ぶりとなるオリジナル作品です。

近年作品では、『Summer Madness』がリック・ブラウン、『Lip Service』(2014)がポール・ブラウン、『In The Zone』(2011)はジェフ・ローバーらにプロデュースを任せていました。この新作は初期の作品に戻ったように、久しぶりの自身によるプロデュース作品になっています。プロデュースの熱意も込められて、コンテンポラリー・ジャズの本格派を志向した力作になりました。近年ではベスト級の作品といえます。

多くのプロジェクトで共演を重ねてきた盟友達、リック・ブラウン、ジェフ・ローバー、フィリップ・セス、デイヴ・コーズらを客演や共作に迎えています。リック・ブラウンはほぼ全曲の共作と客演に関わっています。特にブラウンが手がけたホーン・アレンジが洗練されていて、アルバム全体のサウンドのかなめになっています。

「Snapshot」はジェフ・ローバーとの共作曲で、疾走するリズムとホーン・セクションがダイナミックな演奏です。エリオットのテナー・サックスが、エネルギッシュな熱量と緻密なフレージングで存在感をアピールしたベスト・トラックです。

「Walk With Me」はリック・ブラウンとの共作曲。イントロから滑りすべりこむようなアーバンなムードと、サックスのメローな響きに幸福感が満ちるようです。

「Authentic Life」と「Move Ahead」は、ブラウンとの重奏がフィーチャーされた曲。特に「More Ahead」での2人の掛け合いはスリリングで絶品です。ブラウンとは共作のアルバム『RnR』(2007)を作っていますが、再び2人のコラボ作品が実現するのを期待しています。

カバー曲が1曲、「Living Inside Myself」はジノ・バネリのヒット曲(1981)。この演奏は、90年代後半から長年にわたりエリオットのサポートを務めているロン・ラインハルト(キーボード)がバッキングを担当しています。原曲に忠実に、ドラマチックに盛り上がるサックスが美しいトラックです。

全曲で貫かれるジャズの軸足と、ソフィスティケートなムードは別格の空気感で、聴きごたえのある作品です。

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コメント

山ちゃんです。
この記事を見た途端、おいおい2回目とちゃうんかい。ダブってないか?過去ログ、どーなってんねん。と完全な独り言…
つまり、小生の次に買いたいアルバム入ってもはや数か月が過ぎているアルバムで、「スムジャズ明日見え」の大先生にしては、実は「あれっ」て感じで、これ今までのブログでなかったけ?です。
すごく良いアルバムです。Summer Madnessは買いました。このアルバムも、ハリとリズムとグルーブ。無茶苦茶好きです。でもね、まだ、買えていません。次の次かな~とかで、申し訳ありません。
山ちゃん。(なんとなく、びっくりしてます)

投稿: yama_chan | 2021年5月 9日 (日) 22時57分

いつも読んでいただきありがとうございます。
リチャード・エリオットのひさしぶりの新作とはいえ、デイヴ・コーズらとの共演など登場機会が多かったので、なんとなく手がのびずに時間がたってしまいました。でも聴いてみたら、やっぱりさすがの完成度にグッときました。いいアルバムです。私の記事はちょっとマンネリ的でしたね(反省)

投稿: UGASAI | 2021年5月10日 (月) 09時58分

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